第5話【デート?】
翌日、教室に入ると後ろから声をかけられる。
「何で無視してんのよ?」
「別に答える必要ないだろ。」
「てことはユナちゃんなの!?」
「誰の名前言われても答えないぞ。」
「なんでよー、ケチ!」
僕は好きな人を言うつもりは無い。彼氏がいる相手を好きだなんて普通引かれるしかないからだ。拉致があかない話を終わらせる為に話題を変えた。
「というか明日から冬休みだな。」
「そうだね、予定いっぱい詰めなきゃ!」
「いいなあ。俺は部活の予定しかないな。」
「そうなんだ、じゃあさ…あの…」
鈴華は急に口ごもり、うつむき加減になる。
「明日っ…とか暇だったりする?」
「えっ、部活は午前中だけだから午後は暇だけど。(確か明日って…)」
「もし、もし良かったらさ…買い物付き合ってくれない?」
「別にいいけど?」
そう答えると、普段より笑顔になり、とても嬉しそうだった。
「ホント!ありがと!」
「(なんだよ、調子狂うな。)」
「部活って何時に終わるの?」
「ん、ああ。12時には終わると思う。」
「じゃあ13時に駅集合ね。」
「待て待て、早すぎるだろ。シャワーと着替えとお昼ご飯済ませるってのに。」
「え?お昼ご飯は一緒に食べようよ。」
鈴華はきょとんとした顔で僕を見る。
「ああ…そうするか。」
「うん!じゃあ明日はよろしくね!」
(これはもしや、デートというやつなのではないだろうか。いや、でも鈴華だからなぁ〜、単に買い物をしたいだけかもしれないしな。でもわざわざなんで俺なんだよ。なんかちょっと嬉しいし、ドキドキするし変な感じだなあ。)
しかし、僕は男女何人かで遊ぶ事はあっても2人きりで遊ぶというのは初めての事だった。男はエスコートをしなければならないというのは世間の常識なのは知っている。僕は知識を求める事にした。
「カズ、デートかは分からんが、女の子と遊ぶ事になった。からエスコートを教えてくれ。」
(正直からかわれる気しかしないが、頼れるのはこいつぐらいだからな。)
「マジか!ついにハルにもデートする日が来たか!」
「声がでけぇよ。後デートでは無いかもしれん。」
「いやいや、ハル君よ。女の子と2人で遊ぶ事はデートとしか言えんよ。」
「(やっぱりそうなのか。)」
「で、相手は誰よ?」
「言わねえよ。」
正直に鈴華と言えばいいのに、僕は何故か拒んだ。
「ハルは相変わらず秘密主義だなあ。で、いつするんだそのデートは?」
「…明日。」
「ふーん…ん?明日って。」
そう、明日はクリスマスイブだ。
次の日、僕は部活が終わると足早に帰り支度を済ませた。
「なあ、ハル今日の夜暇?」
「夜?暇だけど?」
「クリスマスパーティーしよーぜ!」
「いいぜ、また時間送ってくれ。」
こうして夜は部活の仲間とパーティーをする事になった。所謂、クリぼっちというやつは避けられたということだ。
「もう帰んのか?俺らこれから夜まで遊んで時間潰すけどハルはどーする?」
「ごめん、俺は帰って寝る!」
僕は嘘をついた。単に恥ずかしいというのもあるが、鈴華が冷やかされでもしたら後で僕が機嫌を取らなければならなくなるからだ。
12時55分。なんとか間に合った。
(しかし、周りはカップルだらけだな。クリスマスイブだからか。今更だけどなんか緊張してきた。今日の格好変じゃないよな。)
「よっ、遅れずに来たね。」
「おっす、結構急いだ。」
「…」
(ん、なんだこの沈黙は。待てよ、そういえば昨日カズが言ってたな。)
「ふ、服似合ってんな、暖かそうだし。」
「え!あ、ありがとう。」
鈴華はうつむき顔を赤く染める。
(恥ずかしいのはこっちだっての。)
「それじゃ行こっか!」
「おう。」
「何食べよっか?食べたい物ある?」
「んー、そば。」
「却下。」
「なんでだよ。」
「晴空さ、運動終わりでしょ。それなのにそばって。」
「鈴華が食べたい物聞いたんだろ。そっちは?」
「私はー、ハンバーガー!」
「重た…。太るぞ…、ってうわ!冗談だって!」
結局ファミレスに行った。低予算の中学生の味方だ。
「美味しかったぁ!」
「はい、おつり。」
「ありがと…あれ多くない?」
「俺のがいっぱい食べたからな。」
(カズには奢れって言われたんだけどな。別に鈴華だし、それに金銭的にそこまで余裕ねえよ…。)
「じゃあ買い物付き合うよ。何買うの?」
「まずは映画でしょ!」
「(買い物すんじゃねーのかよ。)なんかいいのやってんの?」
「これずっと見たかったんだよね。」
「恋愛映画?これ今流行ってるやつか。」
「そう!ずっと気になってて!カナちゃんと話してたんだあ。」
「見るの水瀬とじゃなくて良かったのか?」
「え?あ、うん!それは大丈夫!」
(なんかこいつ今日変な感じだな。挙動不審気味というか。)
「そう?じゃあチケット取りに行くか。」
女の子と恋愛映画。雰囲気に流されるというのはこういう事を言うのだろうか。なんというか…好きになってしまいそうだ。
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