親友に彼女をNTRれた俺は、なぜか親友の彼女に溺愛されています
棺 藍子
1 兆し
高一の夏、俺
夏が終わる前に海行きたいなとしょっちゅう海の話を持ち出したから、そんなさくらのために、俺は眺めのいいホテルを予約した。そして夕焼けが見える頃……、さくらと俺はホテルのベッドでくっついていた。普通の恋人みたいにベッドの上でキスをしたり、ハグをしたりして、甘々な時間を過ごしていた。
すごく楽しい。そして癒される。
さくらとは小学生の頃からずっと一緒だった。いわゆる幼馴染。
中学生の頃まで一緒に田舎の学校に通っていたけど、卒業した後、急に事情が生じて俺はお母さんと都会に行くことになった。それから半年後、さくらも都会に来るようになって今は俺と同じ学校に通っている。
すごい偶然だった。まさか、同じ学校に転校してくるなんて。
そしてほぼ二年間付き合ってきた俺たちはお互いのことをよく理解し、お互いのことを大切にしている。みんなが羨ましがるお似合いのカップル。みんなが欲しがる薔薇色の高校生活。俺は高校生になってもう一度さくらと楽しい学校生活を送るようになった。
まるで中学生の時みたいに———。
「海……、本当に綺麗だったよね。そして星七がそばにいるからすっごくドキドキする!」
「俺もさくらと一緒で楽しい。また海を見にこよう」
「うん! ねえ、私先にお風呂入るから! ゆっくりしてて」
「は〜い」
「あっ、そして……。今日は寝かせないから……、ふふっ♡」
「あっ、う、うん……」
もしかして……、今からあれをするのか?
ベッドで横になっていた俺はすぐエッチなことを考えていた。別にやらなくても構わないけど、なんかやらないといけないような雰囲気で少し緊張をしてしまう。さっきまでベッドの上でキスをしていたからさ。
そして固唾を飲んだ。やるしかない。
やっと……! やっと!!! 彼女と……、初体験!
いや、落ち着け! 星七! そんなことじゃないかもしれない。落ち着けぇ!
でも、ニヤニヤが止まらなかった。
中学生の頃からずっと付き合ってきた彼女と眺めのいいホテルで……あれをする。
まだ高校生なのにあんなことをしてもいいのかと罪悪感を感じてしまうけど、それでも俺の彼女だから彼女がやりたいなら俺もやるしかない。ちょっと怖いけど、すごくドキドキしている。
これが付き合うってこと……。
ふと、さくらのことを思い出して顔が真っ赤になる俺だった。やばいな……。
「ん……?」
その時、テーブルに置いておいたさくらのスマホに電話がかかってきた。
その相手は
少し気になってそのままさくらのスマホをいじっていた。
そして北斗をからかいたかったっていうか、中学時代によく俺にこんなイタズラをしたからさ。北斗のやつ。今度は俺がさくらのふりをして、ラインを送ってみることにした。
あの時の復讐だ。北斗。
「……ん? これは……」
どうやら俺は見てはいけないことを見てしまったかもしれない。
そこには……、さくらのラインには……、信じられないほど残酷なやり取りが残っていたから。
一瞬、夢かと思った。
(北斗) まだ二日しか経ってないのに、さくらに会いたいよ〜。あの時はマジで楽しかったからさ。
(さくら) 私も早く会いたいけど、我慢して。今週は星七と海に行く予定だから。
(北斗) いいな。てか、星七……可哀想。さくらの初めてを俺がもらっちゃったからさ。
(さくら) 変なこと言わないでよ! もう……。
(北斗) 誘ったのはそっちだろ? めっちゃ気持ちよかった……! さくらは?
(さくら) わ、私も気持ちよかったけど、もうそんな恥ずかしい話しないで!
