「負けたほうがなんでも言うことを聞く」約束をした幼馴染が、ぐいぐい間を詰めてくる

夜野十字

プロローグ 負けたほうがなんでも言うことを聞く約束をした

泰斗たいと、負けたほうがなんでも言うことを聞くってルール、どう?」


 それは小学生の、些細なおふざけだった。

 夕方、俺の部屋で幼馴染のはると対戦型のテレビゲームをしていたとき、不意に横からそんな提案をされた。

 俺は画面から目を離し、隣をちらりと見る。足を崩して座っていた遥が、目線だけこちらに向けていた。


「急にどうって言われても」

「いやー、泰斗とのゲームもだんだんマンネリ化していってる気がしてさー。ここらで刺激が欲しくなって」

「マンネリ化って」


 そりゃちょっと失礼じゃないか。

 とはいえ、俺もその意見には同意できる。遥とは長年、それこそ幼稚園や小学校低学年の頃から色々なゲームを、デジタルやアナログを問わずしてきたので、ここ最近はなあなあになってしまっている節があった。


 負けたほうが言うことを聞く。フィクションなどでよく聞く話だが、面白い。


「わかった。乗ってやるよ」

「お、やる気だな? わかってると思うけど、私、負ける気ないからね?」

「そっくりそのまま返す」


 俺たちはお互いに不敵な笑みを浮かべて、画面に向き直る。

 スタートのボタンが押されて、闘志を誘うBGMが流れ始める


 ここから、すべてが始まった。

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