チート無しっ!?黒髪の少女の異世界冒険記
ノン・タロー
一章 日本から来た少女
異世界に飛ばされた少女
「き……、きゃーーーっ!!」
私、「
ことの始まりは数分前……、家から学園へと歩いて向かっている途中、突然私の周りに霧のようなものが立ち込め、気が付くと見知らぬ森の中に立っていた。
しかも運悪く、目の前には頭に鬼のような二本の角が生えた灰色の身長が3メートルは下らない大きな熊のような猛獣がいたのだ!
そして現在、その熊のような猛獣は私が縄張りに突然現れたのが気に入らなかったのか、それとも、私をエサだと思ったのか、大きく咆哮をあげると、太く丸太のような腕を振り上げて私に襲いかかってくる!
「ひぃ……っ!!」
声にならない声をあげながらどうにか躱したが、熊の攻撃を受けた木がその鋭い爪によって深く抉られていた。
「あわ……、あわわわ……」
それを見て私の腰は完全に抜けてその場にへたり込んでしまった。
このままだとあの爪の餌食になってしまう……!
早く逃げないと……!
頭ではそう思うも完全に腰が抜けた体が思うように動いてはくれない……。
「ひ……、ひぃ〜……!」
どうにか四つん這いでその場から逃げようとするも、思うように体が動いてはくれない。
そんな私にその熊は咆哮を唸り声を上げながら太い腕を再び大きく振り上げ、その鋭い爪が私へと向けられるっ!
「あが……っ!」
再び熊の一撃が私に襲いかかり、背中に重たい衝撃を受けたっ!
熊の爪は私が背負っていた通学用のリュックを斬り裂いただけで私自身には辛うじて爪が届かなかったが、しかしその熊の力は凄まじく、私は前の方にあった太い木へと吹き飛ばされ、顔面を強打する形となっていた。
「う……、うぅ……」
顔面から木にぶつかったせいか、頭がクラクラする……。
鼻の辺が熱い……、鼻血が出ているのかもしれない。
私にとどめを刺そうとしているのだろう、熊の足音が近づいてくる……。
なんで私がこんな目に……。
体の向きを変えて熊の方へと向くと直ぐ目の前に熊の姿があった。
右腕を振り上げ、私にとどめを刺す気なのだろう……。
私はほんの数分前まで小さな胸と大きなお尻がコンプレックスで、黒髪のポニーテールがトレードマークなごく普通の女子高生だったのに……。
いきなりやって来た、見ず知らずの地で僅か18年の生涯を閉じようとしていた……。
「あ……、あぁ……」
恐怖で頭が回らない……。体も強張って動かない……。
もうダメだ……!もう助からない……っ!頭には両親や妹の
「……っ!」
私は覚悟を決め、目をぎゅっと閉じる……!
しかし、いつまで経ってもとどめの一撃は未だに来ない……。
「……?」
恐る恐る目を開けるとなぜか私を襲おうとしていた熊が断末魔らしき声を上げて倒れた。
何が起こったのだろう……?
状況が理解できずに呆然としていると、倒れた熊の後ろから数人の人影が見えた。
「ふぅ……、危ない所だったな……。だが、何とか間に合ったようだ。おい、大丈夫か……?」
「こんな所にオーガグリズリーが出るとはな……。餌不足の影響か……?」
「大変……!この娘、血が出てる!怪我してるみたいよ……っ!」
「ねえ!あなたしっかりして!大丈夫……っ!?他に怪我はない……っ!?」
私を囲むように4人の男女が現れた。
その中の女性二人が私を介抱しようとしてくれているようだ……。どうやら私は助かったみたいだ……。
ホッとしたからか、緊張の糸が切れたからなのか、私は意識を失った……。
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