第5話

「もうこれ以上あのシイタケの出汁になるなんて

勘弁ですしね」



「それよりあの椎と

会話できること自体がすごいんだけどね」



「え、なぜ?」



「だって椎って口悪いし、態度悪いし、

女子は誰も近付かないじゃない。


…まぁ、影で密かに人気ではあるみたいだけど」



「へぇ……あんな子にも需要が…」



「っていうか酒向、今日も剣道部の見学行くんでしょ?」



「見学っていうか観察…


……っていうか求愛をしに、ちょっくらね」



「…そんじゃ、あたし先に帰るから」



「え、一緒に来てくれないの?」



「一々酒向の求愛についてったんじゃ、

あたしがの放課後タイムが潰れるじゃない。

馬鹿じゃないの」



「…すみませんまた明日お会いしましょう」



「じゃぁね」





ツレない親友の背中を見送って

自分に喝を入れた。




学校の時間の終わりを告げるチャイムが鳴って、


ここからは"彼ら"の時間が始まる。

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