第二幕:星の王子との出会いと対立
月の国ルナリアと星の国ステラリアの緊張が高まる中、美咲は魔法の修行に励んでいた。ある日、フィンから国境付近の調査を命じられ、美咲はリリィと共に出発した。
銀色の草原を抜け、国境の森に差し掛かったとき、突如として金色の光が闇を切り裂いた。
「誰だ!」凛とした声が響く。
その声の主は、青みがかった白金の髪を持つ若い男性だった。星の紋章が刻まれた剣を構え、鋭い眼差しで美咲を見つめている。
「私は星の国ステラリアの王子、アレン・ステラだ。お前たちは何者だ?」
美咲は緊張しながらも、毅然とした態度で答えた。「私は月の国ルナリアから来ました。桜井美咲です」
アレンの表情が険しくなる。「ルナリアか...我が国への侵入を企んでいるのか?」
「違います!私たちは平和を望んでいるだけです」美咲は必死に説明しようとするが、アレンは聞く耳を持たない。
突如、森の奥から黒い影が現れ、二人に襲いかかった。美咲とアレンは反射的に背中合わせになり、共に魔法を放つ。
月の光と星の輝きが混ざり合い、黒い影を打ち払う。
息を切らしながら、二人は顔を見合わせた。そこには、互いへの警戒心と同時に、不思議な親近感が芽生えていた。
「...お前の魔法、なかなかやるな」アレンが渋々認める。
その時、森の中から新たな声が聞こえた。「アレン様!大丈夫ですか?」
駆けつけてきたのは、金髪の少女だった。彼女はアレンの幼馴染で騎士のエリス・アストリア。美咲を見るなり、剣を構えた。
「アレン様、この者たちは?」
「...ルナリアからの使者だ。だが今は敵ではないようだ」アレンは複雑な表情で答えた。
エリスは美咲を警戒の目で見つめながら、アレンの傍に立った。その姿を見て、美咲は何か胸が締め付けられるような感覚を覚えた。
突然、空が暗くなり、不吉な風が吹き始めた。三人は顔を見合わせ、何かが起ころうとしていることを悟る。
「これは...闇の気配だ」アレンが呟いた。
美咲も同じものを感じ取っていた。「私たちの国も、最近この気配に悩まされています」
エリスが口を開く。「敵の正体はまだ分かりませんが、両国が脅威にさらされているのは確かです」
三人は互いを見つめ、静かに頷き合った。国の対立を超えて、共通の敵と戦わなければならないことを理解したのだ。
その時、森の奥から不気味な笑い声が響いてきた。闇の勢力の存在を、もはや誰も否定できない。
美咲は決意を固めた。「私たち、力を合わせて戦いましょう」
アレンとエリスは一瞬躊躇したが、やがて同意した。こうして、月と星の力が結びつく瞬間が訪れたのだった。
(第二幕 終)
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