……
……
(さくら) とにかく、その話はもういい! 家に帰ったらまた連絡する! そしてバレるかもしれないから海に行ってる間には連絡しないで。
(北斗) はいはい。
一気に最後までスクロールしてしまった。
それを読む勇気が出なかったっていうか、どういうことなのかずっと考えてみたけど、よく分からない。俺は何を読んだんだろう。それにさくらは俺と……、付き合っているよな? あのやり取りにショックを受けてそこから考えている俺だった。
これは……、夢?
どうすればいいのか分からなかった。その前に……北斗がさくらと浮気をしていたのか? なぜだろう。北斗とは幼稚園に通っていた頃から中学校を卒業するまでずっと俺と一緒だったのに、なぜだ? 俺たちは親友だったはずだ……。
なのに……、どうしてだ?
どうして……、俺の知らないところであんなことをしたんだ?
北斗がさくらに連絡をするのは構わない。俺たち三人はずっと仲が良かったから、俺とさくらが付き合ったとしても友達は友達だからさ。
その関係は否定したくない。さくらは俺の所有物じゃないから。
でも、これはねぇだろ。
どうして……、親友の彼女とあんなことをしたんだ。しかも、可哀想だなんて。
一体、俺がいない間……あの二人はどこまで———。
そして二人がラインをしたあの日……、あの日は……さくらに急に用事ができてうちに行けないって言われた日だった。北斗と……、一緒にいたのか。
てか、北斗都会に来ていたんだ……。連絡がなかったから全然知らなかった。
「…………はあ」
ため息が出る。
そして……俺があのラインにショックを受けたもう一つの理由……。それは……。
それは北斗にも彼女がいるからだ———。
田舎にもう一人いる。俺たちの幼馴染が。
あの子もさくらみたいに可愛い子だったからけっこうモテる女の子だった。近いところでずっと見てきたから分かる。二人はお似合いだったのに、どうしてそんな彼女を裏切ってさくらとやったんだろう。
別れたからか? いや、まだ分からない。
そしてこっそり二人のラインを撮ろうとした時、ちょうどさくらがお風呂から出てきた。
タイミングが悪い。
ゆっくり考える暇もなくすぐラインを閉じて、スマホのロックボタンを押した。
「気持ちいい〜! えへへっ」
「さくら……」
「どうした〜? 星七」
「いや……、海が綺麗だなと思って……。そしてさくらもね」
「ふふっ、恥ずかしいね〜。じゃあ、今夜は……。えっと……」
俺の方を見て照れているさくら。
そしてさっきのことを思い出す。
うっかりしていた。今からあれをする予定だったよな。
でも、北斗とのやり取りを見てしまった今はなぜか吐き気がする。俺の前では笑っているけど、さくら……お前俺の知らないところで北斗とやっただろ? なのに、どうして俺の前でそんな顔をするんだ……? 俺に何が……、足りなかったんだろう。
なんで、ずっとそれを隠していたんだ?
なぜだ。
「星七? どうしたの? ぼーっとしてて」
「い、いや! なんでもない! あ、あっ! そ、そういえば! さっき北斗から電話が来たけどぉ」
「はあ?!」
その話を聞いてびっくりするさくら。
やっぱり……、そうだよな。認めたくないけど、認めるしかない状況。
でも、今は何も言わないことにした。
「電話に……、出たの?」
「そんなことするわけないだろ? 電話が来たから教えてあげただけ。そろそろ、寝ようか? 俺……、疲れたから」
「えっ? あっ……。う、うん……」
さくらがお風呂に入る前まですごくドキドキしていて……、心の鼓動がすごくうるさかったけど、今はなんっていうか死骸みたいだ。
なぜか、生きている気がしない。すごく虚しかった。
そしてさくらがすぐそばにいるのに、何も感じられない。
「ねえ、星七。ぎゅっとしてぇ……」
「……うん」
どうせ、明日になると家に帰るから……。家に帰って、ゆっくり考えてみることにした。
どこから間違ったのか……。
「…………」
今は何も考えたくない。涙が出そうで何も考えたくなかった。
「海に連れてきてありがと〜。星七」
「うん……。おやすみ……、さくら」
「おやすみ〜。星七」
そして……、俺の地獄は始まったばかりだった。
「…………」
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