言葉の写真
一九十海
青空に金木犀のふわりふわ
年々、夏が長引き秋が短くなっているが、今年の秋はやけに短かいように感じた。そんな暑い11月の日だった。着ていたジャケットを小脇に抱え、電車に遅れまいと狭い路地を大股で歩いていた。時折、私の顔を涼しい風が撫でる。幾度目かの曲がり角に差し掛かったとき、黄色く甘い香りが鼻腔をくすぐった。それはまるで焦っている私を優しく包み込むような、そんな甘い香りであった。思わず私は歩を止め、上を見上げると、そこには突き抜けるような青空が広がっていた。
青空に金木犀のふわりふわ
自然のものたちは秋の訪れを感じていたようだ。
その瞬間は私の中で無限に引き伸ばされ、今も黄色の香は息づいている。
私は我に返り、喧騒へと歩みを進めた。
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