12話 各国の動き
【武星国家ゼノバースにて】
武王ゾイド・ゼノバースを頂点として自身を鍛えることを第一とし、大国の中で最も血気盛んなやつらが集まる超ならずもの国家である
国民100万に対し戦闘を生業とする者共が40万と、通常ではあり得ない戦力を保有している
かつての夢は大陸統一
魔人が存在していなかったらすぐにでも戦争を仕掛けるであろうその国にとある一報が入った
話しているのはこの国の王ゾイドと腹心のミヒャエル。この国のNo.1とNo.2による豪華なメンツである。
「して、スペアトスにて召喚され、その後魔人になった例の勇者が魔の森にいると。しかも魔人側の陣営と共に行動を共にしていると?これは行幸!近々攻め入ろうと思っておったがまさか勇者までおるとは!こうしてはおられん、3日後には魔人共の巣窟に攻め入るぞ!」
「しかし陛下、まずは近隣諸国に、そして真っ先にスペアトスの方に連絡を入れてからの方がいいのではありませんか?あの国はいちいち五月蝿いですので。」
「そんなことはどうだっていい!そもそも魔人の勇者を取り逃したのは他でもないスペアトスだ!文句があるなら黙らせてやる!物理的にな、はっはっはっはっ!」
「は、それでは直ちに出征の準備を進めてまいります。戦力はどれほど?」
「向こうにはハンスがいるからな、そいつはワシが受け持つ他ない。となるとお前は20万を率いて魔人共を蹂躙せよ、下にキースをつける。例の勇者もおるからな、油断するな。わかっているだろうな?」
「勿論です、万事抜かりなくことを終わらせて見せましょう。それにあやつは性格は酷く不安定ですが、実力は確かです。立派に育てて見せましょう。」
「ならよい下がれ、ワシは少し気持ちを落ち着かせるのでな。」
そう言うとミヒャエルは早速戦の準備を取り進めるべくその場を去っていく
一人その場に残ったゾイドは額につけられた古傷をそっと撫でる
「待っていろよハンスぅ、今回こそお前の喉元を食いちぎってやるからのう。」
ゾイドはこれでもかと口角を歪めて嗤う
獲物を前にした肉食獣のように
【魔道帝国ガルセリオン】
魔に魅せられ魔道の道を極めんとする者達が集う国
他の国では禁術とされる精神魔法、死霊魔法なども公に研究出来る唯一の国である
文字通り魔とつくもののためには手段を選ばず、魔法の発展に常に力を注いでいる
そんな国で今まさに会議が行われようとしている
集まっているのは12天魔導士の面々
国の中で特に優れた魔導士の精鋭部隊であり、一人一人が万の軍勢に等しい力を保有している
「諸君、よく集まってくれたね。先ごろ武王が魔の森の魔人共に仕掛けるという情報が入り、こうして君らに緊急で集まってもらったんだ。」
「はぁーあの野蛮人もなかなか凝りませんね、いつものことですが。」
「そうだよねほんとに!魔法が使えない馬鹿はこれだから困っちゃうよねーほんとに!さすが低脳!死んだ方がいいんじゃないかな!」
「口が過ぎますよミーヤ、否定はしませんが今は厳粛な会議の場です。乙女が軽はずみに口汚い言葉を吐くもんじゃありませんよ。」
「うっさいババア!あんたを私のペットにして2度と生意気な口聞けなくしてやろうか!?キャハハ!」
「あらあらそんなこと滅多に言わない方がいいですよ?殺されても文句は言えませんよ?うふふ。」
「2人とも話はそこまでにしてくれ、文句があるなら個人的に話をつけてくれると助かるな。」
「ちぇーあんたが言うなら仕方ないかぁ、命拾いできてよかったねババア。」
「あなたこそ1席様に守られてよかったですね弱虫の4席さん?あら、元4席さんでした!ごめんなさいね?」
「ぶっ殺す!」
ミーヤが魔力を高め先ほどババアと呼んだ女性、ホウレライに魔法を放つ瞬間突如として魔力が霧散する
