第6話 話合い


「う〜ん…… こんなに違うんだぁっ!?」


 ユウカは紙に書き出されたツトムのステータス数値を見て自分のステータス数値と比較して驚いていた。


【ツトム】

位階レベル∶38

体力∶16,700

魔力∶13,900

気力∶32,800

耐力∶15,500

攻力∶12,400

防力∶12,000


【ユウカ】

位階レベル1

体力∶120

魔力∶600

気力∶1,200

耐力∶450

攻力∶240

防力∶350


 ツトムは異世界でレベルを上げていたが、ユウカはまだレベルは1である。そのレベル差はあるにせよユウカにはもしもツトムと同じレベルになっても能力の数値が追いついてない気がしていた。


 そもそも協会認定のSSランクの立花と比較しても


【立花】

位階レベル∶28

体力∶2,600

魔力∶900

気力∶1,800

耐力∶1,900

攻力∶1,360

防力∶1,130


 この違いである。立花の数値はSSランクになった時の数値なので、今ではレベルも上がって数値も上昇しているだろうが、もしもツトムと同じレベルになっていてもツトムほどの数値になっているとは思えないのだ。


「ねえ、どうしてツトムの数値はそんなに高いの?」


 ユウカは分からない事は素直に聞くタイプである。なのでツトムに質問した。


「僕の数値が高いのは何でかははっきりしないけど、ひょっとしたら向こうでは魔物を狩って食べてた影響なんかもあるのかもって思ってたんだ。こっちでは狩った魔物を食べたりはしてないんだよね? けどそれだけじゃない気もするんだ。だってあの四人はもっと凄い数値なんだよ。コウスケさんなんてレベル55で体力78,000もあるんだよ。アヤカさんなんてレベル50で気力80,000だよ。テッシンさんはレベル53で耐力68,000だし、リカさんはレベル52で魔力100,000超えだよ。僕なんてあの四人に比べたらまだまだだよ」


 ツトムの言った数値に頭がクラクラするユウカ。その数値だとコウスケたちは協会認定ではランクなど付けられないほどの高いステータスだと良く分かる。ツトムでもかなり凄い数値だというのにあの四人はどんな凄い人たちなのかとユウカは思った。

 

「昨日の夜に見せて貰った日本で協会からSSランクに認定されてる人のステータスをもう一回見せてくれる、ユウカ?」


 ツトムに言われて剣聖の立花のステータスをちょうど出していたのでその画面を見せるユウカ。画面を覗き込んだツトムは


「これで本当にSSランクなの? 向こうの冒険者ギルドだったらオークに遭遇したら逃げろって言われる数値なんだよね……」

 

 そう言って暫く考え込む。ツトムの言葉に異世界怖いと思うユウカであった。


「ちょっと待ってユウカ。そうなると地球のダンジョンに居る魔物ってかなり弱い?」


「私には分からないよツトム。まだ入った事は無いし」


「あ、そうか、ゴメン。でもそう言えばうちの親のあのショボい結界で大丈夫だということは……」


 そう言ってまた考え込むツトム。そこにインターホンが鳴って画面を見ると四人揃ってエントランスに居たので扉のロックを解除したユウカ。


「ツトム、コウスケさんたちが来たよ」


 沈思黙考していたツトムにそう声をかけるユウカ。


「あ、そうなんだ。分かった。それじゃみんなの意見も聞いてみよう。僕だけだと偏った考え方になるかも知れないから」


 ツトムも考え込むのを止めて四人が部屋に来るのを待つ事に。三十秒ほどで四人が部屋にきたのでさっそく話合いをと思ったのだが……


「ツトム〜、腹減った〜」

「ツトムく〜ん、朝ごはんまだ〜?」

それがしは茶漬けで構わんからな」

「リカは朝はパン派なの、ジャムがあれば尚良し!」


 という訳で先ずは朝食作りとなったのであった。


 みんなのリクエストに答えて朝食を作り、食べ終えてようやく話合いが始まった。ツトムの向こうでは狩った魔物を食べていたからそれによる数値上昇もあったのではという考えも四人には伝えた。

