第12話 蒔いた種はいつか咲く、それは本気でも浮気でも

※ちょっと短編と違います。ご容赦下さいませ。


 


 チョロゲに会う為に音楽室へ行く。

 最近、チョロゲも来てないし俺も行ってないけど偶然会えれば良いな。

 その程度で顔を出すと机でなんか書いてる途中のチョロゲが寝てた。


 一年前を思い出す、更にプロモの動画を思い出し、そして、今の寝てる姿を見て思う。

 女ってマジで変わりすぎ。


 チョロゲは身長でかい頭チンチクリンみたいなイメージだったのに、寝てると本当にモデルみたいでちょっと引いた。


 俺はこんな女と間男みたいな事やらかしてたのか…と思うと何だが誇らしいやら寂しいやら。

 何か書き途中のノートを見る。

 中身をチラ見する、ケンとの事かな?


【ケンちゃんと呼んでいたのがケンになって ただの男の子から恋人になって 分かりあえる気持ちに恋があって 触れ合えるから愛があって 昔から守って貰っているから 愛情が芽生える? それは今の私の気持ちと イコールなのかどうか 誰か教えて欲しい この気持ちと 私の】


 

「う~ん…厨二病?じゃない、詩人?だねぇ…」


 何だか良くある恋愛の歌の歌詞みたいな文章だなぁ。

 チョロゲはちょくちょく小説の感想とかをノートに書いていた。

 だったら直接書けよって言ったら『何か失礼な事言ってしまいそうで…』とビビっていた。

 今のお前は売れてる小説家並みに有名だけどな(笑)

 

 ちなみに最近、彼氏のケンのグルーブのプロモに良く出ているチョロゲ、ちょくちょく掠れた弱々しい声で何か歌っているのがチョロゲだと思う。


 とうとう歌手デビューでもすんのかな?

 正直、チョロゲの歌はフレンチポップの歌手みたいであんまり好きじゃない(笑)


 ゴリゴリのEDM好きの俺としてはだけども…まぁ良いや。

 チョロゲは実際、ケンと付き合って幸せなのか知らんけど、収まるべき所に収まって何よりな詩だ。


 俺としては、気持ちいい経験(笑)まぁ幸せな時間、良い夢を見せて貰った立場として…そしてコイツの部活の先輩として…感謝とやるべき事をやろうと思う。

 

「おーい!起きろチョロゲ!朝だぞう?」


 頭を撫でながら起こす。


『んが!?うお!?肉棒先輩!?お、お久しぶりッスね!』


「おう!久しぶり!お互い多忙だな!?」


 起きたら変わらないチョロゲに少しホッとする。


『いや、別に忙しくは…まぁまぁその話は良いじゃないっスか…』


 チョロゲは自分の活動を嫌う、だから話を本題に…


「いやぁ…クソみたいな噂の為にお前に迷惑かけて、本当にすまんかった。彼氏に釈明も何でもするし、チョロケ゚の彼氏に殴られるのもOK!優しくしてほしいが…無理だろうな、いや、殴られたくないな」


『へ?噂?あぁ、あのプロモの…いや、良いっすよ!肉棒先輩は別に何もしなくて…私も彼氏の事、何か勘違いしてたっす。ごめんなさい、彼氏…ケンにも言っとくッスね』


 本当にな、悪魔の証明だからな。

 チョロゲには悪い事した。

 もし良ければ、ぶん殴るのとか阻止してくれたら嬉しいけどな(笑)


 しかし…何やらチョロケ゚もいつもより少し落ち込んでいる。何か口の横ちょっと切れてるしな。


「どうした?何かあったのか?いつものマシンガントークはどうした?チョロゲはそんな奴だったか?」


 俺もそんな喋る奴ではないが、最近コレ系の事で喋る事が増えているからなかなか饒舌になった。


『今回の件で思ったんスけど…先輩は幼馴染の彼女の事…信じきれたっすか?付き合いが長ければ…口にしなくても分かりあえるなんて、本当にあるんスかね?…』


 ウ~ン、珍しくナイーブな態度のチョロケ…これはちゃんと答えなければ駄目か…

 なんか話がちょっとズレてるけど…


「無い無い。何も言わないで伝わるなんてまず無いし、そもそも隠し事だらけだ。まぁ浮気は想定外だったな。隠したままフラれるのは更に想定外だ、俺の場合はな?うお?」


 チョロゲが思ったよりビックリした顔するから俺もビビる。


『え!?別れたんすか!?な、何で!?』


「あぁ、残念ながら結構前にな。お前の好きな小説風に言うとNTR、家庭教師の大学生とヤッてた。俺とはしてないっていうか、俺はしたことないのにな(笑)」


『え?ええ!?ど、どうして!?先輩!?そ、それに…それにNTR好きじゃねぇっすよ!』


 何か凄えパニックなってるけど…正直、そんな騒ぐ事じゃないと思うが…ただ付き合っててフラレただけやぞ?まぁショックだったけど。


「俺か不能人間だからだ(笑)やっぱりアレだな…特殊なエロいの見過ぎで性癖狂ったのがヤバかったな。着衣フェチ、野外、臭い、体液、受け身…沢山あるけど…いや、何でもない」


