第19話 不穏な気配

俺の名前は「佐藤 和馬」28歳

とある週刊誌の敏腕記者だ。


その週刊誌は「ゴシップ記事」で有名らしいが、俺としては「社会正義の実現」の為に頑張ってるつもりなんだぜ♬.*゜


そんな俺の新たなターゲットは「ヒーリング教団」という名前の新興宗教団体。


「この教団は「奇跡の治療」を謳って、多額の寄付金を集めているが、その実態は信者から高額な寄付金を巻き上げているだけの詐欺行為。


そして教団内で行われているのは、信者による教祖に対する性的奉仕だ」

とまあこんな記事を書くつもりだ(笑)


◆◆◆


まずは教祖と教団幹部について調べてみた。


教祖:山田あきら。42歳。独身


元々マッサージ師だったみたいだな。写真で見る限り「冴えない中年のオッサン」って感じだ(笑)

4年くらい前に独立してから、いろいろ始めたようだ。


そして教団の幹部は


井上美羽(22歳)

青木ミザリー(26歳)

小沢愛(18歳)

の3人だ。


写真で見る限り3人とも飛び切りの美女だ。

しかも調べてみると全員子持ち、そしていずれも父親は「例の教祖様」らしい。


これが事実ならそれだけでこの教祖は「ギルティ」だよな(笑)


「この3人は教祖の指示で信者を誘惑し、寄付を募っている。

つまり3人が性的奉仕をすれば、それが教団の運営資金になるという訳だ。」

とまあこんな記事を追加で書こうか?しかし、この記事は「事実なら」の話だ。


そして俺は教団施設に取材を申し込んだ。


◆◆◆◆


あっさり取材の許可が出て、俺は指定された日に車で教団施設に向かった。


佐藤(だいぶ田舎だなぁ。ここって前はリゾート施設だったみたいだしな)


入口の警備室で訪問目的を言うと施設内の応接室に通された。


しばらく待つと、若い女性が二人入ってきた。


佐藤(1人は小沢愛だな。確か教団の広報部長だったっけ。それにしても若くて可愛い女の子だ)


愛「お待たせしました。私は広報部長の小沢と言います。こちらは担当者の山口です」と挨拶してきた。


佐藤「初めまして、週刊ゴシップの記者をしています佐藤と言います。今日は取材に応じていただきありがとうございます。」と俺は名刺を出して挨拶した。


愛「こちらこそよろしくお願いします」。


佐藤「では早速取材を始めさせていただきたいのですが、まず教団の理念についてお聞かせください」


愛「はい、ヒーリング教団は、病気や怪我で苦しんでいる人を癒す事を目的として設立されました。そして教祖様によって奇跡の治療が行われています。」と愛はスラスラと答えた。


(なんか優等生的な答えだな)と俺は思った。


佐藤「「奇跡」ってなんか胡散臭い響きですよね?(笑)具体的にはどんなことをされてるんでしょうか?


「例えば病を治したり出来るんでしょうか?」と俺は冗談っぽく言った。


愛「はい、教祖様が癒しの力を持つ光の力で病んでいる所を治療できます」


佐藤「え!本当ですか?すごいですね。ではその奇跡の治療を見せていただきたいのですが?」と俺が言うと


愛「教祖様はお忙しいので直ぐには会えませんが、教祖様の力で快癒した者がいます。その者の話なら直ぐに聞けると思いますが?」


佐藤(お!食いついたぞ。この流れならそのうち教祖様に会えるかな?)

「是非その方とお話がしたいです!」と言うと


愛は「わかりました、山口さん、美保さんを呼んできてくれますか?今日はここにいるはずですので」


山口「はい、直ぐに呼んできます。」と言って部屋を出ていった。


佐藤「ちなみに教祖様ってどんな方なんですか?」と俺は聞いてみた。


愛「とても優しい方ですよ。誰にでも分け隔てなく接してくれます。時には厳しく指導してくれますが、それは私たちを思っての事だと思っています。」と答えた。


(なんかすごくベタ褒めしてるけど嘘臭さを感じずにはいられなかった)


しばらくするとドアが開いて山口に連れられた少女が入ってきた。


佐藤(これまたとびきりの美少女だな。「セックス教団」って噂もあながち間違いじゃないかもなw)


