第101話
凄いメンバーが揃う楽屋に一人。
芸能人でもなければ
正式なスタッフでも無い私。
どう考えても場違い過ぎませんか?!!
「神田さん、見に来てくれたんだ、
ありがとう」
営業スマイルなスター小宮碧。
その笑顔に心打たれている一流女優神田美香。
の後ろでハートが飛びそうな
アイドル安西彩夏。
「もう、本当すごーーく良かった!本当!」
神田さんが微笑むと、
私がその魅力に心打たれそう。
「碧くん、今日打ち上げだよね?!落ち着いたらご飯でも行こうよ〜」
グイグイくる神田美香に
「うん、また行こう」
上手く交わす碧はさすがスター。
コンコン
あ、また誰か来た。
「お疲れ様〜っと皆さんお揃いで」
田中さんが皆んなに挨拶する。
「「「こんにちは」」」
「来ていただいてありがとうございます。
もうすぐ撮影も始まりますね」
「あ、良かったらこの後打ち上げあるので
良かったら皆さんもいかがですか?」
「いえ、僕たちはこれ」
「行きます!!」
誰よりも大きな声を上げた神田さんにの声に
かき消された大河さん。
「ははは、是非森本さんと、安西さん、エミリも」
にっこり笑った田中さん。
よしっと心の声が聞こえそうな神田さんはさておき。
全員参加な打ち上げが決まった。
「私、帰るよ!」
「エミリもおいで」
竜一さんが、ポンとエミリさんの頭を叩く。
「でも」
エミリさんがちらっと碧を伺う。
「あ?来いよ」
何言ってんだって顔の碧。
「私もいいのかな、、、」
考えているエミリさんに
『私が言う事では無いですが、来てもらえると
私は嬉しいです!』
「陽茉ちゃん、、、行く!!」
目を輝かせたエミリさんがとっても可愛い。
「それでは、今日は浴びるほど飲むぞーーー!」
打ち上げが始まって、
各スタッフ全員参加の大きな打ち上げだ。
長かったドームツアーが終わってほっとしたようで皆んな本当に楽しそうにお酒を飲んでいた。
いつも打ち上げしていたが、
このチームでまた次も出来るとは限らない。
一つの目標に皆んなで取り組む、ツアーの素晴らしさに改めて感動していた。
「陽茉ちゃん」
『あ、はい』
いつの間にか、大河さんが隣に座っていた。
「Timezのチームって凄いね。こんなに団結力あるんだ」
『そうですね』
「俺は俳優だからこう言うチームで動くってなかなか無いから新鮮だわ〜」
『私は、この業界長く無いので初めてこんなに関わらせてもらえて感動です!!』
興奮した私に少し驚いていた大河さん
『あっとごめんなさい、つい興奮しちゃって』
「ははは、いや、うん、いいよ。
面白いね陽茉ちゃん」
『?え?あ、はい。ありがとうございます』
「スタッフでいるのは勿体無いよ」
冗談なのか、本気なのか
どう言う意味なのか掴めない大河さん。
『褒めてます?』
「褒めてる、褒めてる笑」
不思議な陽気な大河さん。
「俺さぁ、今回のドラマで小宮碧が主演って聞いてさ」
「鼻で笑ちゃったんだ」
?!なんのお話??
「お飾りなミュージシャン。」
『え?』
「お手なみ拝見だわ」
大河さんの瞳は笑っていなくて
いつもの陽気な大河さんとは程遠い
黒いその瞳の奥の闇が見えたようで
身震いする。
なんだ?なんだか、怖い。
「じゃ、かんぱーい」
そう笑った大河さんはさっきとは別人で
いつもの陽気な大河さんに戻っていた。
『え、あ、はい』
思わず持っていたグラスを重ねる。
どうして私にそんな話をしたのだろうか。
深い闇が見えたような、
そんな雰囲気だったのに
笑顔な大河さんを見ると、
私の気のせいだったのかな。
お酒を飲みながら、
碧を伺うと楽しそうに笑っていて
ガッチリ神田美香が横をキープしていて
なんだか近づけない。
アイドルの安西さんを
取り囲んでいる男性たちを横目に
世の男性はやっぱり可愛らしい人が好みなんだなとつくづく思う。
竜一さんとエミリさんも楽しそうにお酒を飲んでいて
みんなが楽しそうで、なんだか私もテンションが上がってきた。
今日この後碧の家に行くのかな、なんて考えていたら自然と笑みが溢れる。
「え?なに?」
不思議な顔の大河さんに慌てて
『いえ』
持っていた飲み物を飲み干す。
「おーいくねぇ、はいおかわりね」
どんどん大河さんのペースに飲まれていく。
えーい今日は飲んじゃぇ〜
ある程度の記憶は残ってるはずだった。
遠くで誰かが
「お開きにすっぞー」
そう言っていた。
お開きか、そうか。もう終わりか。
飲み足らないな。
遠くどこかで誰かが言ってたな。
「陽茉ちゃん!大丈夫?」
可愛らしい声が聞こえたな。
『大丈夫でーす』
「陽茉ちゃん、俺送るよ」
男性の声が聞こえるなぁ。
陽気な、大河さんか。
『大丈夫でーす、いや送ってもらおうかなー』
どうせ碧は忙しいし。
「やだ、陽茉ちゃん、ダメダメ」
可愛らしい声はエミリさんか。
『えへへへへ』
今日も飲み過ぎちゃったな。
フラフラな私を抱える男性から香る匂いは
いつもの大好きな匂いではない。
いつものあの香りを求めている私。
早くあの匂いに包まれたい。
早くあの人に触れたい。
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