かつて救世の勇者転生、あるいはいずれ滅世の魔王降臨 ~王立学院の呪眼能力者~
Sin Guilty
第01話 『プロローグ』①
見え方はもちろん、
だが
その結果として敵である魔獣はたった数分の戦闘でそれなりの傷を負い、だがまだまだ致命傷には程遠い、正しく手負いの状況。
今まさにその巨躯を震わせ、天に向かって咆哮をひしりあげながら真の力と姿を解放せんとしている。
素の状態でも素早く重い攻撃にだけではなく、その巨躯全身に雷光を
それこそがこの魔獣の真の姿――『
――だが。
魔獣が『覚醒』したことに呼応して、俺の
左目に『呪印』が浮かび上がって膨大量の魔導光を噴き上げ、周辺を白銀色に染め上げる。
それと同時に俺の全身に圧倒的な力が
魔獣が『覚醒』し、それに呼応して俺の『血戦』が起動するまでの数分間は、俺が圧倒的優位にあったとはいえ、まがりなりにも戦闘が成り立っていたと言えるだろう。
だがこうなったらもうお
『血戦』が起動した俺とまともに戦闘できる相手など、この世界にも存在し得ない。
己が劣勢を覆さんと魔獣が行った『覚醒』こそが、逃れようのない敗北――死を呼んだのだ。
魔獣ながらに「今なにが起こっているのかまるで理解できない」とでもいうような様子に少々の申し訳なさを感じながら、突進を止めた左手とは逆、右手に構えたなんでもないありふれた普通の剣を一閃させる。
たったそれだけで魔獣の強靭な外殻は纏った雷光ごとすべて砕け散り、膨大量を誇るはずの生命力、その全てを一撃で消し飛ばした。
たった一閃で絶命した魔獣の巨躯は冗談のように軽々とふっとばされ、崖状の段差に激突してその
文字通り一撃必殺、鎧袖一触。
魔獣が絶命した瞬間に俺の『血戦』も停止し、今の俺はちょっと人間離れしている程度の強さに戻っている。
だが敵対者が己の真の力を解放――『覚醒』した瞬間に、俺は問答無用で絶対無敵の存在と化すのだ。今のこの世界の人間が何人束になったところで薙ぎ払われるしかないはずの魔獣であれども、一撃で仕留めてしまえるほどの。
『呪眼の勇者』、クナド・ローエングラム。
それがこの世界で今俺に与えられている称号と、その名前。
この世界の千年前を舞台としたゲームでの、俺のプレイヤー・キャラクターと同じ称号と名前である。
◇◆◇◆◇
「どんな魔獣だろうとどれだけ数が居ようと俺には無意味なことなんて、お前が一番わかってんだろ? 勿体ぶってないでさっさと出て来いよ、決着を付けようぜ」
「……クナドは相変わらずだね。だけどさすがに僕を殺す覚悟くらいは決まったのかな?」
「そんな覚悟を決めた覚えはねーな。だから勝負しようぜ」
「……昔のルール通りで?」
「当然だろ? 負けた方は勝った方の言うことをなんでも一つ聞くんだよ」
「クナドには一度だって勝てた覚えがないなあ。今回もまた負けたら、僕は自決でも命じられるのかな?」
「いーや? 戻って来いっていうだけだよ」
「ははは。さすがにそれは世界が赦さな――」
「知らねーよ、この世界の都合なんざ。いつかもそう言っただろ? とにかく俺は明日からまたみんなと一緒に迷宮攻略を再開するって決めてんだ。だからさっさとやろうぜ」
「――あまり僕を舐めるなよ異世界人」
世界にとって
そうじゃなくなれば、
僕はそんなのは嫌なんだよ。
「お前を舐めてかかったことなんざねーよ親友。いい貌できるじゃねえか、昔やさっきまでみたいに無理して
いいじゃねえか敵なら敵で。
俺は気のいい世界の敵たちとつるみながら、それでもこの世界を愉しむだけだ。
別に心配しなくても勝手に絶望して滅ぼそうとしたりはしないって。
お前らがいっしょにいてさえくれりゃあな。
「――殺す」
「今度も俺が勝つ」
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