【第四章教皇編】第31話 聖女リュナシアと真珠革命

聖女リュナシアと真珠革命 ~274次元量子開発の裏で~



---


世界の果て、ポイント・ネモの近海にそびえ立つ最先端の量子研究施設――そこでは、人類の叡智を結集し、かつてない壮大な計画が進行していた。


「274次元量子コンピュータの開発」


その研究は、次元の壁を超え、新たな未来を切り拓く可能性を秘めている。



---


「私はただ、この地を訪れただけで――」


「聖女リュナシア様! どうか我々にご助言を!」


研究者たちの切実な願いに、リュナシアは静かに息を吐いた。彼らの熱意を無下にはできず、気づけば開発の場に身を置くこととなる。


そんなある日、研究施設を支援する財閥の御曹司が、彼女を優雅なディナールームへと案内した。


「本日は、聖女リュナシア様のために特別な晩餐をご用意いたしました!」


ルクス、リルと共に食卓を囲み、運ばれてくる美食の数々に舌鼓を打つリュナシア。


「……とても美味しゅうございます……。」


やがて満たされていく幸福感の中、彼女は静かに目を細める。しかし、ふとした拍子に頬を伝った一粒の涙が、そっとテーブルへと落ちた。


次の瞬間、御曹司が驚愕の声を上げる。


「……こ、これは!? 聖女リュナシア様の涙……!!」


「え?」


「まさしく、神の御業……!! これほどまでに純粋な輝きを放つ宝珠を、私は見たことがない!!」


「……ま、待ってください。それはただの涙で――」


しかし、御曹司の声はもはや彼女には届かない。即座に宝石商へと連絡が入り、最先端の研究者たちが緊急ミーティングを開始する。


「聖女リュナシア様の涙から生まれる真珠……これこそが、神の奇跡!!」


「聖女リュナシア様ブランドの真珠として、世界にその御恵みを広めるのです!」


「すぐに商標登録を!! 量産化の計画を立てよ!!」


「ですから、勝手に話を進めないでくださいませ!!」


聖女としての威厳をもって制止しようとするも、彼らの熱意は留まるところを知らない。


かくして、274次元量子コンピュータの開発 に湧く研究施設で、なぜかリュナシアは「女神リュナシア様ブランド真珠」の監修に巻き込まれることとなるのだった――。


果たして、聖女の涙は世界を変える新たな資源となるのか? それとも、ただの誤解で終わるのか?


――これは、革新と混沌の狭間で揺れる、聖女リュナシアの新たなる試練の物語である。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る