第5話 ドライアドさん
―side ジップス―
「肥料を撒いていこう」
とりあえず、結界の道具を強化しているので、住める場所は確保した。
あと大事なのは食料の確保だ。
一応、趣味で観葉植物を育てていたので、肥料と種を自宅から持ってきたのだ。
俺がこっそりやれていた趣味といえばこれくらいだった。庭で庭師の爺さんに教わりながらこっそり育てていただけなのでバレなかったのだ。
自宅で育てた新鮮な野菜を育てることが俺のあの家での唯一の楽しみだった。
「これ、後々品種改良とかも出来たらいいなー」
なんせ、前世のことを思い出したのだ。正直、この世界の文明レベルは中世ヨーロッパ程度なので、前世からするとかなり物足りない。改革は喫緊の課題だ。
今の俺にはどうやって品種改良をすればいいのかもわかっている。せっかくクラフターというジョブを授かったのだから、この魔境を文明が発達した土地に作り変えていきたいものだ。
そんな事を考えながら種を植えていく。
「よしっ!とりあえず、あとは育つのを待つだけだな!」
水の魔道具で水を出し、種を植えたところにかける。
一通り終えて疲れた俺はテントを張ってその場で寝ることにした。
スピー、スピー。
♢ ♢ ♢ ♢ ♢
…………。
…………………。
--クスクスクス!
次の日女の子の笑い声がして目を覚ます。
あたりは真っ暗だ。不気味すぎる。
『起きたのですー』
「うわっ!」
目の前に羽の生えた小さな女の子がいた。
ここ結界の中だよな?なんで入れるんだ?
どんな外敵からも守ってくれるはずだったんだけど
『植物の精霊ドライアドなのですー!』
「ドライアド!?」
ドライアドっていうと、伝承とか御伽噺に出てくる木の精霊さんだ。
それがどうしてここへ?
『神様に加護をもらっている人物がいたら助けるように使命を受けているのですー』
「そーだったんだ」
ということは、ヴィー様が使わせてくれたってことかな?
『それは違うのですー』
「え?」
ヴィー様以外の神様ってこと?
『そーなのですー。ジップス様はシルフ様とサラマンダー様の加護をいただいているのですー』
「シルフ様とサラマンダー様!?俺が!?--ってお二方とも精霊様であって神様ではないのでは?」
『似たようなものなのですー、精霊は地上における神様の代理人なのですー』
そうだったのか。それにしても、サラマンダー様もシルフ様も俺を見守ってくださっていたのか。
今まで、周りにはそうだろうと言われ続けていたけれど、何もなかったので俺は加護を貰えなかったのだと思っていた。
『お二方とも常に見張っておられるのですー。ただ、今はとある事情からその対応に追われていて忙しいと言っていました。なのでごめんよーだそうなのですー』
『それが終わったら会いにいくとも言っていたのですー』
『私たちはそれまでのサポート役として派遣されたのですー』
「そうか、それはありがたい」
なんせこの魔境のことなど何もわからないのだ。
少しでも情報を知ってそうなドライアドさんの存在はありがたい。
「それじゃあ、明日からよろしく〜」
『はいなのですーゆっくり休むのです〜』
『手直しさせていただくので、畑のことは私たちに任せるのです〜』
「うん、よろしくー」
そんなこんなで、二度寝するのだった。翌日まさかあんな事が起ころうとも知らずに。
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