それが誰の手によって起こされたかは明らか
先ほど1席と呼ばれた男、ギルガルドによってである
「落ち着いてくれて何よりだ。話を続けよう、武王が今回魔の森の魔人共に攻勢を仕掛けるが、うちからは特になにもするつもりはない。」
「それはまたなんでだ?これを機に魔人共を一気に潰せばいいじゃねえか。」
「…我もそう思うが、貴君にはなにか思うところがあるのか?」
発言したのは序列第3席、第4席のライオネルとゴーガンである
二人が思ったことはこの場のギルガルド以外の面々全てが思っている
確かに魔人は人間とは違い一人一人が精強だ
しかし所詮は人間よりスペックが高い程度
それぐらい数の差でいくらでもひっくり返せる
そしてギルガルドが弱気な姿勢を見せることは滅多にない
普段ならむしろここぞとばかりに苛烈に攻め立てる
だからこそ皆不思議がっているのだ
「…風が来る、それも特大の。無策で突っ込めば取り返しのつかない被害を食らう。それがなにかは分からないけれどね、要は勘だ、詳しく分からなくてすまないね。」
「…いや、貴君の勘は外れぬからな、了承した。つまりなにが来ても対処できるよう力を貯め、武王共にはある種餌になってもらうと言うわけだな?」
「そういうことだね。皆も今聞いた通り各々ができることをしてくれ、それじゃあ解散としよう。」
皆が退出していく中ギルガルドはふと窓を覗く
空は相変わらずの曇りだ
「…さて、なにがおこるやら。」
魔道帝国最強の男は静かにその場に佇む
【海洋王国ガルムへスタ】
海上輸送、陸上輸送含め世界でもっとも商売が盛んな国ガルムへスタ
この場所にくればありとあらゆる素材から嗜好品、食料に金品とまさに天下の台所といった所
その中心都市へリザリストの城にて今まさに大商人達が一堂に介していた
この場の面々だけで世界の半分の富を独占しているまさに大富豪
今回も儲け話があると聞きこうしてやってきた次第である
「ほほほほ、先日はどうもありがとうございましたねリュードラ殿。おかげで妻には大層喜ばれておりまして、お詫びと言ってはなんですがこれを。」
「おぉ、そんなつもりはなかったがすまないな。いやなにアンドラ殿、友のためならば当然ではないですか。今後とも我が商会をご贔屓に。」
そんな会話があちこちで巻き起こるが、この部屋の中でとてつもなく巨大で荘厳な扉が開かれるとみな一様に黙る
先ほどまで和気藹々と会話していた場が嘘のように静まり返り、扉の奥から丸々と太った40代ごろの男が入ってくる
容姿はお世辞にもいいとは言えないが、その目だけはギラギラと周りを突き刺すように周囲を見渡す
「よくぞ集まってくれた我が国自慢の商人達よ。早速儲け話の情報を伝えようぞ。魔の森にて生息している魔人共とゼノバースが本格的にことを構えるようだ。数はおよそ20万。今回は武王も戦場に出るらしい。諸君らはこの情報を聞いて生かすも殺すも好きにせよ。しかし、我は各々が持ちうる全てを使い
金貨の山を築き上げることを期待する、以上だ。」
そう言ってすぐさま元来た道を戻って行き姿が見えなくなる。
すると場が徐々にざわつき始めこの機を逃すまいと次々と行動に出る
突然舞い込んだ大儲けの話に商人達が釘付けになっている中、ガルムへスタの王マヌルニアはしたり顔になっている
「我は金の王、マヌルニアである。世界を買ってやろうではないか。」
自分の野望を改めて口に出して拳を握りしめる
やはり我の元にはこの世の全ての金貨が集まるべきである
そして運命もまたそのように動いているのだと考えながら
世界が加速する1年の始まりである
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