麦秋至る

 麦秋至る(ばくしゅういたる)


 六月になりました。一年、十二ヶ月の前半の最後のひと月です。年始に考えていた「今年こそはやろう」と思ったことを現時点でいくつクリアできているか。手帳を見返してみました。まぁ可もなく不可もなく、といったところ。ちょっと事情があって心が動くような美術・芸術を遠ざけていましたし。もう少しペースアップするためには計画を立てることが必要なようです。

 小満の末候は【麦秋至る】。この季節に秋と聞くと「おや」となりますが、麦は今が実りの季節なのだそう。秋はたんに夏と冬の間という意味だけではなく、実りの季節という意味も後発的に獲得した言葉なのですね。

 麦といえば、先日、スーパーで買った安めのお弁当はお米ではなく、もち麦でした。「健康のためにもち麦を」みたいなラベルが貼ってありましたが、ご時勢柄、どう考えてもコメ価格高騰を受けた苦肉の策だよなぁ、と。これならば堂々と「お米を使うと値段が抑えられません。もち麦もおいしいし健康にもいいですよ」としてくれたほうがよかった気がします。なんか騙された気分がして。

 口にする前に脳が思い浮かべていたものと実際に食べたものが違うと、「うっ」となりませんか。これはどんなに美味しいものでも。味覚も五感の一つ、感覚ですから脳で処理するわけです。そう考えると口と歯は咀嚼しているだけで、本当に「食べる」という行為は脳でしているのかもしれません。

 テレビでタレントが目隠しして食べたものを当てるという企画が成立するのは、こういった事情なのでは。試しに好きなものを目隠しして食べてみて下さい。きっとあまり美味しくないはず。暗いところで食べると美味しく感じないのも、この原理なのかもしれません。

 麦の話題に戻ると、この企画にしばしば登場する叔父はお酒好きな人で、ビールのことを大人の麦茶と言っていました。影響を受けたのか、私もビール好きに育ちました。といってもビールは高い。さらに値上げもあり、価格を抑えられる新ジャンルと呼ばれるビール風のものを買っています。

 目隠しして麦茶飲んだら、ビールの味がしないのでしょうか。してくれたら、安上がりに済んでありがたいのですが。まぁアルコールは舌ではなく脳に直接、働きかけるものですから、これ酔えないよなぁ。

 問題の叔父の妹(私の叔母)は「お姉ちゃん(母のこと)、兄さんは最初だけビール飲ませてあとは麦茶出しておけばいいのよ。どうせ二杯も飲んだら味なんかわからないんだから」と言っておりました。

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