アラミリア(1)

 うーん。

 異世界で新たな人生って、黒かったけど白く漂白された人が言ってたけど。

 うーん、それってどうなのかな?

 僕、実はもう生きてるの嫌になってきてたんだけどなー。みたいな。


 だって、僕は自分のことが好きじゃない。

 違う、僕は自分の身体が好きじゃないんだ。


 昔からなんとなくおかしいなって思ってた。

 男の子の恰好してもなんか違うって気がしてた。

 服の色だって青とか黒とか緑とか、あんまり好きになれなくってね。


 近所の女の子が白とかピンクとかのさー、可愛い色の服着てるの、良いなー。って思ってたんだ。

 小学校じゃ、上級生になっていくと、周りのさ、僕って言ってた子たちも、俺って言うようになって、でも僕はなんか嫌だったんだよねー。

 そう。

 だよねーって言うのも皆、だよなーってなっていってさー。


 決定的だったのは中学校に入った時だったかなー?

 制服。

 お母さんが「ほら! あなたこんなのみたいよ! 制服」なんてカタログ見せてくれた時に、すっごくだったんだよね。

 えー!?

 みたいなさー。

 だってさー、女の子の制服の方が可愛かったんだもの。

 だから、お母さんに言ってみたんだ。


「僕、この制服ヤダよ」


「えー? そう? 悪くないデザインだと思うけど」


 なんて言うから。


「女の子の制服のほうが良いよ」


 って言ったらさ。


 そしたら、「え? ええ!? そうなの?………」なんて言ってさ。


 今でも覚えてる。

 それで俯いたままで、


「じゃ、じゃあ、そうね、お父さんにも相談しましょう」


 ってさー。


 結局はとりあえず、しばらく男の子として様子見ようってことになった。


 お母さんのことは好きだったよ。

 お父さんのことも嫌いじゃなかった。


 でも、その日からなんか、おかしくなっちゃったんだ。

 変になっちゃったんだ。

 家の中。

 でも、それまでに僕が変になっちゃってたんだなって思ったりしてた。


 うん、そうだよね。

 僕が変なんだ。って。



 あれから僕はずっと変なんだー。

 結局、病院にも行かなくて、ずっと心のどこかに、ずっと閉じ込め続けてた。

 誰にも言えなくてさ。

 スカートじゃなくて、ずっとスラックスを履いてたんだ。

 トイレに行くのも嫌だった。

 だって、男子のものが自分についてるの。見たり、触ったりしなきゃいけないんだよ?

 自分のことが好きじゃないのに。

 なんか辛かった。


 クラスのカッコいい男子が好きになって。

 でもやっぱり言えなくて。


 何も言えなくて。

 誰とも遊ばなくなって。

 誰にも話せなくなって、ゲームばかりしてた。


 だから、今のこれは、死んじゃったってことは、僕にとっては救いなんじゃないのかな?



「あの、いいですかー?」


「ふむ、なにかね?」


「あの、僕はその、転生ってしません」


「ほう、それは構わないが、なぜかね? どうか私に教えてくれないか?」


「それは…」


 言いにくいなー。

 僕が、おかしい人間だったって事。

 僕が、壊れた人間だってこと。


「理由、言わないといけませんか?」


「ふむ、それも自由だが、言ってみても良いのではないかね? ああ、もちろん助けになれるとは限らないし、助けられるかもわからないがね」


 こういうの困ると思った。

 こういうのすっごく恥ずかしいって言うか、言いたくないって言うかさー。

 だって、そうじゃない?「僕は人間の不良品なんです」って言うのと変わらないような気がして。

 でも、悪い人じゃなさそうだし、話聞いてくれるっていうし。

 怪しい感じだけどねー。


「あの、笑ったりしませんか?」


「ああ、人には滑稽こっけいなのもいるが、見るに君はそうではなかろうとも。えて消えてしまいたいと言える者が、笑えるような者とは思えないがね。ああ、君の呼びかけから、私と君とだけが、特別に話せる用にしている。他の者には聞こえないのだから、思う存分に話しても良いのだよ」


 あ、そうだったんだ。ビデオチャットみたいなものかな?


