世界規模のデスゲーム〜残された僕たちの最後の抵抗〜

シリュウ

第1話「ゲームスタート」

 「続いてのニュースです。『S b C』の愛称で世界で親しまれている人気ゲームソフト、『Survival build Civilization』のプレイ中に死亡すると言う事件が、世界で多発している事件を踏まえ、警察はゲームのプレイをしばらく自粛するように呼びかけています。」



全国のニュース番組で報道され、日本での『SbC』のプレイ人口は減少傾向にあった。『SbC』とは専用の機械を通してゲームの世界に精神が実際に入り込み、そこで文明的な生活を営んでいくと言うものだ。そのゲームで、実際に死亡したプレイヤーが現れた。原因は脳に強いショックであると予測された。しかし同じ状況にいたプレイヤーには全く以上は見られなかったため、状況は混迷を極めていた。中にはそれでもプレイをやめずに死亡する人が続出しており、状況は一向に良くはならなかった。

??「なぁカイ、見たかよこのニュース。世界中やばいことになってるぜ。」

1人の少年が背もたれを抱くように座り、後ろのカイと呼ぶ同級生に話しかける。


カイ「知ってるよ。どうせ偶然だろ。」

カイは冷静に答える。この件が大きくなろうがそうでなかろうが、カイにはどうでもいいことだった。そもそもプレイしていないのだ。カイには何も危険性などない。


??「なんだよ。ロマンがねぇな。俺なんて親にアンストさせられたってのによ。」

少年がつまらなさそうに言う。


カイ「俺たちもう高校生だ。いちいちそんなこと気にしてられないぞ。それに、サトルも勉強しろよ。今日英語の小テストだぞ。」

カイはそうやってサトルに勉強を促す。


サトル「ってかよ、なんで2035年にもなって英語がいるんだよ。今時A Iが全部翻訳してくれるからいらねぇっての。」

サトルと呼ばれた少年が、そう愚痴をこぼす。もっともな愚痴だ。今やA Iで代替が効く時代。一昔前は安定と言われていた職業も、今やすっかりA Iに取って代わられてしまった。それほどまでに技術の進歩は凄まじい。しかし教育だけが、いまだ昔ながらのシステムを踏襲している。


カイ「仕方ないだろ。それが“大人の事情”ってやつだ。俺ら子供は黙ってそれに従うしかない。」

カイは冷めていた。幼少期から厳格な親のもとで育ち、幼少期は常に親の意向に従って動いてきたからこその発言だろう。


サトル「ほんっとAIが発達してから大人たちの頭成長しなくなったよな。」


カイ「まぁ、人間は変化を嫌う生き物って書いてあったからな。年寄りほど特に。」


サトル「まぁ年寄りは俺らたちのことなんて知ったこっちゃないって感じだもんな。」


2人が年寄りに対しての文句を口にする。今でも年寄り向けの政策ばかりが施行されているが、2035年ともなるとさらにひどく、教育費はさらに削減、現代の技術を全く活かせないと言うのが現状だ。


サトル「ってかそれも本で得た知識ってやつか?」

カイ「まぁな。」

サトル「飽きねぇよなぁ。今時情報なんてAiが管理してるサーバーで検索すれば一発だってのに。」


カイ「一応の保険だよ。俺は今の年寄りみたいに、年金に縋り付くような人間になりたくないからな。それより、もう授業始まるぞ。」

サトル「えっ、まじ!?」

サトルが言い終わると同時に授業開始のチャイムが鳴る。サトルの成績は散々なものだった。


―――放課後――――――――――――――――――――――――――――――――



学校が終わり部活の練習も半ばに差し掛かった頃、カイとサトルは2人で下校していた。案の定サトルは居残りで再テストとなり、カイはサトルに泣きつかれ、渋々居残りに付き合ったのだ。


サトル「しっかし、お前はこれどう思うよ?」

サトルはカイに尋ねるが、彼の答えは案外冷静なものだった。


カイ「またその話か。どうせ偶然だろ。」


しかしサトルは食い下がる。

サトル「いやいや、絶対これは何かが起きる予兆だって!」


カイ「起きるって、何が?」


カイがそう質問するとサトルは自身なさげに答える。

サトル「それはほら…俺もよくわかんねぇけど…」


カイ「分かってねぇじゃねぇか。」

カイがそうツッコむと、サトルは急に思い出したかのように喋り出す。


サトル「あ!ほら、あれだよ!昔アニメであったやつ!ゲームの中に引き込まれて、ゲームの中で死んだら、現実でも死ぬってやつ!似てんじゃん!」

サトルは得意げに言うが、カイからすればそんなことが現実で起こるはずがない。そう考えていた。しかしサトルは一度この手の話をしだすと止まらないので、とりあえずは合わせておく。


