第14話 気配感知
本日も、朝からハルのお尻を見て一日がスタートする。
若干ぼーっとした意識の中で、ハルのことを考えていると気づいてしまった。そういえばこの子は元母狼なんだと。タブンだけどね。
ワンチャン年の離れた姉弟って可能性もあるか。犬だけに! って狼か、残念。
で、今は霊となり小さくなってしまっているけど、あの子狼たちの記憶ってあるんだろうか。今のところそういう素振りは見せてないけど……。
その流れで、そもそもゲームだと即沸きといって突然周囲にモンスターが出てきたりしたけど、この世界だとどうなんだろうって疑問が浮かんできた。今のところは、そういう場面に遭遇していない。
即沸きだった場合、家族ってシステム的な繋がりだけなのだろうか。仮にそうだとすると、ハルの場合はどうなのか。霊となり、別のものになっているのか。
うん。わからん!
なんで朝からこんなことを考えているのかもわからん!
ネクロマンサー適正のせいなのかな? ちょっと怖くなってきた。
ガバッ! と毛布から抜け出し、活動を開始。
今日の予定は、ウッディから丈夫な木の枝を手に入れること。ドロップしなければ、数日間は同じ目標のままとなる。早めに出てくれるといいな。
スコンッ! スコンッ!
ウッディに矢が当たると、非常に良い音が周囲に響き渡る。相手が木だからね。
いやあ、さすがに三日も同じことしてれば狩人の手袋無しでも当たるようになるってもんですよ。それなりに弓の腕が上がった手ごたえがある。
一日目、二日目と目的の丈夫な木の枝が出ないので、ドロップばかり気にしてストレス溜めるよりはいいかと思い、弓の熟練度を上げる意識するようにしたのだが、効果がでているようでよかったよかった。
他にも良いことはあって、毒の材料を集めることが出来ている。
当然この付近に砂漠蛇はいないのだけれど、代わりの森蛇やら毒のある植物なんかが結構な量採取できた。これで出来た毒は、強敵なんかが現れたら使う予定だ。効果の無いモンスターもいるけど、多くの場合は多少なりとも能力の低下やダメージに期待できる。
ただ、お金はほとんど増えていない。
やっぱり狩人って矢が消耗品だから、金銭的に厳しい。矢を自分で作るにしても、さすがに矢羽根部分はほとんど購入することになるから。ドロップ品を売っても、そっちの購入費に充てることになる。矢尻ケチったり頑張ってるんだけどなぁ。強いわりに、序盤それほど選ばれない理由もこれだったりする。
木々の間を移動しながら、今日もダメかなと思い始めた時、前方にウッディを発見。こいつを倒したら戻ろうと決め、少し慣れてきた動作で矢を放つ。
倒せたところで近づいてドロップ品を確認すると「は?」出てる! 丈夫な木の枝出てる! しかもオーブまであるぞい! うほほーい。
たまにこういうことってあるんだよな。レアドロップが両方出ちゃう現象。こういう時って「えっ!?」って一瞬固まってしまう。ゲームやってる時だと、咄嗟に声が出ちゃったりさ。特に期待してないときなんて猶更だ。
てことで、それらを袋に詰めて狩人ギルドへ戻ることに。やっと目的の物が手に入り足取り軽く、こっちの気持ちが伝わるのかハルもなんだか嬉しそうだ。
「はい。確かに。お疲れさまでした。これで正式に狩人ギルドの一員となりました。おめでとうございます」
ここ狩人ギルドの受付の女性は、毎回こんな感じで事務的。余計なやり取りは無いので楽だし、ゲームっぽいっちゃゲームっぽいので構わないけどね。サリーさんを知ってるだけに、違いに驚くというか気にはなっちゃうかなってところ。
最初に選んだのが狩人じゃないから怒ってるとかじゃないよね? 大丈夫だよね?
適当に食事を済ませ、部屋へと戻る。
ふぅ。これでやっと目的の「気配感知」を覚えることが出来る。
すぐにステータスプレートを取り出して、ゲット!
あと「鷹の目」も覚えておこう。視力や空間認識能力なんかがアップするので、様々な場面で役に立つ。
明日からの予定をどうするかだけど……一先ずは、このまま狩人をカンストまで上げる予定。ついでに、この付近で受けられるイベントをいくつかこなそうかな。
翌日は、気配感知の熟練度を上げることを主眼において行動を開始。
気配感知は現時点だと「なんだか気になる」くらいの感覚になるようだ。そしてその先を見るとモンスターがいる。
パッシブスキルと呼ばれる常時発動型の能力なのだけれど、意識することでその強度はコントロールすることが出来た。そりゃそうだよね、でなきゃ常に挙動不審の怪しい奴か、感覚に慣れすぎてスキル持ってる意味がなくなっちゃうダメな奴になっちゃうし。
試していくうちに、その感覚の中でも違いを理解できるようになった。
簡単に言うと、モンスターの強さによって違うことがわかったって程度なんですけどね。違ういい方をするならば、プレッシャーとかになるのかなぁ。
暇そうなハルに「気配感知すごいだろ!」って自慢してみたんだけれど「私も出来ますが?」みたいな表情で返された。
え? そんなことできるんですか? 言えばやってくれたんですか?
その後は、俺が見つける前にハルが気づいて吠えて知らせてくれるようになったんだけど、そこで思ったわけです。「あれ? ハルがいれば気配感知いらなかったんじゃね?」と……。
他に出来ることないか聞いてみると、ドロップアイテムを拾ってきてくれた。
おー! すごい! そういえば霊なのに触れたもんね。こんなことも出来ちゃうか。でもねハルさん。それ、俺だからいいですけど他の人からすると勝手にアイテムが動いて軽くホラーなんですよ。だからそれは他人がいない時だけでお願いしますね。
人前では使えないと言っても、非常に便利な能力。出来ればお願いしたいんだけど、難しいよなぁ。それに、霊が装備できる鞄や袋が存在しないのがネック。テイムされたモンスター用ならあるので、なんとかなりませんかねぇ。ゲームみたいに運営へメッセージが送れればいいのにな。
次の日、一日を訓練に充てスキルに対する理解も多少深まったので、今日は少し森の奥へ立ち入ることにした。ハルもいるし大丈夫だろう。
奥に進むとしっかりと管理されていた場所とは違い、木々の葉が光を遮りかなり暗い場所が多くなった。とはいえ、日中なので十分見通すことは出来るけどね。あと、鷹の目の効果か以前より暗いところも見やすくなっている。
この辺りは昨日までの街周辺とは違い、獣系が増え熊なんかも出てきてちょっと危険度が増す。しかしその分、経験値やドロップも良い物が多い。それに、ちょっと考えてることがあるので試してみる予定だ。
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