古代の遺跡 12
古代の遺跡の深部に入ると、空間の静けさが緊張感を生む。突如として風が渦を巻き、巨大なシルエットが現れた。その姿は「ストームホーン」、遺跡を守護するかのように立ちはだかる風属性のモンスターだ。巨大な鹿型の体躯に、まるで嵐を凝縮したかのような角が輝きを放つ。
一歩踏み出すごとに周囲の空気が振動し、角からは不穏な風のエネルギーが放たれる。私は雷鳴の剣を構え、じっくりとその動きを観察した。ストームホーンは地面を鋭い蹄で蹴りつけると同時に突進の体勢を取った。その一瞬の隙を狙い、私はゲイルグリーブの俊敏性を活かして横へ跳び、突進をかわす。
だが、ストームホーンは突進を回避されてもすぐに立ち止まらず、振り向くようにして角から風の衝撃波を放ってきた。避ける暇もなく、私は風圧に押されて後方へと飛ばされる。クリスタルヘルムが衝撃を和らげてくれたものの、体力が大幅に削られているのが分かった。すぐにポーションを取り出し、一気に飲み干す。
風の衝撃波が収まる間もなく、ストームホーンは再びこちらに狙いを定めてきた。私は一瞬息を整え、攻撃を仕掛けるタイミングを計る。突進の動きを読み、ゲイルグリーブの加速効果を利用してストームホーンの側面に回り込むと、雷鳴の剣を振り下ろす。剣が硬い外殻に当たり、火花が散る。手応えはあったが、ダメージを与えた様子はない。
その瞬間、ストームホーンの角が光を放ち始め、次の攻撃の準備が始まったのを感じた。再び大地を蹴りつけ、今度はより速いスピードで突進してくる。私は壁際へ追い詰められながらも、間一髪で横へ飛び、再び斬撃を試みる。今度は蹄の付け根を狙い、雷鳴の剣が深く食い込んだ。ストームホーンが苦しげに咆哮し、その動きがわずかに鈍る。
ストームホーンは傷ついた足を引きずりながらも、再び角を高く掲げ、風のエネルギーを集中させている。その様子を見て、私は一旦距離を取り、次の動きに備える。角から放たれる強烈な風のビームが目の前の空間を裂き、床に深い傷跡を残す。攻撃範囲の広さに驚きながらも、冷静に動きを観察する。
ビームが止んだ一瞬の隙を見計らい、私は再び接近戦に持ち込む。傷ついた蹄を狙って素早く斬撃を加えるたびに、ストームホーンの動きはさらに鈍くなっていく。しかし、それでも完全に止まる様子はない。ストームホーンは最後の力を振り絞り、突進の構えを取る。
ストームホーンの突進は、これまで以上に速く、重く感じられた。私は一瞬の判断でゲイルグリーブを全力で活用し、跳躍して空中から突進の軌道を外れる。巨大な角が地面を抉り、破片が四方に飛び散る。その隙を突いて、私は背後に回り込んだ。
ストームホーンの背中は、風のエネルギーが薄くなる瞬間がある。そのタイミングを見極めて、雷鳴の剣を渾身の力で振り下ろす。剣が背中の硬い外殻を貫き、内部のエネルギー核に届いた感触があった。ストームホーンが咆哮を上げ、暴れ回る。私はその場から素早く離れ、次の一撃に備える。
暴れるストームホーンの動きは徐々に鈍くなり、エネルギーが弱まっていく。だが、最後の抵抗として角に全ての力を集中させ、巨大な風の渦を生み出そうとしている。
渦巻く風は周囲の石柱を粉々に砕き、私の体をも揺さぶるような圧力を生み出す。これは最後の攻撃だと確信し、渦の中心にいるストームホーンを狙うため、私はクリスタルヘルムの防御力を信じて突進した。
渦の中に飛び込み、風に抗いながら剣を構える。風圧で足が取られそうになるが、ゲイルグリーブが私の足元をしっかり支えてくれる。そして、渦の中心に辿り着いた瞬間、私は雷鳴の剣を渾身の力で振り下ろした。
剣がストームホーンのエネルギー核を完全に捉え、轟音と共に渦が崩壊していく。風が止み、静寂が遺跡を包み込む中、ストームホーンの巨大な体はゆっくりと崩れ落ちた。
私はその場に膝をつき、荒い息を整えながら勝利を実感する。ポーションを飲んで体力を回復し、ストームホーンの残骸を調べ始めた。角からは「嵐の角」、蹄の部分からは「ストームの結晶」といった貴重な素材を採取することができた。
また、体の中心部にあったエネルギー核は特に純度が高く、「嵐の核」と名付けられる価値の高いアイテムであることが分かった。ストームホーンを倒した後の静けさの中、私は体を整えるためにしばらくその場に留まった。エネルギー核の収集を終え、傷ついた装備を確認しつつポーションで再び体力を補充する。
◯収集アイテム
・嵐の核 ×1
・ストームの結晶 ×2
・嵐の角 ×1
・ストームホーンの蹄 ×4
・風の結晶 ×3
[Tips]
嵐の核
ストームホーンの体内で生成された純度の高い風属性エネルギーの結晶核。風属性の魔力を持つ装備や武器の核素材として利用されることが多い。その輝きは美しく、触れると微かな振動を感じるほどのエネルギーが込められている。
ストームの結晶
ストームホーンの蹄から採取される結晶化した魔力の塊。風属性の防御力や回避性能を向上させる効果を持つ素材として使用される。軽量かつ硬質な特性があり、防具の強化に適している。
嵐の角
ストームホーンの象徴ともいえる角。内部に嵐のエネルギーが凝縮されており、触れると微かな風が手を包み込む感覚がある。強力な武器やアクセサリーの素材として希少価値が高い。
ストームホーンの蹄
ストームホーンの強靭な蹄。風圧を発生させる魔力を帯びており、加工すれば装備品の耐久性を向上させることができる。その硬度は極めて高く、装備の強化素材として需要がある。
風の結晶
風属性の魔力を持つ小さな結晶。魔道具や装備品の基礎素材として広く利用される。軽量で透明感があり、風を通すような清涼感を持つのが特徴。
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