第19話 カードゲーム?

その奥から一際豪華な装飾がついた武装を身にまとった男性が俺の前に出てくる。


「貴様がアルだな。貴様には死よりも辛い拷問を与えてやろう。カーディスや我々カルド家の苦しみはそんなものではないがな」


そうだそうだ! と彼らの一族と部下達がこちらに向かってはやしたてる。どいつもこいつもいやらしい笑みを浮かべている。話が通じそうにないが一応会話をしてみるか。


「むしろ俺は彼にはめられたんですが」

「そんなことは知っている。だがな虫けらとカーディスとではそもそも命の重さが違うのよ。なあ、皆」

「虫けらには死を!」


話し合いで解決は無理そうだな、一生平行線のままだろう。部下も部下だ、のりのりじゃねーか。誰一人として躊躇している人間はいない。なら手加減の必要はないな、正直助かる。


「わかりました、では決闘を」

「受けた」


一対二十の戦闘、二十人全員にアンティルールが適応された。一人一人カードを奪うのは面倒だからよかった。戦闘準備を終え、後は戦うのみ。


「どうした? 普通の服のままで。今更許しを請いても無駄だぞ」

「もう準備は出来てますよ。では開始」


着の身着のままで戦闘開始。


「おのれ、なめおって! いいか殺すなよ、生け捕りにするんだ」


彼らがこちらに向かって突撃してくる。俺はカードを一枚召喚する。禁止カードナンバー5。


「いでよ風圧王!」


俺の手にスイカ程度の大きさで丸いカードが現れる。その瞬間、カルド家のピースや装備がカードに戻る。ピースに乗っていた者は勢いよく転倒。カードは俺の手に吸い込まれるように集まってくる。手持ちのカードはすべて俺の手に、スキルカードや特殊カードもこちらに流れてくる。俺はこのカードを数枚ずつ縦において一枚ずつずらして円を描くように設置。


「一体何事か!」


転がり落ち地面に横たわっているグリマンが吠える。半裸になって太った体があらわになり迫力がない。彼らは馬事雑言を浴びせてくるが構わず並べる。


「よし準備完了と」


相手の手持ちのカードを全て地面に設置。このカードを地面に叩きつけひっくり返った場合は即使用不可になるという特殊中の特殊な禁止カード。強力なため一日一回の使用制限あり。この強力な効果を最大限発揮するために、俺はメンコの達人の下で修業を開始。最初は苦労したが一枚二枚、ひっくり返すことができるようになっていく。そして最後の試練を乗り越え見事免許皆伝となった日に禁止カードの発表がされた。しかしまさかこの技を使う日が来るなんてな、人生わからないものだ。師匠、見ていてくれ、俺のメンコ道の集大成を!


「奥義サンウエーブ!」


飛び上がり風圧王を中心に叩きつける。風を受け、カードがまるで波を打つかのようにひっくり返っていく。飛び上がったのは脚部分が風を防いでしまうため。全てのカードがひっくり返り使用不可能となった。勢いよく先頭を走ってきたグリマンは俺の近くで唖然としている。剣を呼び出しその首に突きつける。


「まだやりますか?」

「ぐ、ぐぬぬ! ……降参だ」


全員分のカードが俺の下に。精査している時間はないな、強そうなピースを奪いそれでよしとする。数もあるし部下の分は全部削除でいいか。


「くっ!」


ここで二人の部下が逃げ出す。ん、変だな様子がおかしい、だが今はこちらに集中すべきか。彼らとまだ戦闘をする必要がある。強力なルールだけど一枚ずつってのはネックだな。そうだ挑発して戦ってもらおうか。


「カルド家って虫けらに負ける程度の一族なんだ。悔しくないの? もう一度やる?」

「くくっ、虫めが言わせておけば! いいだろう受けてやる!」


怒り狂い挑戦を受けるグリマン。準備をしようとしたがカードを使えないことに気が付く。焦っている様子、ここでさらなる挑発。


「世界最弱って呼ばれている人間に負けるなんて世界最弱の家なんだね」

「こ、殺してやる、殺してやるぞ! 貴様なんぞ裸でも!」


血管が浮き出て怒りが頂点に達するグリマン、冷静な判断ができなくなったようだ、いいぞこちらのペースだ。ただ裸でも向こうは高レベルだからこのままだと実際負ける。というわけでカードを召喚。


「いでよ、金剛石の巨人の守護神!」


俺の目の前に巨人が出現、驚くグリマンを巨人が掴む。抵抗するがびくともしない。巨人をよじ登り腕に立って再び剣を突き立てる。


「降参だ!」


やけくそ気味に降参、地面に投げつける巨人。ぐえっという声を出し地面に横たわる。カードを処理、まだまだいくぞ。俺がまた挑発をすると乗ってきそうになったグリマン。


「お、お待ちください、コイツはどうやら我々のカードを奪う能力を持っているようです、ここは引くべきかと!」


冷静な部下がいたか。


「う、うむ」


受けなかったか、思った通りいかないな。ではここで奥の手を。一枚のカードを召喚する。


「これなーんだ」

「こ、これは、まさか息子の!」


凄炎の狂暴者を召喚、彼に見せる。そしてその目の前で削除してみせた。


「あなたの息子さんは二度とこのピースを召喚できなくなりました」

「き、貴様ぁ!!」


再び殴り掛かってくるグリマン、そこをキャッチする巨人、また剣を突き出して降参させる。我ながら嫌なこと思いついたな、こっちの道が向いているのかもしれない。って、どんな悪の職業があるのかな。再び地面に投げつける。

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