このゲーム、デイリーミッションがクズすぎる
カズサノスケ
第1話 クズの始まり
みんな一律に同じではなく、プレイヤー毎に全く異なるデイリーミッションがあたえらる。それがフルダイヴVRMMO『ヒーリングワールド~七色に輝く世界樹の果実』が人気タイトルとなった理由だ。
そんなデイリーミッションの名称こそが七色に輝く世界樹の果実だった。毎日同じ様な目的を繰り返すだけのありふれた仕様とは違いログインする度に新鮮な気持ちで、まさに七色に輝く本日のプレイ予定を組み立てるのが心地良かった。
ヒーリングワールドにどっぷりと浸った僕はプレイ動画を配信し、いつの間にか全プレイヤーから羨望の眼差しを受けるスタープレイヤーになっていた。そして、プレイ動画の広告収入だけで食っていける様になった頃にはバイトを辞めてますますこの世界にのめり込む様になっていたのだが。
「運営が変わります、だって?」
ある日の事、どうやらヒーリングワールドの運営会社は買収された様だ。そして、新たな運営となり毎日変わるデイリーミッションの方向性が随分と変わってしまった。
数日間が過ぎてデイリーミッションをいくつかこなして思ったのは、安定してクズ過ぎる事だった。
◆ ◆ ◆
『聖女のう○こを入手しましょう。今日もヒーリングワールドの冒険を楽しんで下さいね♪』
今日インして初めて表示されたクズメッセージがクズ過ぎる地獄プレイの始まりを告げている。ふざけんな、そんなもの楽しめるか!と速攻で解約手続きに進めないのが口惜しい……。
クズ化したお陰でゲーム自体は注目を浴び、攻略動画の再生数は更に伸び収益は上がったが人としての尊厳が問われる事にもなった。それでも、このゲームに生活を完全依存している僕はもう逃げられない……。
「う〇こを入手しろって……。まあ、やろうと思えば出来てしまうのがリアルを追求したこのゲームの世界観ではあるんだけど」
この世界では適度に食事をしなければステータスが低下して最悪は餓死する事になっている。もちろんデスペナ発生。そして、食べたからには出すというリアルもある。最低でも1日に1回は出さねばならない、ちなみに敢えて2回以上出すプレイヤーを僕はまだ見た事が無い。
出さずに放置するとランダムなタイミングで自身にだけわかる大の方の便意アラートが鳴る。それから30分以内に済ませなければ徐々にHPが減り始め最悪は死に至る。しかも、通常のデスペナをもらった上、お漏らししながら死亡するエフェクトまで付く辱め。それを他のプレイヤーに見られた日には……、という精神的ペナルティも。
まずはプレイヤーの多くが集う冒険者ギルドで【聖女】探しから。僕の【聖騎士】と同じで難易度の高い上級職クエストをクリアした者だけがなれる特別なジョブではあるが。
「いた!」
ログインした瞬間を捕捉。ジョブ【聖女】でプレイヤー名【フロレス】、スカウトするなら早いに限ると速攻で近寄り声をかける。もちろん、インしたばかりなら今日の排泄をまだ行っていないとの担保も。何か適当な攻略目標でもでっち上げて誘ってみる事に。
「今月のレイドボス討伐はお済みですか?」
「えぇ〜〜と、まだですわ。あれ? あなたはロスティ様では?」
「えぇ、まあ」
「すごい! 攻略動画をいつも拝見しておりますわ」
「もしよろしければこれから一緒にどうでしょう?」
「是非! ご一緒出来るなんてとても光栄ですわ」
自身のネームバリューもあって誘い出すのには成功した。ただし、僕はとっくに討伐済みなので高価な回復アイテム等を恐ろしく消耗してしまう赤字確定のバトルに改めて挑む意味はない。重要なのは、レイドボスのいる場所だ!
やたら標高の高い山の頂にそいつがいる。辿り着くまでにはリアル時間で片道3時間ほど、ザコモンスター戦も含めれば余裕で4時間越え。往復8時間もあれば、フロレスさんの便意アラートが鳴る可能性は充分にある。
「あっ、あの人もレイドボス討伐でメンバー探してますね。声をかけてみます!」
「是非是非、お願いします!」
聖騎士と聖女ならば2人だけでも戦えるレイドボスだが僕は3人目として賢者ルウェルを加えた。ポイントは、ログイン間もない女性キャラである事のみ。
賢者ルウェルに便意アラートがなった際、ついでに感覚で連れだってう○こをしに藪の奥へ入ってくれるかもしれない、それを期待しての釣りう〇こ人員配置のパーティ編成だ。
次の更新予定
2025年1月11日 17:06
このゲーム、デイリーミッションがクズすぎる カズサノスケ @oniwaban
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