第7話 伝説の勇者 ダッツ ヘルム
ギルドカードの変更後に別部屋に入りダンジョンの講習を受ける。
俺達がなったDランクは初級から上級ダンジョンまで入れるらしく。冒険者として一人前と認められるクラスらしい。
だがいきなり中級や上級に行かず、慣れるまで初級に行くことを進められた。
それと初級ダンジョンには伝説の勇者ダッツ ヘルムの部屋が有ると言っていた。その部屋は現在まで確認はされた事がないが、昔から言い伝えられているのだと言う。
勇者 ダッツ ヘルムが活躍したのは今から約900年も昔の話だ。
勇者のパーティーは剣士 デット、聖女 マリーン、魔法使い ウナエ、タンクのゴールド、勇者 ダッツ ヘルム。
この5人組だ。後の世にこのパーティー全員が勇者として崇められら事になる。
そこからさらに時が流れて行くと新たな勇者が現れる。その全ての勇者を称えたのが始まりで、現在の12星座の勇者の制度ができたと言われている。
それが12星座を冠する勇者だ。
おひつじ座 アリエスの勇者
おうし座 タウルスの勇者
ふたご座 ゲミニの勇者
かに座 カンケルの勇者
しし座 レオの勇者
おとめ座 ビルゴの勇者
てんびん座 リプラの勇者
さそり座 スコルピウスの勇者
いて座 サギッタリウスの勇者
やぎ座 カプリコルヌスの勇者
みずがめ座 アクアリウスの勇者
うお座 ビスケスの勇者
この勇者に選ばれる者達は全てにおいて人の領域を越えた存在だ。
一人一人が一国の兵力に相当すると言われる強者揃いで、基本的に一般人とは接点がないと我々は聞いてきた。
にも関わらずすでに2人の勇者と知り合ってしまった。ギルマス うお座 ビスケスのレイン、おとめ座 ビルゴのマーチ。
もしかしたらこの街に来たのが間違えだったかも知れない。
と、そこまで話を聞いた所でマーチさんから文句が出た。
「私はタツキさんやギルマスの考えに反対します。出来ない人を昇格させたりすることもそうですが、弱い者は弱いと知らしめるべきです。
出来ないなら最初からやらない、そうすれば死ぬ事は無いのですですから。
弱い者はいりません」
マーチさんの考え方はこの世界では普通なのかも知れない。
弱い子供は不要。だから俺も兵役に売られたんだろうな。
「俺が強くなれたのはルージ兵団長のおかげです、ルージ兵団長は決して諦めませんでした。
俺がミスをしても、上手くできなくても。
俺は100人隊長になるために様々の技術や知識を得ました。でも、それは最初から出来たわけではありません。
ルージ兵団長が根気よく、何度も何度も教えてくれたおかげです。
弱いから駄目だ。才能が無いから駄目だ。
その考えで行くと、俺もダリアもここにいませんし、もしかしたらすでに死んでいたかもしれません」
マーチさんが少し考え込んでしまった。
翌日に早速初級ダンジョンに入る事にした、依頼は受けずに先ずはマッピングやモンスターの種類、強さを調べる目的だ。
前もってダンジョン地図を買ってダンジョンにくる。
初級ダンジョンは迷宮形と言われるダンジョンらしい。通路にモンスターは出ないが各部屋にモンスターがいて、そのモンスターを倒すと次の部屋に行くことが出きるようになっているらしい。ここ、初級ダンジョンはそう言う造りなのだそうだ。
ダンジョンの各部屋の前には転移魔石があり、その石に触れるとダンジョンの入り口に戻る事が出来るようになる。
最初の部屋にくる。最初の部屋はスライム部屋。
スライムが10匹程いて、全てを倒す。
スライムは兵役の賄い業務から、兵士に切り替わると最初に倒す事を求められるモンスターだ。
モンスターの中では確かに弱いが気を抜くとやられる事すらある。
スライムを倒し魔石を拾うと部屋を出て次の部屋に向かう。
次の部屋はコボルトの部屋、コボルトが10匹にコボルトリーダーと言われる強いコボルトが1匹。
コボルトにコボルトリーダーがいるのは、初級ダンジョンとは思えない。ダンジョンレベルが高い気がする、何より出現するモンスターの数が多い。
ダリアと2人でコボルト達を倒し次の部屋にくる。
