思いついた文章を書く(1)

 人間の本質は好奇心だよ。

 猫は殺されたが、人間は死ななかった。


 頭に浮かんだその文章を、声に出してみる。

「~~~~~~」

 文のリズムを重視して、感情にそって抑揚をつけて、最後の音まで静かに、ナイフで刺すように言い切る。


 もちろん、何時も詩人でいるのも考えものである。


 理想は時に、現実よりも残酷だ。


 頭の中で音楽がずっと流れ続けている。一つのフレーズを何度も繰り返している。


 テストで点数を取る理由は「もらえるから」以外にない。

 だれだって無料で一万円札をもらえるとしたらもっていくだろう?そこに深い意味なんてない。ただ、一万円札に対する愛情だけがある。

 テストの点数もそれと同じだ。


 浮いた言葉がある。何にも繋がらず、広がらない言葉だ。


 ――カーテンが嫌いだ。

 僕が最初に発した言葉だ。


 いつも大人は自分が子どもだったことを忘れている。


「自分がされたくないことを人にするのは良くないことだ」はセンスのある考え方だとは思うが、正確ではないだろう。


 憧れと信仰と恋の何が違う。きっと同じ形をしている。違うのは、色だけだ。


 後悔は過去にのみ存在する。


 卑怯な考えというのがいくつか存在する。

 誠実であることは正しいが、正しければ笑って暮らせるというものでもない。


 忘却が一番の敵だった。感情も思考もすべてを洗い流していった。何にも残らなかった。

 弱く、間違えた自分を殺すことが成長というのなら、僕らは幸せでいられると気付いた。


 尊敬も恐怖も悲しみも面白さもすべて思考でしかない。物体はいつだって心のなかに存在する。


 僕はよく大切なことを忘れる。


 模倣とは妄想である。


 人が一人で行きていけないのは、どうやってもどこかで人と関わってしまうからだ。

 そんな呪いに僕らは縛られている。

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