第7話 私はシュインと動き?…オー、ナル程その手があったっスね?
高校三年になってすぐ…か…もう卒業は難しいかな…
「フーッ…ブッ!?うむぐぅ!フーッフーッ」
『大丈夫だよ、すぐに人のいない所に行くから』
聞こえてくる一回り年上のおじさんの声。
『たすけて…』とは思わなかった。
腰を抱かれ無理矢理歩かされる、たまに尻を揉まれる。
黒い模様のある目隠しに、黒のマスクの中は舌を挟む様にして付ける猿轡のせいで唾液が止まらない。
「フーッフーッ…フーッフーッ」
コッコッコッコッコッコッ
聞こえるのは自分の吐息とブーツの靴音だけ。
まるで紐の様な下着を付けさせられ、後ろで親指同士を結束バンドで止められて、ミニスカートの様なコートを羽織る様に着ている。
これが先輩とのデートだったらと考えると切なくなる。こんな事されたら狂ってしまうだろうな。
勿論、先輩では無い…先輩の感覚、臭い、気配は何も感じないから。
だから私は一切感じない、少ない不快感のみ。
『事務所に着いたら良い薬あげるからさ。僕がいれば君等は一躍あの街から抜け出せるから』
薬?…あぁ、何にせよろくなもんじゃないだろうな。
でも、もし薬でも何でも、先輩に会えるならどんなに幸せだろう。
それにこの街から抜け出した所で何の意味がある?
どうせお前らの力で抜けた先には、私にとって何も無いのだから。
あぁ、薬があれば、私は居なくなったあの人を感じる事が出来るのだろうか?
もう何でも良い…ここが私の終着点であれ…でも…
『なにやってんだ!テメェッ!!』
『何だお前!?何やってんのか分かってんのか!?』
誰か助けに来たのかな?なんてね。
いや、誰が来たかは分かってるんだけど。
善意で、悪気無く、私の為に助けに来てくれてるのは知ってるのに……………
マッチポンプに感じるのは何故だろう?
この街は、私の生まれた世界は、いつもこの茶番の繰り返し。
物語は現実と違う、だから惹かれる、焦がれる。
だからこそ先輩、肉棒先輩は…あぁ…やっぱり先輩じゃないと私は…
―――――――――――――――――――――――
年が明けてから少し。高校一年の終わり。
ケンのいるリップスラップとユーカリのコラボ的なモノは成功した様だ。良かったですねぇ。
そう、圧倒的に他人事だ。
なのに…包囲網は確実に狭められていく…
【ネコマチのアイコン★ペロビッチ♥テンメイ】
音楽…特にヒップホップ、アパレル…セクシィなギャル、アート…荒れた街から生まれたカルチャーを牽引するネコマチのアイコンらしい。
ネコマチ…川○市と横○市の南部、海沿いの寂れた工場地帯の街で、いない筈の野良猫が未だに沢山いて、野良猫みたいな人間も沢山いる。
暴行、強盗、強姦、詐欺、器物破損に放火。
だからネコマチと言う名は、そんな荒れた街の俗称だ。
私はプロモーションビデオに出演の結果、一時期その街のアイコンになってしまう訳だが…その流れで言われた。
『マコ…俺と付き合ってくれないか?やっぱり俺にはお前しかいないんだよ』
「私…まだ恋愛とか良く分からないけど?」
『別に良いんだ、マコの為に努力するし、我慢もする。いつか分かってくれれば良いから…頼む』
時間は来てしまった、シンデレラ気取りの私のタイムリミット。もうお終い。
何となく肉棒先輩は知ってる気がした。
「ん、ちょっと考えさせて…」
返事を遅らせる、でも…ずっと守られてきて恩ある。しかも恋愛感情が出るまで待つという。
まぁでも、そこまで言われたら私に断る権利は無いのだと思った。
そして、新学期で学校に行く。
『そーいやさ、前に言ってた幼馴染に告られたよ…』
神様の悪戯なのだろうか?
肉棒先輩も同じタイミングで幼馴染に告白されていた。
ワザとタイミング合わせているのだろうか?
