第8話 下校前な放課後
「——て事で、今日のダンジョン学はここで終わりね。号令!」
号令をし、授業が終了した。
前までは全く興味が無かったダンジョン学……ダンジョンマスターとなったが故にしっかり聞いてみたのだが、割と為になった。
特に気になったのが、ダンジョン内に生息する【ユニークモンスター】と呼ばれる存在と魔力の関連性だ。
今の所しっかりとした確証は得られてないらしいが、どうやらダンジョンマスター——つまりダンジョンのラスボスと似た姿である事が多いから魔力的な繋がりがあるのでは? と言う説があるらしい。
ユニークモンスター……まだモンスター召喚の欄には一切出ていない名だ。
もしユニークモンスターを生み出せた場合、一体どんな姿をしているのだろうか? 今言った説通り、人の形をしているのだろうか。
「なぁ日向っ! 俺ってなんの魔物が元になってると思う?」
「どうした急に……」
「いやさ、さっきのダンジョン学で動物性魔力が〜って奴をやっただろ? その話を聞いたら俺が一体誰の魔力に影響されたのかとか気になるだろ!」
「そんなもん、なのか?」
「そう言う物なの!」
うーん、よく分からん。獣人だからの感性なのだろうか。
……いや、クラスに居る他の獣人の人もそこまで様子が変わってないし、飛鳥の感性がズレてるだけだろう。
と言うか——
「獣人って魔力検査とかで関連のある魔物とかの名前って出なかった? ほら、有名な古星ゼーアとかってエンプレスドラゴンの名前が出てきたって言うし」
「あー、それなぁ……俺も受けた事あるんだけど、魔力が微弱だったかな? なんか名前表示されなかったんだよね」
「……そりゃ残念だったな」
「マジ気になるんだけどなぁ」
今やテレビを付ければ必ずと言って良いほど話題に上がってくる女性探索者——古星ゼーアの魔力検査結果が発表された事で世間を賑わしていたのは記憶に新しい。
魔力検査と言うのは自身……人間の持つ魔力を検査して、親和性の高い魔物を特定したり、相性の良い相手を見つけたりするのに使われる診断のような物だ。
獣人の魔力を検査した場合、影響を受けた魔物の魔力も特定できる事から、割と獣人の人達は受けると聞いていたもんだが……そうか、不明だったんだ。
「予想するにしても、リスの魔物なんて居たか?」
「そこなんだよなぁ……俺が知ってる範囲じゃ俺に似た耳とかを持ってる魔物いないんだよな。リス……だとは思うんだけど」
2人してうーん、と悩むが答えは見つからないまま。
そうしているうちに次の授業の時間が近くなり、飛鳥は「ま、俺が将来探索者になって見つけたら報告するわっ!」と言って立ち去っていった。
リスの魔物なぁ……少なくともGランクモンスターの欄には無かったな。
◇
そんな授業を受けながらも、無事に突如として命を落とす事もなく授業は全て終わり、帰宅の時間となった。
学校で唯一話しかけてくる存在と言えるほどの飛鳥に「またな」と言い、とある空き教室へと向かっていく。
あまり人が寄り付かない空き教室の中にはポツンと陽毬が居り、窓から下校する人達を眺めていた。
……やっぱり、陽毬は妹贔屓無しとしても美少女なだけあって非常に絵になっている。デッサンのモデルとして声でもかけられてそうだ。
「あっ、おにぃ……やっと来た」
「すまん。やっぱり結構待たせたか?」
「うん、かなりね。本当に長いよね〜、おにぃのクラスのホームルームって」
「無駄話が多いからなぁ、ウチの担任」
俺と陽毬がこの空き教室を集合場所にしている理由は単純。ウチのクラスのホームルームが終わるのが滅茶苦茶遅いのだ
ホームルームが終わるまでクラスで待たせると陽毬は必ずと言って良いほど声を掛けられてしまうし、校門前とかだとより声を掛けられやすい。
とは言え俺達は部活とかに入ってるわけでも無いから、必然的に逃げ込める場所っていうのはこういう人気の少ない空き教室になるのだ。
先に陽毬に帰って貰うという選択肢もあり、実行してみたのだが……まさかの陽毬がストーカー被害に遭うと言う結果が出てしまったが故に没となった。
美少女故に大変な思いをしているのだ……
「ま、帰るか」
「そうだねぇ。アレの様子も気になるし」
「そう言えば調整したんだっけか?」
「そうそう、一応ネットで調べながら調整しといたから普通のダンジョンになってるはず……」
「となるとそうDPも溜まってないかもしれないな……しばらくは普通の生活か?」
ダンジョンの編集はもうダンジョンレベルを上げないと改築の余地が無い。
ダンジョンレベルを上げるには確か1000DP必要だったはずなのだが、現状レベルを上げれる程のDPの余裕が無いからしばらく現状維持となったのだ。
「そう言えば今日ダンジョン学があったんだけどさ——」
これが俺達日向兄妹の日常。
ダンジョンがなんだって言うんだ。むしろダンジョンを利用して陽毬とこの平穏な生活を守ってみせる……絶対にだ。
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