 後、それをチョロゲで実践してしまった事は言うまい。彼氏がいる女だからな。

 しかし、ついついチョロゲには何でも言ってしまうから怖い…本当に…信頼してたんだなぁ…


『え?え?いや、話続けるッスよ!』


「え?これ続けるの?ま、まぁとにかくお互い裸でヨーイドンとか、俺がリードして普通に…とかでは無理になった…でも幼馴染だと親の顔もあるし、周りの目もあるし、伝える前に性癖改革など、何とかしようと思って、色々踏み込んだが短期間で改善はなぁ…もしも性癖敢行して断られたら、凄い心が悲鳴を上げそうな気がするし、ミチも駄目そうなんだよなぁ…まぁどうでも良いんだよ、そんな事は…お前はどうすんの?」


『え?どうって?何がッスか?』


「俺としてはもう卒業まで数日だし、殆ど学校来ねぇからさ、ここにももう来れないわ。お前が部長やっても良いし潰しても良いし?」


 違うわ、チョロゲはこれから後一年学校あるからな。


「とにかく、お前は俺をめっちゃ下げて株上げろ、どうせ嘘なんだし。俺は小説の間男の様に、まるで死んだように消えるから」


『そ、そうっすか…分かりました……って何勝手に決めてんっすか!本当に間男になってどうするんっすか!?馬鹿ッスか!?』


「そうそう、そんな感じがチョロケ゚らしい(笑)それでこそ俺のセフレ(仮)、俺、進路も決まってるしこんな馬鹿な事にこれ以上、巻き込まれたくないしな!高校に残るチョロゲは大変だと思うからごめんな!じゃ、またな。元気でな〜。来世こそ本当のセフレになろう(笑)」


 ちょっとだけ本音が出た、そうだなぁ、もしケンがいなくて、お前が幼馴染だったら…なんて考えたけど、そしたら浮気されんのかな(笑)


『え?セフレ!?あ、ひきょうもの!それ逃げっすよっ!待てっス!』


 それでも、チョロゲとのお別れは楽しいものにしたかった。

 もしチョロゲと付き合ってたら、浮気されててもこんな変な気分にならず悔しいとか憎いとか、ちゃんと思えたのかな。


 ミチのおかげで、とにかく恋愛とか付き合うとか、どうでも良くなったからな。


「あ!チョロゲ!卒業式の日には部室に来いよ?お前にプレゼントをやる。先輩からの心意気だ(笑)じゃあな、お幸せに!♥」


『え!?あ!先輩!待つっス!待って!』

 

 何か騒いでるけど…あんまり話してると惜しくなるから。

 もう決めたからな。逃げるって。





 しかし…逃げると言う卑怯者の常套手段を決めた人間に、神様はそれ相応の罰を与えたい様だ。


 それは仁先輩からのメールだった。


【ネコマチのケンがお前殺すって息巻いてるぞ〜、最低限、相談乗るけどどーする?】


 何故、俺はヒットマンに命を狙われているのか?

 訳わかわねぇ…いや、分かるけどさ。

 とりあえず相談しよう、逃げて良いか聞いてみよう…




「と、言う訳なんですよ。つまり微妙に嘘でもないけど浮気してない私ですよ?冤罪に限り無く近い犯罪とでも言いますか?って事で…」


 俺はクラブに行って仁先輩に今までの事を説明した。


『何それ、微妙…やる事やってんじゃん、唾液とかケツってお前…それ、チョロゲから言っても駄目なの?駄目だろうな、それ聞いたら付き合う前の事でもキレるわ(笑)』


「今、殺すって言ってるって事は駄目だったんじゃないッスか?それかチョロゲには言ってないか…」


『まぁ、ヤンチャ君は女の話なんか聞きやしねぇからな』


 うーん、と考えるスライム体型の仁先輩…何とかしてくれないかなぁ…


『ちょっとオーナーに相談してくるわ…ケンが今にもこっち来そうなんだよなぁ』


 今度はクラブのオーナーのチーコさんが来た。

 相変わらず怖い人だな、眼力が凄いんだよな…


『話は聞いた…クソ坊主、お前悪くないな?証明出来るもんないか?あるんだったらケンと言うか、ネコマチとウチで揉めてやるぞ?』


 えぇ?話がデカく…ちなみにチーコさんからは久宝から取ってクソ坊主と呼ばれている。


「いや、そんなバイオレンス路線、求めてないっス。それに何も証明出来ないんッスよ。俺とチョロゲ…マコが口裏合わせてたら嘘でも通るし…そもそもマコはケンの彼氏なんっすよ?あんまり波風立てたくないなぁって…」


『ふーん…そう、マコ…ケンの彼女の事を考えて…ねぇ…分かった。じゃあ、一発殴られろ。それでこの話は終わりにしてもらおう、どうだ?』


「殴られるんッスか?…マジっすか…」


 そこでスライム先輩が口を出す…


『いやぁ真偽不明で、ただケンの女に手ぇ出してたって話なら、一発だけで済むなら儲けもんよ?あの街の奴等は後遺症残るレベルでボコるし…もしくは延々と金を請求してきたり…』


 逃げられないって事っすね、つまり…


「じゃあ…一発殴られるのでファイナルアンサー」


『本当に良いの?それで(笑)』


 クソスライム先輩ムカつくぅ!


「良いっすよ、もう選択肢がそれしか無いっぽいし…やりますよ…それで皆、納得するでしょ…」


 するといきなりチーコさんが立ち上がり握手を求めてきた。


『良し!良く決めたクソ坊主!私が立会人になってやるよ。ハハハ!若者はこうじゃないとな!損得感情無しで体張る!美しいな!若いって事は!』


 何が楽しいのか分からないが、とにかく今後響かないならそれで良いや。


 そして俺が殴られる日がやって来た…卒業式の二日前…俺は何から卒業しようと言うのか(笑)

 はぁ…マジで(笑)ってやってないとやってられねぇ…

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