だとしたら相当悪質だ…いや、何が悪質か。
肉棒先輩の事は分からない、だけど…いつかはケンと付き合う時が来ると分かっていたのに、自分の欲で先輩に手を出した、私が一番悪質だ。
私は絞り出す様に言った。
「なるべくして…なるんっスねぇ……私もケンと付き合う事になったッス…」
中身の無い、そう、諦めの様な…
『そうなの?おめでとう!そうだな…俺も幼馴染は嫌いでも無いし…まぁ部活は…』
川の流れのように身を任せるしか無く
「ぶ、部活は…やめないっスよね?」
それでも細く拙い小枝に手を伸ばし
『あぁ、部活は…辞めないよ。チョロゲは俺の後輩で、俺は部長だからな』
助かったと一喜一憂する情けない私
「!?じゃあこれからもよろしくッスね!先輩!!」
このやり取り、第三者聞いたらどう思うだろうな…お前、何で告白しないの?って。
私達はやる事をやっていて、自意識過剰かもしれないけど、私だけじゃなくてお互い気持ちはあると思う。
でも…私からすれば先輩はケンに嫌な想い出があるし、それに地元や私の家庭環境はグチャグチャで、高校生の間はそこから逃げ出せる訳もなく…ん〜、駄目な理由なんか幾らでも…ある…だから…せめて肉棒先輩を見て、お話しだけでも…ね?…良いでしょ?…………
そしていつもの部活…だけど何となく分かっていた。
今日で最後にしないといけない…本当はイケ無い事。本当にイケない事…だけど…私は…動画を回した。
「ほら♥出したいんでしょ?せ♥ん♥ぱ♥い♥」
そう、肉棒先輩にも秘密にしている事がある。それは行為中の動画を撮り…SDカードに保存している事。
私の母親は若い男、ホストやら夜の仕事で知り合った男を家に連れ込んでいる。
だから私は殆ど家に帰らない。関わり合いたくないから。
「肉棒先輩は、肉いヤツですねぇ♥だって私のが…♥」
そんな母親に似てると思う時がある。
それは先輩を見ている時、先輩と一緒にいる時の自分だ。
身体を使って、縋りついて、性欲を発散して、都合の良い女を演じる事で男を繋ぎ止めようとする。
汚らしいと思った母親にそっくりな自分の一面。
「ほらほら…どっちに入りたいッスか?♥やっぱりそっ♥あっ♥ング♥フグぅッ♥」
先輩と触れると柔らかくなる
大事な所がメルトする、溶けて、溢れて
先輩が聞こえると耳から脳が熱くなる
溶けた脳で顔から体液が漏れ、脱力した馬鹿の顔になる
馬鹿になった私は、最後の一線を越えないように後ろでしてしまう、それがクセになり一人でもそうなる
先輩がいつもより激しい。
攻めも、受けも、前以外は全て、前だって入れないだけ。
身体が先輩をほしがる、もっと、もっとって。
処女膜があるのに子宮が降りてくる感覚。
先輩の指に触られたがっている。
もし触られたら、私は、多分壊れる。
「ォ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙♥♥もっどォ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙オ゙♥♥♥ォグゥ゙ゥ゙ゥ゙ゥ゙ゥ゙ゥ゙二ぃ゙ぃ゙ぃ゙ぃ゙ぃ゙♥♥♥ぃ゙ィ゙グウウウウウッッッ♥♥♥♥」
いつか…壊してくれる日を…
最後だと思えばより激しく…学校で…そして…
結局、私はケンと、先輩はその幼馴染と付き合った。
私がケンを紹介しないように、肉棒先輩も彼女を紹介しなかった。
だって理由なんて沢山あって、いちいち波風立てる必要もなくて。
私、天鳴マコは、ラッパーのケンの女になった。
そんな形になった。この形は酷く型にハマっていて、息も苦しく心も冷たい。
ケンが可哀想だとも思った、こんな奴と一緒で楽しいのだろうか?
それからプロモーションビデオにちょこちょこ出て、ケンといる時間が増えたせいか、ケンの知り合いと会う事が多くなった。
何か悪そうな黒を基調とした洋服のモデルもやった。
ケンのグループ、先輩のアパレルブランドだそうだ。
それがなんの因果か、人気が出た。
だから何度も撮影に行った。
人気が出たのは私のせいなのか聞くとケンから『せいとか言うな』と言われる。
少し前、ケンと付き合う前までは地元の知り合いから変な嫌がらせや悪口が多かった。
それが今や歯の浮くような褒め言葉や
人は皆好き勝手言う、私は先輩の幻を見ながら自慰にふけているだけ。
【16歳にはあり得ないセクシィな身体に迸るエロス、それがペロビッチ♥テンメイ】
そんな言葉聞こえない、ネコマチにいる私は、年齢の割に少し身長のデカい少しソバカスのある薄い顔の反応が薄いポンコツ人形、それが私だ。
『マコちゃんは化粧で本当に化けるよね、絶対モテるっしょ?』
「いや、なんも特徴がないだけでしょ?モテた事無いし」
言葉の一つも間違える、ささくれる。
一人になると自覚する気持ち、心。
考えれば考える程、私という人間には肉棒先輩の占める割合が大きかった事。
だからささくれる、色んな事を間違えてたかも知れないと。
新学期から余り学校に行ってない、切なくなるから。
違う…たまに会うと…会ってしまうと火がついてしまう。
これは浮気だ、私と肉棒先輩が違うと言っても。
身体が近付くと心が離れろと言って、心が近づくと身体が離れるように本能が動く。
前とは違う、肉棒先輩との関係を自覚するのが怖い…それでも先輩に会いたい…気持ちは増していくばかりだった。
ある日、モデルが集まる撮影とやらで少しだけ先輩に雰囲気が似てる人がいた。
『テンメイちゃん、若いのに仕事大変だね?』
「えぇ、でも学校行ってますよ?」
少し年上、だけど若いモデル、だけど何処か達観していて…優しい雰囲気が先輩に似ている。
『隣にカフェがあるからちょっと休もうよ』
「未成年だからお酒は飲みませんよ?」
『じゃあグレープフルーツで良いかな?はい、どうぞ』
「ありがとうございます…」
何となく、知らない事を話してくれる。
先輩め最初は自分の話をしていたな。
途中から小説の話ばかりだったけど…
この人とも出会いはこんなだけど、一緒にいればいつか先輩みたいに見えるのかな?
