異世界ギルドという名の何でも屋

あましの

プロローグ

第1話「転移」

 ――文化祭なんて、正直どうでもよかった。


 そんなふうに思っていたはずの僕こと市塚紫稀は、今、焼きそばの屋台前で真剣にトッピングを選んでいる。


「紅しょうが多めで、マヨ抜きってできる?」


今は休憩時間で柄にもなく満喫している


「わがまま言うな、紫稀」


 そう言って笑ったのは、クラスメイトの穂田真奈葉。彼女は僕と同じ部活の友人で、世話焼きで、よく笑うやつだ。


「くそっ、当たらねー!」


 屋台の近くでは、内野児が射的で真剣な顔をしていて、斉藤、真屋、佐山、柊たちがそれを茶化している。


 ――いつも通りの、少しだけ特別な日。

 そのはずだった。


「おい、あれ!」


真屋が太陽とは別の発光体を見つけた

その瞬間、耳鳴りのような音がした。空がひび割れ、次の瞬間、視界が真っ白に染まる


~~~~~~~~~~


「___、____き、


紫稀!」


柊の声で目が覚め


 「ここ……どこだよ……」


 誰かがそう呟いた。見渡す限り、森。空は広く、木々がざわめき、聞いたことのない獣の遠吠えが聞こえる。少なくとも、元の世界じゃない


 僕の周囲には、見慣れた制服姿の学生たち。教師もいる。あの場にいた全員だ


 ――集団で、異世界に転移させられた。

 証拠に、空中にはホログラムのような映像が浮かんでいた。見知らぬ王冠をかぶった男が語り始める。


『諸君、私はこの国の王だ。魔王討伐のために、勇者を一人召喚するはずが……範囲を間違えて学校ごと召喚してしまった。まあ……その、運が悪かったな。』


 なんなんだそれ。ふざけてるのか。


「はあ?!ふざけるな!」


「そうだ!俺たちを元の世界に帰せ!!」


生徒たちからの非難の嵐が降り注ぐ。無理もない、いきなりこんな場所に飛ばされたのだから


『ええい、うるさい!スキルと言語翻訳は授ける。あとは自力で生き延びてくれたまえ。あとは知らん!!』


 あまりに無責任だった。だが、これが現実だ。


しばらくすると眼前にスクリーンが現れた

 【異世界No206はスキル《万能工具》を獲得しました】

異世界の文字なのに読めた。これが言語翻訳の力?!

 アイテムを「修復」できるという少し地味な、しかし外れスキルともいかない反応に困るスキルだ


「グルルル!」


「何だよあれ・・・・」

複数の巨大な狼がこちらにやってくる。それこそファンタジーに居そうなモンスターが迫ってくる

「「ガアアアア!」」


「キャアアア!」「く、来るなあああ!」「あああああ!」


次々に人が食われ、辺りに悲鳴が聞こえてきた。


足が────動かない──



───ここで終わるのか僕の人生


「紫稀、逃げるぞ!彼奴らの意識がこっちに向いていない隙に!!」


そんな僕の手を引っ張ったの真屋だった。

そのお陰で現実に戻った僕はひたすら逃げた。


どうなってしまうのだろう、僕の人生

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