「そうとも、これは私と、君だけの秘密だ」


「…じゃあ……話します」


 そうして僕は僕の、おかしな僕の話をしたんだよね。



「成程、いや、成程。君の話は実に興味深い」


 うう、顔に笑みがあるような気がするんですけど!?

 って、元々そうだったかなー?


「あの、だから、僕はそっちには行きません」


「まぁ待ちたまえ、君はまだ若い。そう結論を急がなくても良いのではないかね? ところで君は、転生準備の画面を、その中を視たかね?」


「え? えっと、視てません」


 うん、全く視てなかったよね。

 だって、僕はもう消えたかったんだし。


「では、どうだろう、そちらを色々と視て、触ってみて、それから結論を出しても遅くはないのではないかな」


「あー、はい」


 なんか普通にいい人なんじゃないかな?

 うーん、すっごく怪しいけどね! 見た目は!



 それで、その転生準備画面っていうのを色々と触ったりしてみたんだけど…。

[外見の変更]って所があって、そこをタップしたら裸の僕がいた。

 それで、その、アレがぶら下がってて、なんか、嫌な感じになるのはいつもの事なんだけど。

 なんかドキッて言うか、恥ずかしくなって、視線を下げていったらさー。


 見つけちゃったよね。


 だから、そのボタン? をタップしてみたんだ。


[あなたの転生後の性別を女性に変更します。女性に変更した後も、男性に変更することができます。女性に変更しますか?]

[はい] [いいえ]


 なんか、こう、なんか、試してみたんだ。

 そしたらキャラクターが切り替わって、僕っぽい感じの女の子がいた。


 だから僕の成りたい、女の子の僕になるように色々選んだり変更したり。

 気が付いたらノリノリで、かなり時間使っちゃったよね。


 髪はオレンジっていうか赤っぽいオレンジ?

 赤っぽい金色なのかな?

 金色っぽい赤い髪?

 夕暮れの深くなった時の一瞬の色。

 紫に染まる前の夕暮れ色。


 後ろ髪は長めでポニーテールにならないように後ろで纏めて垂らそっと。

 サイドは降ろさないで後ろに流してー。

 首は隠さないほうが色っぽいかな?

 サイドは耳が出るくらいまで切っちゃってもいいかも?

 うーん、ちょっとおかっぱポイ感じになるかなー?

 切るよりも、ちょっと毛量とボリューム増やそう。

 ふんわりとしたショートみたいに見えるように。

 サイドだけレイヤー入れたらいいかなー。

 前はぱっつんにならないようにシャギーを入れて、少し左右へ流そっかなー?

 うん、活動的で、みじかすぎなくて、着こなし次第でロングにしてもOKな感じになった。


 次はお顔を触ってみよう。

 っていうか髪の前にやるべきだったかもー?

 勝手に合わせてくれたりするのかな? 髪と顔のバランスとか。

 顔のメニューを触ったら[美形化]とかいうのがあったから、お試しにタップ。

 僕が良いお顔になった! すごい!

 鼻とかシュッとしてスッとしてるー!?

 でも僕なんだけど。

 でも、まだ[美形化+]と『超美形化』と《美神の美》っていうのがあるんだよねー。

 あれ? 括弧の種類が違うのは何だろう? レアリティが違うとかかな?

 それとも、強度差で変えてあるのかな?

 まーいっかなー?


 ん? 現在の必要ポイント?

 あー、最初に言ってた人生ポイントってやつかー。

 これは髪とお顔で十ポイント必要って事かな。

 美容整形とかすごくお金かかるって聞くし、すごく安く感じるけどー?

 これは気に入ってるから、これでー。

 うん、他の美形化も気になるけどねー。

 他も見ていこうかな? ポイント必要になったら困るしね!

 って保存しろって言われちゃった。そりゃそーだよねー。


 ううん、これってもう転生する気まんまんだよね!

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