ケンには悪いけど…私にはこの世界で先輩と出会うしか無いのかなとか…
男の人は未だに怖いけど、もしかしたら少し成長したかなとか
もしかしたらエッチな事したら考える方変わるのかなとか
私はもともとそういうのが好きなのかなとか…
気付けばそのモデルが近くに座って話して…頭がぽや〜っとして…スカートの中に手があって…
アレぇ…先輩こんな所に…あれ、違う…先輩じゃないやぁ…………………………あっ♥
……………………………………………
「何でッ!?触んないでよっ!!!」
『うお!?何だよ!ビッチじゃねぇのかよ!?』
「何飲ましたの!?ふざけないでよ!帰る!」
一瞬感じた不快感、それだけを頼りに拒否した。
頭がぽや〜っとするが、勢いだけで外に出た。
何かやられた、飲み物だ…忘れていた。
ネコマチでは当たり前…女を車で攫う、飲み会の様なもので飲ませてトイレでやる、そういうのが当たり前の場所何だって。
よく聞く話だからショックは受けないけど…
いや、ショックだし、身体は熱いし…今日は漫喫に行って寝る事にした。
誰にも会いたくないから。個室に入り…録画した先輩との触れ合いを見ていた…ずっと…
次の日もぽやっとする。これは薬じゃない。
肉棒先輩の事を考えすぎた。
私は放課後、フラフラと部室に行く。
『おう?チョロゲ!久しぶりだなぁ!』
「せ、先輩!お、おお、お疲れ様ッス!」
と言っても1週間ぶりぐらい、撮影て忙しかったから。
肉棒って単語は言えなかった。言ったらスイッチが入りそうだから。
そしていつもの通り、寝転がりながら音楽を聞く先輩…私は頭が馬鹿になっていくを
(何か…何か方法が…何か…)
もうダメだった…椅子を近くに持ってきて、置いてあるギターを持って座って…弾く…
「えッと、これ踏んで音変えるんす…よね…」
先輩の腰の辺りの床に踏んで音が変えられる機械を置く。
そして靴を脱いで……………
先輩の股間に足を置いた。
グッグッグッグッグッグッグッグッ
肉棒♥先輩の肉棒!♥肉棒先輩の肉棒がビキッた♥
グッグッグ…ジー…リュっぬリュっグリュ…
気付けば足でチャックを開け、直踏みしていた。
これ駄目だ♥頭が駄目だ♥パーンって♥
『フーッフーフーッフーッフー』
「ンぉ♥おっ♥おお!?♥ぎっ♥ギタァ゙♥おぉ♥」
私のピックは弦ではなく下着をビッキングしていた。
スカートの中にある弦を激しく上下に弾く。
弦がどんどん硬く大きくなる。
ピックを持っていない左手は胸に添える、これまた弦を押さえる様に、胸の弦を激しく押し込む、動かす。
決して行為はしていない♥手と足を使って、私は、ただギターを…♥
ガラララララララッ
『あ!?おい、天鳴?』
「はおっ!?♥しえんしぇッ!?」
グウウウウウ…ビクビクビクッドピュッッドピュ
「出しッ!?♥ん!?♥オ゙♥せ!?♥ん゙ん゙ん゙ん゙ッ♥」
私の足にネバネバしたものが絡みつき、それを踏み込み足の裏が大事な部分になった様な錯覚に陥り、先輩と先生の前で甘く達した。
先輩は変な汗でビシャビシャになっている。
『お前学校来てたんなら職員室に顔出せ、出席日数で話あるから。それにしてもお前ら本当に仲良いな』
「は、はい!しぇんせぇ!あ、後でイキます!!」
『絶対来いよ〜』
ガラララララララ、ピシャ
チョロロ……………………
机があったおかげで完全な事件現場は見られなかったが…私はびっくりし過ぎてチョロゲでは無くチョロっと漏らした。
そんな事をしている…二年の夏前だった。
※次回から少し肉棒視点です。
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