第16話
「お腹減った」
続く言葉に顔を見合わせて。
次の瞬間には動いていた。
由良の両隣に諌那と睦月。
諌那の横に瑠璃都が座った。
「ごしゅじ……なに、たべ…る……?」
「俺、Hamburgerな!」
「おれ、ごしゅじ……と、おなじ…っ!」
「じゃあ私はオムライスにしようかな」
「ん……っ!」
由良はすぐ横に座って由良のメニューを覗き込んでいる諌那の頭を撫でた。
座高も由良と諌那ではかなりの違いがあるが、背を曲げて由良に顔を近づける諌那の頭はちょうどいい位置にある。
瑠璃都も決まっているようで、メニューからは目を離していた。
注文をしようと振り返った先、声をかける前に先ほどの女性がやってきた。
随分と早くよく気が付く店員だ。
「ご注文お伺いします」
(待たせちゃったかな)
それなら申し訳ない、とあまりにタイミングのいい女性店員に思う。
「ハンバーガー1つ、オムライス2つ、シーザーサラダ1つで」
注文を口にしたのは瑠璃都だった。
「はい。お飲み物はいかがなさいますか?」
「由良、どうしますか?」
「紅茶」
「紅茶を二つ、とオレンジジュースとコーラを一つずつ」
「はい、かしこまりました!」
飲み物に関しては由良にしか確認をとっていないが、不満がでることはなかった。
「瑠璃、ありがと」
手を伸ばしてやれば自然と頭をさげる。
柔らかな黒髪に指を通すように撫でる由良の手に擦り寄るように目を細めた。
その顔はどう見ても誰が見ても至福を感じている顔だ。
「ごしゅじ、おれ、も……っ!」
む、と諌那が自分にも、と強請ってみせる。
瑠璃都は由良に見えないように、横目で勝ち誇ったような笑みを諌那に向けた。
珍しく睦月はその争いには口を出していない。
それどころか、どこか機嫌がよさそうに洋楽を口ずさんでいる。
(睦月もなんだかんだ甘えただよね)
由良はソファの上でにぎにぎと握られている手に意識をむけた。
諌那と瑠璃都に見えにくいのをいいことに、席に着いた瞬間から手を握らているのだ。
しかも指を絡めてにぎにぎと。
これでご機嫌にならないはずがないのだ。
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