次の部屋からはゴブリン部屋だ。
出てくるのはゴブリン、ゴブリンリーダー、ゴブリンジェネラル、ゴブリンロードだ。
どう見ても初級ダンジョンじゃ無い気がする。
FランクやEランクにゴブリンジェネラル、ゴブリンロードは難しい。
実際、俺達も対人戦闘はなれているがモンスターは違う。俺も隊を率いてゴブリンの村を殲滅させたり際にゴブリンロードと当たった事が有るが、その時はかなりの苦戦を強いられた。
たがまだ兵士が10人以上いてゴブリンロードとの対戦だ。今回はダリアと2人だ。ダイブを行ってもゴブリンリーダーの部屋までだ、それ以上は俺達も戦い方になれる必要がある。
「ダリア、今回はゴブリンリーダーがいる部屋までだな。思った以上に数が多い」
「そうだね。ゴブリンジェネラルになると私のレベル的にかなり危険な気がする」
ゴブリン部屋に入る。しかしダンジョンの中って不思議な作りだら部屋の中はだだっ広い洞窟のようになっていてゴブリン達が生活しているであろう跡がある。
通路に沿って中を進むと、枝別れしている。索敵を使い確認すると1ヵ所に大量のゴブリンがいる事がわかった。もう1ヵ所は誰もいない部屋になっていた。
「ダリア、先に誰もいない左の通路に入る」
「え! 左の通路?」
「大丈夫。怖くはないから」
そう言うとダリアの手を握って左の通路に入る。何故かダリアが少し抵抗したが構わずに進む。
3m位進むと部屋がある、部屋の扉を開けて中に入る。
そこは誰かの生活スペースだ。だが誰も使っていない、直感的に相当感じた。
「お兄ちゃん、ここなんだろう?」
「ああ、人が使った後が有るけど、人が住んでいる様には見えないね」
「でも、おかしくない。この間取り、ベットと大きな鏡しか無い部屋でどうやって生活するのかな?」
そう言われ鏡を見る。壁一杯に張られた大きな鏡はこの部屋全てを写し込んでいた。
ふと視線を感じてダリアをかばい剣を構える。
視線は鏡から感じた。
ダリアも異変を察知したらしく剣を構え、鏡を睨む。
「誰かいるのか? いたら助けてくれ」
何処からともなく男の声が聞こえる。
「なんだ、いないのか。なぁ、誰かいたら教えてくれ。縛られて動けずにいる。助けてくれ」
今度はハッキリとその声を聞いた。それはダリアも聞いたようでお互いに顔を見合せて少し緊張してしまう。
「そこに誰かいるのか? 俺はタツキ ムルシアと言う」
「おお、来てくれて助かる。俺はダッツ ヘルムだ。
じじいにいたずらがばれてここに繋がれてしまった。もう3日も飯も食えていない。
誰だか知らないが助けてくれ」
「ダッツ ヘルム?」
ダリアと2人で顔を見合せる。そして恐る恐る鏡に近づく。
するとそこは違う部屋が映っていた。納屋のような所で、柱に15歳位の男が縛り付けられていた。
ダリアと2人で鏡に手を付く。それ以上は行けないようだ。
「悪いがここから先には進めない。どうやったら助ける事が出来る?」
ダッツ ヘルムと名乗った男が俺達を見て首をかしげる。
「そこから入れないのか。
困ったぞ。あのじじいの事だ、強力な魔法でも使ったんだろう。
あ! タツキだったな、スラッシュを撃ってくれ、それならこの魔法をすり抜ける事が出来る」
「スラッシュ? すまない。スラッシュってなんだ? 剣術なのか?」
「は? おま、スラッシュ知らんの?
剣術の心得がないのか? そんなごつい剣持ってる癖に」
「すまん」「すみません」
何故かダリアまで謝っていた。
ダッツがあきれたように俺達を見る。
「いい、なら教えてやる。先ず剣に魔力を回す」
ダリアと2人、剣を取り出すと剣をかまえ、魔力を剣まで回す。
「剣まで魔力を回した。この後はどうすれば良い?」
「出来たか、それじゃあ。剣の斬撃が飛ぶように意識して剣を振る」
2人揃い剣を振る。
「ザシュッ」「ポフ」
「おい、タツキ。お前今のなんだ。ポフって」ダッツ ヘルムがさらに呆れた顔で俺をみる。
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