第3話

▶あらすじ


警察省の特務調整機関「collarカラー」に所属するネロとエドガーは毎度色々やりすぎて、上司のアイリーンから始末書を書かされる常連。

今日もまた説教を受けつつも、最近街で起きている「Sの廃人化案件」について調査するよう命じられる。

社会の調和を保つためにも、Sに危害を加えるDを必ず探し出さねばならない。

調査へ向かおうとするネロとエドガーの前に「姉のミリーを探してほしい」という女性、セシルが現れる。

姉の失踪に関わったDが、「Sの廃人化案件」に関わっているかもしれないと知ったネロたちは、件のD――実業家ガジェットの元へ足を運ぶ。


だが、ガジェットはミリーのことは知らないと一点張り。

漂う空気や付き従う秘書の気配に「何かがある」と勘を働かせるも証拠のない状況に、

「証拠は作りだせばいい」「お約束な輩はお約束な真似をする」と二人はセシルを囮にしてガジェットの手の者をおびき出す。


証拠を手に入れた二人はガジェット邸へ殴り込みかたくそうさくをかける。

やがて屋敷の奥へ足を踏み入れた二人は、ガジェットに『飼われている』多くのSを発見。その中にはセシルの姉ミリーもいた。

「SをしつけるのがDの役目であり、これが彼らの幸福である」と開き直るガジェットに対し、

「そういう悪党に首輪をつけるのが、俺達の仕事」と確保に取りかかるネロとエドガー。

ガジェットの影響下にあるSの『境界スペース』能力で窮地に陥りかけるも二人はSをねじ伏せ始める。

ネロとエドガーが、DomとSubの関係にあることに気づくガジェット。だが、ネロにはSの証である首輪がない。

驚くガジェットにネロは吼える。

「んなもの必要ねえ。命令コマンドひとつありゃ、オレ達にはそれで十分だ」

「――気に食わねえもんはぶっ潰せ!!」

二人はガジェットを倒す。


警察が駆けつけ、次々に救出されるSたち。

連絡を聞きつけて、セシルも現場へとやってくるが、ミリーはガジェットがいないと生きていけないと泣く。

あの人マスターがいなくなったら、どうしたらいいの?」というミリーに

「知らねえよ。自分テメエの生き方は自分テメエで決めろ」と返すネロ。

「どんなにどん底に落ち込んでも、一人ぐらいは必ず傍にいるバカ――あ、いや。ひとがいるもんだ」

「あとはそれに気づくか、どうかだろ」「アンタは、やりなおせる」と声をかける。

慰める妹に、泣く姉。二人は寄り添い合って警察の事情聴取へ向かう。

そんな2人の後ろ姿を見送りながら――

「優しいな、ネロは」と茶化すエドガー。うるせえ、とけなしながらも……

「やっぱり、こんな世界はくそくらえだ」「自分の飼い主はただ一人自分だけ」と答えるネロ。

『これからも気に食わねえもんはぶっ潰して生きていく』

言葉なく視線を交わし、拳をぶつけ合うエドガーとネロ。


後日。「Sの廃人化案件」に関する器物破損について怒られ、始末書を書かされるネロに自分の書類を押し付けて出て行くエドガー。

「テメエ、いい加減にしろ!」と響く怒声。そのデスクの端には、古びたネロの首輪が置かれているのであった。

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