美保「はじめまして、立川美保と言います。教祖様のことを聞きたいそうですが?私は教祖様によって病気を治療してもらい快癒した者です」


佐藤「では、その奇跡の治療法を見せてもらえませんかね?(笑)」


美保「え?それはちょっと難しいですね。教祖様はお忙しくてなかなか時間取れないと思いますよ」と少し困ったような顔をした。(なんかこの子も優等生的な答えだな)と俺は思った。


愛「私たちがいるとホントのことを話しにくいかもなので、美保と2人にして差し上げますね。佐藤さん美保が可愛いからと言って襲ったらダメですよ。取材が終わったら内線で連絡ください」と言って愛と山口は部屋を出ていった。


「さて、美保ちゃんだったかな?教祖様って本当に病気を治せるのかい?(笑)」と俺は単刀直入に聞いた。


美保は「はい!私は末期の白血病だったのですが、教祖様のお力で快癒する事が出来ました。」と目を輝かせながら答えた。


◆◆◆


その後もいろいろ話を聞いた。

話の辻褄は合っているが、美保は教祖に心酔してる様子で、悪いことが聞けそうな雰囲気は無かった。


佐藤「なるほど教祖さんって凄い人なんだね。ところでちょっと違う話になるんだけど、教祖って凄い女誑しで、信者に次々手を出してるって噂があるんだけど?

あの小沢さんのお子さんも教祖さんの子供だよね?そういうのは美保ちゃんはどう思ってるの?」と俺が聞くと


美保「教祖様はそんな方ではありません。確かに教祖様は素敵な方なので、信者から誘惑されるとこはあるようですが、今は全て断ってます」と強い口調で答えた。


佐藤(「今は」ねw 以前は違ってたってことだよな)


「じゃあ美保ちゃんも教祖様のことが好きなんだ?

でもさ、小沢さん以外にも、井上さんや青木さんとの間にも教祖さんとの間に子供がいるんだよね?

結婚していないのに女性を妊娠させる、しかも三人もってのは、、、

世間一般の倫理的には問題あると思うんだけど、それって美保ちゃん的にはどうなの?」

と俺はズバリ聞いてみた。


美保「確かにどなたとも教祖様とは結婚されてませんが、それはみなさんが望んだことです。

だって教祖様は信者みんなの為にお力を使われているんですから、独り占めなんて誰にもできません。」


佐藤「でもそれって寂しくないの?」と俺が聞くと


美保「それは仕方ないことです。でも教祖様と一緒にいるだけで幸せな気持ちになるんですよ」


◆◆◆


30分ほどいろいろ聞いたが「教祖様の力は凄い」とか「教祖様は素敵な人だ」と言う話しか聞けず。美保への取材を終えることにした。


美保が内線電話をかけ、暫くすると愛、山口と一緒に中年のオッサンが入ってきた。


佐藤(おっ教祖の山田じゃないか。それにしても小太りのただのオッサンだよなぁ。とても愛や美保が言うような「素敵な人」には見えないw)


あきら「わざわざ取材に来ていただいたのに時間が取れずすみません。せめてお見送りだけと思いましてね。」


佐藤「いえいえ、こちらこそお忙しいところお時間いただきありがとうございます。また機会があればよろしくお願いします。」と俺は言って取材を終えた。


◆◆◆


教団施設の出口に美保がいたので、少し立ち話する事にした。


佐藤「今日はありがとうございました。ところで教祖様って本当に凄い人なんですか?なんかただのオッサンにしか見えなかったんですが?」と俺が聞くと


美保「はい!教祖様は素晴らしい方です!私は教祖様に命を助けていただきました。

そのおかげで今こうして生きていられるんです!」と目をキラキラさせて答えた。


(この目は信じきって何も疑わないって感じだなぁ。こうなると何を言っても無駄だね。)


佐藤「まあ今後何か事件でも起きればまた取材させてもらいますのでその時はよろしくお願いしますね。」と俺は言ってその場を後にした。


◆◆◆


佐藤(なかなか突破口がないなぁ?さてどうしようか?


そういえば山田が入って来た時、美保は嬉しそうだったし、愛も親しそうにしてたけど、あの山口って子は普通だったな。山口を個人的に取材してみるか、、)


などと思いながら俺は車を走らせた。

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