カイ「確かにあったな、そんな話。でも、いくら似てるからって、所詮はアニメだろ。偶然だよ偶然。」

カイは冷静にそう返す。するとサトルがつまらなさそうに口を尖らせる。


サトル「なんだよ。いっつも本読んでるくせに、相変わらずつまんねぇやつ。」

カイ「なんだよ。別に本読んでるからって、ファンタジーを信じてるわけじゃないからな。それに俺が読んでるのはミステリーとか自己啓発、実用書とかだからな。」

サトル「自己啓発とか読んで何が楽しいんだよ。」

カイ「別に楽しくねぇよ。将来役に立つと思って読んでるだけだよ。」

そんな会話をしながら2人は分かれ道で別れ、それぞれの家へと向かった。最後の最後までカイは『S b C』の話をしていたが、サトルは適当に受け流してとっとと家へと向かっていった。




カイは家に帰り着くと、何かの実用書で書いてあった通り、脳を鍛えるために筋トレをし、シャワーで汗を流して、これも何かの実用書で読んだメニューを親に作ってもらって夕飯を食べる。いつもの日常を過ごしていた。夕飯の時に両親から今日の小テストの出来はどうだったかとか、次の期末テストは自信があるのかとか聞かれたが、カイは「大丈夫」と答えておいた。実際大丈夫ではあるのだが、両親は他の家庭とは比べ物にならないくらいに学歴を重視する人間なので、正直うんざりしていた。


カイはそんな両親から将来逃げるべく、そして高校生という自立していない今でもなるべく干渉されないように、実用書や自己啓発本を読んで将来に備えているのだ。別に将来なりたい職業があるわけではない。幼い頃からただひたすら勉強をさせられてきたカイは、周りがスポーツ選手やアイドルといった職業に憧れる中、将来の夢というものを持たずに育ってきた、中学生になって進路を考える時期になった時に、「自分は何になりたいのか」を真剣に考えた結果、「親から逃れて自由に暮らす」ことを目標にするようになった。それからというもの、カイはあらゆる実用書や自己啓発本を読み漁り、将来どうやったら自由に生きられるかの知識を身につけていった。全ては大学進学と同時に親離れをするために。それほどまでにカイは両親の存在にうんざりしていた。


カイは早めに夕食を済ませると、とっとと自分の部屋へと戻っていった。思いついたら即動く。カイが大事にしていることだった。カイは自室で本を読むために階段を登っていった。サトルにこそああは言ったものの、新しい知識を入れていくのは面白い。特に今回見つけた本は久々に面白そうだと思った。早く読みたくて仕方ないのだ。部屋に入り、本を開いた瞬間だった。突然、スマホから謎の音声が聞こえ始めた。


??「全世界の諸君ごきげんよう。私はこのつまらない世界に少しばかりエンタメをもたらすためにやってきた。私のことはゲームマスターとでも呼んでくれたまえ。」


カイは最初怪しいサイトを間違ってクリックしてしまったのかと思い、スマホを操作しようと思ったが反応しない。どうやらハッキングされてしまったようだ。


ゲームマスター「フフフ…今君たちのスマホはこちらでハッキングさせてもらったよ。君たちからの操作は一切受け付けない。」


カイ「どういうことだよこれ…しかも全世界ってことは、サトル達のスマホもこうなってんのか?」


ゲームマスター「我々は度重なるテストの末、今回のイベントを開催するに至った。そのイベントには『SbC』を使用する。」

カイはそのタイトルを聞いて、今日サトルが言っていた事件を思い出した。もしかしてこれらの事件は全て、このゲームマスターがやったことではないかと。


ゲームマスター「今から君たちにはこの『SbC』の世界に入って生活してもらう。今回は初日だからね。ただ単に生き延びるだけでいい。」


カイ「ゲームの世界に入る?どういうことだよ…」


ゲームマスター「フフフ…まぁ兎にも角にも実際に入ってみないとわからないと思うから、まずはみんなゲームに入ってもらうよ。あ、そうそう。プレイヤー間での格差をなくすために、データは一度リセットさせてもらってるからね。それじゃ、楽しんで。」

ゲームマスターがそう言うと、スマホが突然光り始めた。そして次第に渦となり、カイをのみこみ、ゲームの世界へと吸い込んでいった…

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