だって 1

第1話

「顔がきめぇ」




一刀両断。



ふと我に返って視線を右隣に向けると、


青年は机に肘をついて顔を乗せたまま、


こちらなんて知らんとばかりに

前の黒板を見続けていた。




「…すまんね。持って生まれた顔なのでね」



澄ました横顔に精一杯の皮肉を吐くけど

その顔がこちらを向くことはなく。



「パーツじゃねぇよ。表情が犯罪並みなんだよ」



ボソリと返される返事。



「…思い出し笑いぐらいさせてよ」



「…思い出し笑いの顔だったのかよ。


思い出し笑いであそこまで

凶器になれるヤツ見たのは初めてだよ」



「ほっとけシイタケ風情が」



「俺の苗字は椎ですが。」



「だから"シイタケ"なんじゃんか」



「小学生の発想かよボケ」

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