17話 ガスタン防衛戦・前 下

【ハンス視点】

「っ!今のは……」

「…ふぅ、この殺気はあいつだな、」


スルガからの報告を受けている時とてつもない殺気が襲ってきた

かつて対峙した獣のように獰猛な男を思い出す

魔人である自分に対して人の身で互角にやり合える稀有な存在


前回の大戦では決着をつけられなかったが懲りもせずまたも仕掛けてきた

しかも20万も率いてである


「スルガ、すぐさま兵を集めよ。それから伝令をあいつのところにも送ってくれ、一応な。それと和人にもな。」

「あのような怠け者に頼るのは癪ですが…それにあの勇者もまだ信用出来ませんがね。分かりました、すぐさま戦の準備を進めます。それでは。」


そう言ってスルガは部屋を出ていく

それを確認してコーヒーが入ったカップを取り飲もうとしたところで手を滑らせる

甲高い音を立てて割れ中身をぶちまけるカップを見てため息を吐く

それに少し心が騒つくが気を取り直す


「いざとなれば、アレを使う。」


そう自分に誓って新たなカップにコーヒーを入れ直す

自分は軍のトップ

自分を頼りに皆が動き前を向く

弱い姿は見せられない


ふと窓から街を見る

こんな時にも民は笑顔でいる

子供も大人も皆が笑顔で楽しそうに今を生きている


子供の時に見た皆が暗い顔を浮かべていたあの街のようにはならない

皆が笑顔で生きていられるように、その幸せを守りたいから自分は軍に志願したんだ


自分に出来る限りの努力をした

辛いこともあったし大怪我を負うこともあったが必死に皆の笑顔のためにと前を向き続けた

その結果今はトップにいる

自分の背中には数えきれないものを背負っている

誰にも奪わせやしない

それが国家相手であっても、種族相手であっても、神相手であっても


全てから守る


何故ならば自分は、俺はこの国の守護神だからだ


















【和人視点】

竜との死闘を制した時から体が思うように動かなかったがようやく動かせるようになってきた

体感だと一日ぐらい経ってると思うけどどうなんだろうか

早く街に戻らないとな、ニーナにも話してやりたい


それはそれとしてさっきから腹が物凄く鳴ってる

そりゃ一日何も食べてないから当然なんだけど


ふと横を見るとそこには火竜の死体

まだ生きていた頃の威圧感を漂わせるそれを見て更に腹が鳴る


「……竜って美味いのかな、ジジイがなーんか言ってた気がするんだよなぁ。うーん、なんだっけかな……まぁいいか、思い出せないってことはどうでもいいことだったんだろ多分。」


腹が減りすぎて独り言がどうしても多くなる

ただ生で食うつもりはない

しかし俺が使えるのは風魔法だけ

ならどうするかと言うと…


《鏖殺流・火焔葬》


身体から湧き上がる生命力を使い火を起こす

これもジジイから習ったこと

ジジイ曰く人間とは生きているだけで生命力ってエネルギーが身体から湧き出てる

それを普通の人間は無意識に外に垂れ流してるのを意識してコントロールしてその力を元に色々な現象を起こすらしい

先の戦いで使った無手瞬刀もその力の応用技

あの爺さんほんと謎なんだよな


起こした火で竜から切り取った肉を炙っていく、焼け焦げはしないよう加減して

するとなんの調味料も使っていないのに肉の香ばしい匂いが空間に充満していく

表面の色が変わりそろそろ食べれる頃合いを見計らって思いっきり肉にかぶりつく


「っん!!!!うまいっ!!」


かぶりついた瞬間中から溢れ出る肉汁

甘さが上品な油と歯応えのある肉の食感

鼻から突き抜ける香りはそれだけで腹が膨れるような満足感を得る

思わず声に出てしまうそれはただ炙っただけにも関わらず小さい時に食べた国産のどの高級肉よりも美味しい


止まることなくどんどんと肉を掻き込んでいく

まだまだ火竜の肉体は残っているので体力回復も兼ねて食べれるだけ食べていく


本当は早く帰らなければいけないのだろうけど、とりあえず今はかぶりつく

些細なことは気にせずに



「うんめぇーー!!!」



☆☆☆☆☆

色々思いついてるのに!仕事で満足に時間つくれねぇ!( ; ; )

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