第4話 身代わりの吾子

赤ちゃんを荼毘にふしたくても、焼いてやる事も出来なかった。なら、せめてたぬきのそばに埋めてやろうと思った。可愛い顔には土が掛からないようにねんねこばんてんで包んでそうっと土を掛けた。


とにかく、家族を探そうと救護所を回っていた。

何処も火傷をした人、体のどこかを無くした人達がただ寝かされてる。

その日も家族を見つけることは出来なかった。


焼け野原の帰り道、かすかに鳴き声がする?猫?こんな焼け野原でも子猫が生きてるのかしら?気になって鳴き声のする方へ向かう。

女の人が焼け残った土塀に項垂れて座っている。酷い火傷だ。お気の毒にと手を合わせるしかできない。

「あーん、うあーん、、。」小さな声が聞こえてくる。

赤ちゃんの声?女の人に近づくとしっかり両手で何かを抱きしめていた。

その両腕の中には赤ちゃんがいた。

「ああ、この人は自分の命をかけてこの子を守ったのね。貴方は本当に偉いわ。

私には出来なかったんですもの。」

私は泣きながら赤ちゃんを女の人から受け取った。

「安心してください。どんな事があってもこの子は私が育てますから。」


赤ちゃんは亡くした娘と同じくらいの女の子だった。私は亡くしたあの子の名前をつけてあの子の身代わりだと信じた。

家族は見つける事は出来なかったが、この子がいれば何でもしようと決心した。



終戦になり、軍医の夫は復員してきた。

この子の事は夫にも秘密にした。

夫は病院で働き出して生活も安定して、それからは親子三人で暮らしていった。



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