第3話 【BL】親友がちょっと心配な「柔軟な男」

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 濃厚週間が終わり(お尻が危なかった)、12月になり、街はクリスマスイルミネーションで華やかになっている。

 俺たちは、来年度から受験生だし進路などを考えなければいけない時期になって来た。

 俺は以前から行きたい大学があるのだ。

 ユゥキはどうするのかな?、優秀なのであちこちから声が掛かっている様子。

 何にでも成れそうだし、もっと自由に学んで欲しいな〜って思っている。

 別に一緒な場所で無くても良いんだ、俺はユゥキと共に同じ時間を生きていて、成長して行きたいんだ。


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 「なぁ、カイト……お前、進路はどうするんだ?、前に言ってた大学へ行くのか?」

 寒かった日、塾帰りに雪が降って来てしまったので、ファストフード店でホットコーヒーを飲んで温まっていた俺たち。

 ついでにポテトをつまんでいたら、ふいに聞かれた。


「うん、そう、あの大学にはね、凄く尊敬出来る生物学の先生が居て、俺、教わりたいんだ。だから頑張って勉強せねばいかんのよ、」

「そうかぁ、」


 向かい合っている、ちっこいテーブルの向こう側のユゥキの表情がちょっと暗い、

 (なんだなんだ?お腹空いてんのか?)

 俺のポテトを仕方ない譲ろう、、。

「ほれ、食べて元気になれ」

 (手……)

 ほ? 向かい合ってるテーブルの下、俺の膝に手を触れてくる。濃いまつ毛に縁取られたいつものキリリとした強い瞳が弱々しく見える。ぐぅ……可愛い。

 

 あ、えぇっと?、、甘えたいのか?、うん、人目もあるからな、

 こっそり俺もテーブルの下から手を伸ばして指を絡める。胸が熱くなる。

(俺は、〈カイ、ト〉……お前とずっと一緒にいたいんだよ……)


 急に淋しそうな顔を見せてから、小さく名前を呼んでくる時、〈遠い世界のもう1人〉から呼びかけられている気がしてならない。


 クリスマスムードの賑やかな店内から、一瞬、感覚が遮断されて、静かな暗い崖に誰かが独りで立っている風景が脳裏に浮かぶ。

 そう〈かつての愛した存在〉が誰も居ない真っ暗な星で1人、決然と立ち尽くしているように感じられるのだ……


〈ユゥキ、お前は遺された後にどんなふうになって、何を決意したんだよ……〉

 

 イルミネーションが輝く夜の街が覗ける窓の向こうには、フワフワと雪がまだ舞い降りていて、

 そして、それは俺の中にモヤモヤした不安な雲も呼ぶんだ……

 ――――――――――――

「ようやく、お前と結ばれて繋がって、、なのに、見えてしまったんだ、この先が……」

 ハッと現実に俺は引き戻された。

「なんだそりゃ?」


事故で死に掛けた時から、ちょっとした過去や未来が分かる時があるらしい。

 ほぅ、超能力者か?

「真面目に聞け」デコピンされる。

 この前の濃厚週間(お尻が危なかった……)で、

 また新たな未来っぽいのが見えたらしい。


 その薄っすらと見えたらしい未来の情報とやらによると、

俺は、将来何かの発見をするらしい、その為にかなりな人口減少に歯止めが掛かる。生きるのが楽になるっぽい。ほぁー、良さげじゃないか? 俺の未来。


 が、それを良しとしない勢力にその技術が完成する前に拉致られて、アレされるつまりは殺されるって話。

 また殺されるのかー。

 (漫画かよ)


「だから、俺としては注意して欲しいんだけど……どうすればいいのか、判らないんだよ。」

 そう言って暗い顔で黙り込んだ。

 (えぇ〜、でも、それはまだ起こってない〈不確定なモノ〉では無いのか?)って俺は思った。


 しかし、その話をして以来、ユゥキは険しい顔をして考えて込んでいる時が増えてきてしまった。

 俺は杞憂では無いのかって何度も伝えたのに、色々調べている様子だ。

 それを俺はどうする事も出来ず、胸の中が燻り続ける日々が続いた。

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 「ん?どうだ、痛くない?」

 また誰もいない俺の家で、暖かい腕に組み敷かれている。

 「ふぅっ、はぁ、、気持ちい、、い、あっ!、そこぉ」

「こっち向いて、オレに腕を回して、、」

 なんだかんだ言っていても元気な高校生の俺たちなんで、週一で互いの家にいる、勉強したり、エッチしたり、ユゥキはどんどん俺を快感に導くのが上手くなっていって、抱かれ続ける事が増えて来てしまった。ユゥキの形の良い柔らかい唇を当てられると、トロンとして来る。

 コレって俺たち、前世と同じ状況なの?


 ゆっくりと熱いモノを出し入れされる感覚は背中にもお腹にも刺激をもたらして、

 俺の中にある、〈奥の気持ちいい場所〉をユゥキはもう覚えてしまっている。

 脚を大きく拡げさせられて、見られながら出し入れされる、ソレは恥ずかしくて堪らないのに、俺は快感に震えているしか出来ない……

 

「あぁッ、そこ突き過ぎィィ……」

「大丈夫、もっとオレを感じて、カイト、大好き」

 耐え切れず、ユゥキの肩に爪を立てそうになる。

 (いいよ、しっかり爪を立てて、繋がっていて、、キスして、カイト……)

 ずっと快楽にゾクゾクさせられて、俺は喘ぐしかなくって溜め息と涙がでるばかりだ……

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 冬には珍しく大雨が降った翌日。来週に冬休みに入ろうかと言う時期だった。

 放課後に先生と話し合ってたユゥキが戻って来た。

 

「は?、特待生?研究所?、何処の?」

 急な話を聞かされて驚く。

「国防の研究所って事、らしい。外郭団体だけど、訓練も研究もするって、とにかく一回、研修に来てくれないかって……」


 離れた都市にある、「其処」は何を研究しているのかわからない、調べてもあまり情報が出て来ない。

 情報がコントロールされているのかもしれない。

 国防関係だと、そうなるのは仕方ないけれど、危なくないか?

 ユゥキは優秀だけれど、思い詰めたら突っ走って仕舞うきらいがある。

 特に、軍部などと言うのに馴染みやすい、(前世に引き摺られている可能性だって有る、むしろ捨て切れていないのでは無いのか?……)

国防の必要性は分かっている……けれども……


 (まだ、慌てずに考え直してみないか?)

 と言う俺の提案は、ユゥキの耳には届かない。

 

「試しに行ってみる、寮もあるし、学びもそこで出来るから、心配するな。2週間で戻って来るから。」

 

 アイツの部屋で散々話したけど、キリキリとした雰囲気のユゥキはもう自らの決定を翻す意志は無かった。

 最後には、

「コレはお前の為でもあるんだ、カイト……」

 なんて、熱く言われ唇を合わされ、抱きしめられ、ベッドに連れて行かれ有無を言わさず交合された。

  そして、次の日、アイツは出掛けて行ってしまった。


 

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