玩具の女神、レーニア

 その女の人は青い髪のロングヘアーで見た目にして20代くらいだろうか、綺麗な女性だった。


 だが、気になる点がある、それは彼女もまた宙に浮いていると言うことだっ!


「あなたは誰ですか?白いパンツの方」


「パンツって言わないでくださいっ!!私はレーニアという女神ですっ!!」


「女神様……、ですか?その自称女神様が俺に何の御用ですか?」


「自称ではありませんっ!そんな事を言うと生き返らせてあげませんよっ!?」


 なんと……っ!俺を生きてられてくれるとな……っ!?


「女神レーニア様、御無礼をお許しください」


「分かればいいのです!」


 俺は掌を返すように深々と頭を下げると、レーニアはご満悦な表情をしながら頷いていた。


「それで、俺を生き返らせて貰えるんですよね……?」


「勿論です……!と言いたいところなのですが、それにはとあるゲームであなたが勝たなければいけないのです」


「ゲーム……?」


「そうです!毎年色んな神様達が集まって行う神様ゲームですっ!」


「へ~……」


「そして、今年行われるのは"おもちゃ対戦"っ!通称神ブンドドですっ!」


「ほ~……」


「……信じていませんね?」


「いや、信じていないって言うか、神様ってヤツも案外暇なんだなって……」


「なんですかっ!?私の考えたゲームに文句があるんですかっ!?」


 俺の言葉に対し、レーニアは血相を変えて食って掛かってきた!

 て言うか、お前が考えたんかいっ!


「ところで、色んな神様が集まるって言ってたけど、レーニアは何の神様なんだ?」


「レーニア"様"ですっ!」


「……その、レーニア"様"は」


「よくぞ聞いてくれましたっ!私は玩具おもちゃの神様ですっ!」


 レーニアは自慢げに胸を反らすと、その胸がプルンと揺れた。


 見事な乳揺れだ。


「それにしても、おもちゃの神様って言うとなんか爺さんか何かをイメージするのだが……」


「ふふん、おもちゃの神様がこんな"美少女"で驚きましたか?」


 再びレーニアがにこやかな笑顔を浮かべながら自慢気に胸をそらすと再びプルンと乳揺れがする。


 これはいいものだ……!


 それはいいが、自分で美少女って言うか……?

 だが、おもちゃの神様がジジイやババアだと確かに萎えるな……、この場合は特に。


 それにしてもなるほど、玩具の神様だからおもちゃ対戦なのか……。


「それで、そのゲームに勝てば生き返らせてもらいると言っていたけど、一回勝てばいいのか?」


「一回ではありませんよ?優勝すれば願いを叶えてあげることができるのですっ!」


「えぇ~、優勝とかメンドイ~……」


「嫌ならこのまま死神に引き渡します」


「頑張らせて頂きますっ!!」


「分かればいいのです!」


 くそ……!文字通り命が掛かっているので迂闊には逆らえない……っ!


「それで、どう戦えばいいんだ?」


「はい、今の拓海さんは霊体なので、体がないと戦えません。ですから玩具の体を手に入れますよっ!と言う訳で拓海さんのお宅に行きましょうっ!」


「なんで俺の家なんですか?」


「何でって、拓海さんはどんな玩具でもいいんですか?いいのでしたら、ゴミ捨て場に落ちている玩具で……」


「俺の家でお願いしますっ!!」


 どんな物かも分からない身体で戦うなんて無茶にも程があるっ!

 それならまだ俺の家にあるヤツのほうがまだいい!


「では、行きますよっ!」


「え……?うわぁぁーー……っ!?」


 レーニアは俺の手を掴むと、俺の家にある方向へと飛んでいったっ!



 ◆◆◆



 レーニアに掴まれて空を飛ぶこと数秒、文字通りあっという間に俺の家へとやって来た。


 俺の家は会社の独身寮で、1DKとなっているが、今は誰もいないため明かりはついておらず、部屋の中は真っ暗だ。


 ていうか、何でレーニアは俺の家の場所を知っているんだろう……?


「へぇ~、拓海さんの部屋に玩具がいっぱいあるんですね~……」


「これは玩具というより、プラモだな」


 レーニアの言う通り、俺の部屋の一室には趣味で作ったプラモが所狭しと並べられ、その種類は様々でロボットから戦艦、さらには美プラまで色んな物が沢山飾られている。


「それで、拓海さんはどれにするんですか?」


 どれに……、か。


 つまりはこれらのプラモから一つを俺の体として選んで、戦えってことだよな?

 "対戦"と言っていたからそういう事だろう。


 どれにする……?ロボットか、戦艦か、それとも美プラ……?


「……よしっ!決めたこれだっ!!レーニア俺はこれにするっ!!」


 俺は悩んだ末、棚に飾られている一体の美プラを指差したっ!

 それは"ヴァリアント・ブレイド"というシリーズの「楓」というキャラクターだ。


 ヴァリアント・ブレイドは女の子の体にパーツを組み替えて装甲パーツを着せて武装させるという人気のガールズプラモで、楓はその中で人気のキャラクターだ。


 特徴としては赤い色のショートヘアに赤い瞳、それと白い装甲パーツが特徴的で、さらに身体の各所には装甲パーツが付けられ、腰にはスカートを履いていた。


 更に下から見れば縞パンが再現されているという素敵仕様っ!


 武装はレーザーソード、レーザーライフル、プラズマナックル、手持ち式の大口径高エネルギーキャノンと豊富で、オプションで背中にスタビライザーとスラスターが付いたバックパックを付けれるという、攻撃と機動性に優れる"設定"となっている。


「はあ……それですか。分かりました、では行きますよっ!!」


 レーニアは俺と楓へと触れると何か呪文のようなものを唱え始めた……。

 すると、俺の体が光り始め、気がつくと俺の魂は楓へと乗り移ったのだったっ!!

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