異世界禁止カード使い ~建国以来最弱のカード使いと呼ばれた男の物語~
保戸火喰
第1話 異世界へ
「来たかアルさん、欲しがってたカード入荷したよ」
「見せてくれ」
俺の名前は金戸有(カネド アル)、一般的な会社に勤める29歳男、趣味はカードコレクション。足しげく通うカードショップで狙っていたカードを入荷し小躍りしながら店長の前へ。手に持ち表裏を確認後カードを購入してホクホク顔で自宅に帰宅する。用意してあった観賞用ケースに入れ、テーブルに置きお酒を飲みながら鑑賞を楽しむ。集めているカードは通常のカードからゲームセンターのカードゲーム、ソシャゲのデータのカードまで何でも。中でもコレクションケースに飾られたカードはお気に入りのカード達。
「禁止カード、今では誰も使うことができないカード」
数多くのカードを集めているがメインは禁止カードの収集だ。禁止になった理由は単純に強すぎてゲームを壊すから禁止になったものから、カードを投げて下に潜り込めば倒せるなど本来のルールを壊すものまで様々。ユニークなカードが多く気が付いた時には禁止カードを集め始めていた。変わったものが多いからね、コレクション魂が当然うずく。
「結構お金を使ったな、もちろん満足しているが」
グラスに酒を注いでいると知人から電話がかかってくる。近々おこなわれるカードゲーム大会の話だった。参加予定と伝え軽く会話をして電話を切る。
「準備をしますか」
収納ラックからカードを取り出しテーブルに広げてデッキを組み始める。入手したカードのゲームはしっかりとルールと戦法を覚える。集めるだけではなくプレイヤーとしてもそこそこ活動している。今度参加する大会は優勝したことがある大会だから自然と気合が入る。情報を整理しながらカードを組んでいく。時間を忘れ作業に没頭する俺、かなり熱中したな、今何時とスマホの画面を見る。
「もうこんな時間か」
あっという間に時が過ぎそろそろ就寝の時間。楽しいことやってるときって時間が過ぎるのが早すぎる。風呂に入って歯を磨きベッドにもぐりこむ。ふっふっふ、今度の大会も優勝してやる、静かなる野望を胸に俺は眠りについた。その夜は優勝した夢を見てご満悦。翌朝は徐々に目が覚めていくがどうも様子がおかしい。
(朝か、それにしても振動がすごいな、近くで工事でもしているのか)
しかもごつごつしているところで寝ているようだ、ベッドから落ちたかな。そう思っていると突然床が跳ね上がる。ふえっと間の抜けた声を出しその場に起き上がる。
「起きたか少年、そろそろ街に着くぞ」
知らない人が俺に話しかけてきた、いやそれよりもここはどこだ? 馬が荷車を引き道を進んでいる、どうやら馬車に乗っていたようだ。日本で馬車なんて使っているところはない。男性が着ている服も現代的ではない、よく見ると俺の服が寝た時と違う服になっている。
「あはは、どうやら寝ぼけているようだな。近くに川がある、顔を洗ってくるといい」
混乱しつつ言われた通りに川へと向かう。まてよ、このシチュエーション、どこかで見たことがあるぞ。そうだ、家庭用ゲームだ。あるゲームのオープニングのお話、少年が立派なカード使いを夢見て街に来るストーリーにそっくりだ。カード使いとは自分が持っているカードから味方や武具を召喚、魔法などを使って人類の敵である魔物と戦う職業。馬車のつくりもあの男性もそのままだ。ということは俺はその世界に飛ばされてしまったのか。いやしかし29だから少年はきついな。顔を洗おうと川に近づく。
「ん? あれ誰だ、ってもしや若返たのか」
どう見ても中学生くらいの年齢の顔が水面に映し出された。まあ異世界に飛ばされたくらいだ、若返っているくらいでは驚かない。顔を洗い頭を整理する。少しずつこの環境を受け入れ始めている、現代社会でカードのことばかり考えていたから突然来た非日常でも受け入れられたのかも。馬車に戻り再出発。
「世界一のカード使いになるんだったな、頑張んな」
話の内容がゲーム通りだ、強烈なデジャブを感じていた。男性は商人をしているそう、街へ商品仕入れのついでに俺も乗せてくれていた。
「この丘から街の全貌が見えるぞ」
丘を越えるとかなり巨大な街が見えてきた。周りを城壁や堀で囲い、川が中央を通っている。ディムング王国最大の街、オストの街、北には王都がある。男性から街のことを詳しく聞きながらのんびりと進行、こうして街に到着した。俺は街の入り口で男性と別れる。
「そうだ、街の地図をやるよ。んじゃな」
「ありがとうございました」
街に入っていく馬車。様々な人達が街を出入りしている、人間以外もいるな、狼人、羽が生えている者。あれ、彼らは別ゲームの人達だな。建物や服装も違う、しかしどこか見たことがある。どうやら遊んだことがあるカードゲームの世界がごちゃ混ぜになっているようだった。
「とりあえず突っ立っていても始まらない、カード使いを目指すことにするか」
男性に聞いたところ、カード使いになるには冒険者ギルドに行けばなれると聞いていた。ここはあのゲームと同じだな。貰った地図を見てギルドを見つけ建物の中へ、受付の女性がずらりと並んでいる。空いている受付へ行き話しかける。
「ようこそ、冒険者ギルドへ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます