飴玉をなめるように詩を詠う
天ヶ瀬羽季
No.0 私の言葉
言葉はいつだって、正直だ。
きれいな言葉は、いつも輝いていて。
冷たい言葉は、心を冷やしてしまう。
人の紡ぐ言葉、その特別さはきっと昔から変わらない。
もしかしたら、昔のほうが言葉は重宝されていたのではないか。
そう最近の私は思う。
ラブレターを送るにも、まるで違うのだから。
今は、ピコンという、機械音とともに相手に届く。
好きだ。その一言で、相手に伝わる。
便利なものが増えた現代、一番便利になったのは言葉なのではないか。
昔の恋愛は大変だった。
恋文を送るとき、必ず相手を思った和歌を詠う。
好きなんてテンプレート化された言葉じゃなくて、相手のためだけに紡がれた言葉がそこにはある。
きっと、昔の女性はその特別さがうれしかったのだろう。
今の世の中で、相手のために紡がれるテンプレなんかじゃない言葉を伝える人はどれくらいいるのだろうか。
きっと少ない。
だから、私はこの店を開いた。
世間一般のための言葉じゃなくて、その人のための言葉を送れる場所を。
言葉の大切さを伝えるために。
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