 アヤカはユウカの数値を見て言う。


「うん、ツトムくんの言うことも一理あるかも。ユウカちゃんの気力の数値がレベル1にしてはかなり高いものね。魔力600も多い方じゃない。リカどう思う?」


「そうだね。私たち四人は別にして、ツトムくんは確か魔力は低かったよね?」


「僕はレベル1の時は魔力は90でしたね」


 会話を聞いてユウカは


「あの、参考までに覚えてるだけで良いので皆さんのレベル1の時の数値って教えて貰えますか?」


 と言い、それに答えてコウスケたちは覚えてる限りの数値を紙に書き記した。


【コウスケ】

位階レベル∶1

体力∶3,000

魔力∶650

気力∶2,000

耐力∶1,800

攻力∶1,670

防力∶1,280


【アヤカ】

位階レベル∶1

体力∶1,200

魔力∶2,000

気力∶1,700

耐力∶1,200

攻力∶1,020

防力∶1,180


【テッシン】

位階レベル∶1

体力∶2,200

魔力∶800

気力∶1,900

耐力∶1,900

攻力∶1,580

防力∶1,150


【リカ】

位階レベル∶1

体力∶1,020

魔力∶5,000

気力∶1,600

耐力∶1,000

攻力∶980

防力∶1,000


【ツトム】

位階レベル∶1

体力∶100

魔力∶90

気力∶1,800

耐力∶80

攻力∶60

防力∶70


「ツトムってこんなに低かったの!? それに皆さんのステータス数値が異常過ぎます!」

  

「いや、まあ、俺たちは何でか知らないけど召喚された時に魔力を体内に取り込んでそれをステータス数値に変換したって事らしいんだけど……」


「英雄として召喚された時にはそうなるんだって召喚を実行した王国の国王から説明を受けたわ。だから、私たち四人の数値はあまりアテにならないと思うの」


 コウスケに続いてアヤカの捕捉説明によって参考になるのはツトムのだけだと分かった。


 そのツトムはと言うと……


「ホントだ…… 今のユウカよりも弱い…… 僕って軟弱だったんだ……」


 と落ち込んでしまっている。しかし、リカからその事について説明があった。


「でもツトムくんはあの時は十才だったよね。年齢も関係あると思うよ」


 ツトムの顔には救われたという表情が表れていた。


「そうですよねリカさん! そうだ、僕は十才だったんだ! その事に気づかないなんて僕はどうかしてました」


「まあそれがしの知る限り、異世界の同じ年の子らよりもかなり低い数値ではあったがな」


 テッシンの言葉にツトムはズーンという感じで落ち込み、


「テッシンさんのご飯は今後は塩粥だけです……」


 と逆襲の言葉を呟いた。


「いや、待つのだ、ツトム! それがしはそんなつもりで言ったのではないぞ! そこまで低かったツトムがやがてはギルドからSランク認定までされ、世界中に弟子を持った物凄い料理人になったという事をユウカ殿に伝えたくて敢えて言ったのだ! なので塩粥は朝食の時だけにしてくれ!!」


 朝食ならば良いのか? と他の三人は思ったが黙っていた。とばっちりが来るのを避けたのだ。


「そうですか、テッシンさんはユウカに僕の凄さを知らせる為に! 誤解してました、ごめんなさい!」


 ツトムはチョロかった……


『ふう〜、危なかった…… ツトムの料理の数々を食べられなくなる所だったぞ! それにしても、こ奴らめ! 助け舟を出してくれても良かったろうにっ!!』


 テッシンの内心はこうであった。


「フフフ、私はツトムが凄いのはもう知ってるから大丈夫だよ。それよりも、本当にそうですねテッシンさん。ツトムのレベル上昇によるステータス数値の上がり方はやっぱり向こうで魔物を狩って食べてたからなんでしょうか?」


「うむ、ユウカ殿。その可能性が高いとそれがしも思う。リカはどう思う?」


 テッシンは魔導師でありその知識の豊富さから異世界では賢者とも呼ばれていたリカに意見を求めた。


「うん、私も同意見だよ。気力が高いのはアレだよね、ユウカちゃんにもう一度会うんだっていう強い意志があったからだと思う。ユウカちゃんも気力の数値が高いでしょう。それもツトムくんに会うっていう強い意志があったからだよ」


 リカの説明にツトムもユウカも顔を赤らめながらもお互いを見つめ合って微笑んだ。


「しかし、これでSSランクに認定されるって地球では俺たちのステータス数値は出さない方が良いかもなぁ」


 コウスケがそう言うと全員が頷いた。


「そうよね、コレが日本だけじゃなくて世界レベルなんだとしたらマズイわよね? どうする?」


 アヤカの言葉に全員が考え込む。そこでリカが提案する。


「もう難しい事は偉い人に投げちゃいましょうよ。ほら、内藤さんに、ねっ!」


「「「「「それだっ!!」」」」」


 全員の意見が一致して内藤大臣の胃に穴が開きそうな相談が六人からされる事に決まったのだった……


 








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