第2話 外の世界

その後、2人でお城の近くの街を散歩して回ったり、眠っている動物を眺めたりした。ここまでは、平和だったのに、その後に私の人生を変える出来事が起こった。


一通り楽しんだ後、元来た道を戻ろうとした時、誰もいなかったはずの道から足音が聞こえてきた。何やら誰かが近づいてくる感じだったので、私たちは手を繋いで近くの物陰に隠れることにした。やってきた人は、私たちよりも少し年上くらいの綺麗な白いブロンドヘアの男の子だった。彼は、何やら探し物をしているような感じで、辺りを歩き回っていた。この物陰には来ないで、と願いながら私たちは息を潜めて彼が立ち去るのを待っていた。


その時だった。男の子に気を取られていたせいで、後ろから人が近づいてきていたのに気が付かず、私たちは口を覆われて何者かに捕まってしまった。

必死で叫ぼうとしても布が邪魔で声が出ず、動こうとしても、強い力で抑えられているせいで、びくともしなかった。

このままどこかに連れ去れれてしまったらどうしようと、本気で怖くなる反面、お父様の言うことを聞いていればこんなことにはならなかったのだと思う後悔とが混ざり合い、絶望に陥っていた。プラシも私と来てしまったせいで、こんな目に合わせてしまったし、本当にどうしよう、と誰かの腕に運ばれながら考えていた。その謎の人たちはとても歩くのが早いのに、微塵も音を立てないから誰も気づいてくれることはないだろうし、私たちが連れ去られた後、どうなるんだろうという絶望しかなかった。


しばらく謎の人に連れられた後、馬車の荷台に載せられた。手足と口が拘束されているため動けなかったが、目だけは月明かりだけを頼りにどうにか見ることができた。一緒に載せられたプラシが無事なことを確認すると、馬車の中を見渡してみた。一見物音が全くせずに静かだったが、微かに息の音が聞こえ、おそらく何人か他の子供たちも捉えられているのだということに気づいた。


自分たちが馬車に乗せられてしばらく経った後、自分たちを連れ去っただろう人たちの仲間が戻ってきて、

「今日はなかなかの収穫だぞ。子供は高く売れるから、しばらく俺らは豪華な暮らしができるぞ。」

と言う話し声が聞こえてきた。

怖くなってプラシの方を見ると、いつも冷静な彼女の目が少しだけ動揺しているのが見えた。外に出たらこんなことになるなんて知らなかった、本当にごめんねプラシ。と心の中で謝りながら、動き始めた馬車の揺れを体で感じた。

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