第4話

「おいっ、誰か水!」


「つーか、扇風機っ!全部かき集めて来い!あとうちわ!!扇子!!」


「あぁああっ、王子死なないでくださいっすーっ!!」


ぐだり、と動かなくなる由良に周りにいた嵐神メンバーが声をあげた。



(うるさい……)


ぎゃーぎゃーと騒ぎ出す周りに由良は内心何度もす呟くが、声を出すのも面倒くさい。


薄くはない服の上に諌那。


由良の周りは完全に熱に覆われていた。



「あの、諌那さん、たぶんその抱きつきがやばいんだと……」


思います……、とおずおずと告げたのは滝の声で、由良はのろりとした動作で顔をあげた。


「大丈夫っすか?これ、スポドリですけど飲めます?」


心配そうに由良を見上げてくる滝。


由良の頭はソファに横たわっているせいでかなり低い位置にあるのだが、滝の顔はすぐ目の前にある。


ソファの前にしゃがみこんで由良を覗き込んでいるらしかった。



「遊馬、ほら、氷ももってきたぞ」


「青葉……?………つめたい……」


滝の顔はすぐ目の前に見えるが、青葉の姿は声だけで見当たらない。


そう思っていたら首筋に鋭い冷たさが走った。



「反応うっすいぜ」


「あおば……、だめ……っ」


氷の入った袋を奪い取った諌那は、手にしていたタオルでそれを包み直してから由良の首に戻す。


「……ありがと……」


いまだに抱きついてきている諌那の頭に手をおけば、満足そうに離れていった。



ようやく風通しのよくなった空間にのそりと体を起こせば、多方向から補助の手が差し出される。


やっとのことで一人で起き上がってみれば、ぐるりと周りを嵐神メンバーに囲まれていて、この空間にあった全ての扇風機が由良に向いていた。


それに加えて人力で団扇やら扇子やら雑誌やらで仰がれている。



果たしてここは本当に泣く子も黙る不良のトップに立った嵐神の姿なのか。


第三者がいたのならば目を見開いて固まってしまうところだろう。



(冷たいもの……)



またぼんやりとしたまま、由良は立ち上がった。


首には氷をまいたまま。


周りの心配した視線を他所にふらふらと歩き出す。

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