第8話 節約術
三セットを終わらせ借金を返し午後はのんびりと過ごし大野営地へ。追加で稼ごうかと思ったが野宿を経験しておくのもありだなと依頼は受けなかった。地面で寝るのは初めてだが思っていたよりも寝心地がいい、土や草のにおいも苦にならない。大草原の大自然に抱かれ次の日。コスト回復を手に入れたし一気に仕事を増やそうかな。最大でコスト22、よーし一気に七セットだ! 七枚引きはがし受付へもっていく。
「こんなに受けて大丈夫?」
「あ、レベル上がって余裕で倒せるようになったんですよ」
とっさにごまかす。そうだよな、急に増えすぎたよな。しかし心配してくれるなんてドーレさんはやっぱり優しい。依頼を受けギルドを出る。念のためポーションを多めに買っておくか、道具屋へ。
「いらっしゃいませ」
「それでどうなのさ」
「ごめんなさい!」
店に入るとこちらにあいさつをする女の子の店員、そしてその子を口説いている男達、また会ったな三馬鹿。フラれて移動する三人。彼らとはかかわらない方がいいな、素通りして奥のポーション置き場に移動。
「お、昨日の少年じゃないか」
声をかけられてしまっては無視するわけにもいかないな、面倒なことにならなければいいけど。
「その節はどうも」
「ああ、ポーション買ってるのか」
「へへ、いいこと教えてやるよ。買う必要はねえんだ」
小声で俺に話しかけてきた、男の目が怪しく光る。店員を気にしている様子。まさか盗む気か!? ついに正体を現したな! 流石に現場を見てしまったら通報するしかない、三馬鹿よ、覚悟するんだな。三人は俺を連れ外に出る。あれ? 道具袋から小さな果実を取り出した。
「大草原に大量に落ちている果実だ」
見たことがあるな、卵くらいの大きさの果実。それを握りつぶしてポーション瓶に注ぐ。後は水を入れてポーションの完成。市販品よりも効力が弱いが低レベルの俺には十分な品。何よりそこら中に転がっていて無料で作成ができる。
「普通はお節介焼きな先輩冒険者が教えてくれるんだが」
「俺達すら知っているくらいだからな」
「お前のその状況じゃ仕方がないか」
先輩冒険者に逃げられたなそういえば。こういった立ち回りが楽になる生きた情報を入手できないのはなかなか痛い。
「PT、ああ、誘われないか」
一般的な冒険者はすぐにPTを組み草原よりも金も経験値も効率がいい魔物がいる狩場へ行く。そこならポーションを作るよりも狩りをした方が儲かるため彼らはポーションを買う。知らなくて一人狩りだとしても普通はポーション代でそこまで困らないのだが借金中の俺にとっては非常にありがたい情報。更に大草原に生えているハーブや野生のニンニクまで教えてもらい店で売っている香辛料等を買う必要がなくなる。本当にいいことを教えてもらった。
「じゃあな」
手を振り去っていく三馬鹿。店員を気にしていたのは俺が買わなくなることで商売の邪魔をしてしまうからか、意外と気を使っている。……問題児ではあるけど俺にはやさしく世話をしてくれた人達ではあるし三馬鹿は失礼か、今後は三兄弟にしておこう。街から出て大草原へ。敵を倒しながら解体と果実、ハーブの収集、ポーションの作成をする。昼前にコストが尽きる。
「いでよ、神炎の水」
飲み干すとコストが全回復、やはり壊れだな。狩りを再開。昼食はキバ鳥、教えてもらった調味料はなかなかいける。こうして七セット分を達成。今日は400を支払う、借金返済は早くに終わりそうだ。宿を取り一夜明け今日も狩り、大草原の前に立つ。英雄も俺も強くなったこともあり戦闘はとても余裕があった。ふふ、これなら今日も楽勝だな! 二十分前まではそう思っていた。
「神様すみません、調子に乗ってました!」
現在四匹のキバ鳥に追われ大草原を疾走中。気を抜いたらこれだよ、やはり注意して行動すべきだね。キバ鳥は鈍足、縄張りの範囲から出れば追ってこなくなると逃げ切るのは簡単だが逃げている最中に他のキバ鳥に追われたり、人を巻き込まないように走る等、意外とまくのは面倒。走っていると前方に魔法使い風の男性を視認、いけない、進路を変えないと。
「そのまま走り抜けて!」
男性はそう言うと親指で後ろに行けとジェスチャー、指示通りそのまま駆け抜ける俺。そしてキバ鳥が男性に襲い掛かる。杖を構えてこれを迎え撃つ、一匹を杖の先端で突き刺し殺し、蹴りや拳で残りを片付けた。おおー、魔法使いだから心配だったけど、問題なく倒してしまったな。俺よりもレベルが高い人だろう。
「ありがとうございました」
「いやいや」
ロングの金髪、笑顔で答える男性。
「ポーションの果実を拾っていたら君が見えてね」
「見たところ俺よりもかなりレベルが高そうですがポーションって使うんですか」
「ハイポーションの材料になるんだよ。買うと高くてね」
へー、そういうことか。ああ、ちょっと強そうな冒険者をたまに見かけたのは果実拾いか。
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