第2話 困った時の神頼み
-side ジップス-
「今日なーーーんも!やる事ない!」
実家では使用人同然の扱いを受けていた俺。
魔境へ追放されたことでその状況からやっと解放された。
晴れて無敵の自宅警備員である。
「まあ、その警備する自宅も今はないんですけど」
アハ……アハハ……!なんか、謎に楽しくなってきた。
それはそれとして、現在、魔境で無職である。周りはあれ放題。なんか、どこからか悲鳴も聞こえるし、まじぴえん。
アハハ……。これから、1人でずっといるのは虚しさもあるけれど、そっちの方が気楽と思えば気楽な気もしてきた。
「スキルさえあれば、この状況も何とかなるかな?」
器用貧乏のジョブと言われているクラフター。
だが、現在なーんもないこういう状況では器用貧乏の方がむしろありがたい説ある。
何せ何でもできるのだから。
逆に何とかならなかったら、オワオワリだろう。
「だが、あいにく俺にはクラフターに関しての知識が何もない」
誰か、教えてくれないだろうか?
「困った時の神頼み!まずはお供えしますか!」
困った俺は、神様に祈ることにした。
ちょっと、今現状で棲家を作らなければならない事を考えると大分とち狂った行動ではあるが、まあ1人だし、これくらい狂っていても大丈夫だろう。
町の至るところに飾られていた神様の石像を思い浮かべながら銅像を作る。
この世界では神様と人間は結構密接に関わっていて、人々の信仰心も厚かったのだ。
そして、美味しいものを作ろう。
持ってきた食料をお祈りする。
「神様神様。どうか俺に安全に住む場所と力と当面の食料と地位名声をください」
――ピッカーー!
俺が強欲にもそう唱えると、いきなり目の前が光り景色が変わった。
目の前には美しいお花畑が広がっている。
『ごめんなさいいいい!!』
目の前には俺が石像を作った神様が動いていた。
白い髪にピンク色の目。至る所に花の装飾品を着飾っていて、純白のドレスを来ているこの世界の女神。
「ヴィー様」
誰もが知っているこの世界の美しい女神が現れ、放心状態である。
『はいっ!お久しぶりです!高橋奏多さん!いえ、現在はジップスさんでしたか』
高橋奏多……俺の前世の名前だ。
待てよっ!
「あっーー!!」
『ふふっ!思い出しました?』
「はいっ!久しぶりです!……って、俺どうしてこんなことに?」
地球から転生してきた俺はここ神界に魂だけ呼び出された。
この世界に転生する前にチートの能力を貰ったはずなのだ。
確かクラフターではなく、賢者とテイマー、それと鍛治師の3つだったはずだ。
『それが……、何者かの妨害により適切なスキルを与えられなかったのです』
――は?
「何者かって?」
『申し訳ございません。現在、他の神々と調査中です。何かわかったらお答えできるのですが』
「ふーん。わかったー」
『か、代わりに色々な神々があなたに加護を与えたようですよ!』
「へー……」
『それに、クラフターだって色々可能性のあるジョブですから、元気出してください!』
「わかったー、あそうだクラフターについての知識教えて欲しい」
『わかりました!それについても手配させていただきます!』
――ポワポワポワポワ
「もう時間か」
『ええ!本当にこの度はご迷惑をしていて申し訳ございません』
「いや、いいよ」
もとより俺は他人にあまり期待していないからな。
『後で、必ず埋め合わせしますからー!』
――ピッカーー!
そうして俺は、再び魔境へ戻ったのだった。
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