古代の遺跡 8

古代の遺跡に戻ってきた。空気は相変わらずひんやりしており、足元には薄い霧が漂う。この場所には何か重い歴史が眠っているのだろう。装備を確認しながら深呼吸をする。風刃の結晶を拾ってから、この遺跡に一段と興味が湧いた。今日の目的はさらに奥へ進み、新たな素材を手に入れることだ。


進む先には、大小さまざまな羽が散らばっている。周囲を見回すと、音もなく動く影がいくつも見えた。それは「エアスコープ」と呼ばれるモンスターだった。風の魔力で形成された半透明の球体で、周囲の空気を自在に操る能力を持つ。複数体で行動する習性があり、気を抜けば一気に包囲される危険がある。


まずは2体がこちらを発見し、低い唸り声を上げながら迫ってくる。鋭い風刃を纏った球体が回転し、突風のような攻撃を繰り出してきた。盾代わりにストームガードを構え、衝撃を受け流す。ガード越しにも風圧が伝わり、手が痺れるほどだ。しかし、ゲイルグリーブのおかげで素早く足元を動かし、間合いを詰めた。強化鉄の剣を振り下ろすと、鋭い金属音と共にエアスコープの体が裂け、霧のように消えていく。


もう一体も風刃を放ちながら接近してくるが、ウィンドメイルがダメージを最小限に抑えてくれる。カウンターで横薙ぎの一撃を加えると、残りのエアスコープも消滅した。戦いが終わると、薄い輝きを放つ「風魔の欠片」が地面に残っていた。


その先に進むと、さらに3体のエアスコープが出現した。複数の敵を同時に相手にするのは骨が折れる。1体がこちらを牽制し、残りの2体が左右から挟み込むように動いてくる。即座にポーションを使い、体力を回復させながら対処を考える。まずは左右の敵の距離を縮める前に動きを封じる必要があった。


ウィンドアミュレットの効果で素早く間合いを詰め、左側のエアスコープに剣を突き立てる。回転しようとする球体にもう一撃を加えると、それは霧散した。しかし、その隙をついて右側の敵が風刃を放ち、左肩に鋭い痛みが走る。クリスタルヘルムが致命傷を防いでくれたが、体勢を立て直さなければならない。


前方の敵が突進してくるのをかわしながら、ポーションを再度使用する。これで体力はほぼ全快だ。間髪入れずに強化鉄の剣を振り下ろし、前方の敵を倒すと、残りの1体は威圧感を感じたのか、やや後退するような動きを見せた。それを見逃さず、最後の一撃を叩き込む。


戦いが終わると、周囲には風魔の欠片がいくつか落ちている。他にも、「エアジェム」と呼ばれる小さな結晶体が見つかった。これらの素材は装備や道具の強化に使える貴重なものだ。


さらに進むと、次の部屋には巨大なエアスコープが待ち構えていた。その体は通常の個体の3倍はあろうかという大きさで、攻撃の圧力も段違いだった。風の魔力が渦巻き、部屋全体に突風が吹き荒れる。


巨大なエアスコープは部屋の中央で浮遊しながら、渦巻く風を纏い始めた。部屋全体に満ちるプレッシャーに、こちらの呼吸も乱れる。手に握る強化鉄の剣がわずかに汗で滑るが、視線は逸らさない。これはこれまでの戦いとは別次元だ。


まずは周囲を観察する。部屋の壁には古代の文字が刻まれており、かすかに光を放っている。これがモンスターの力に何らかの影響を与えているのかもしれない。足元を固めると、敵がゆっくりとこちらに向かって動き出した。


その動きに合わせるように、突風が襲いかかる。盾代わりのストームガードを前に突き出し、体を低くして風圧を耐えるが、地面に足跡が刻まれるほどの力だ。風の刃が周囲を飛び交い、肌を切る感覚が襲う。だが、ここで怯むわけにはいかない。


まずは攻撃のリズムを見極める。エアスコープが再び風刃を放とうとした瞬間、横へ飛び込むように回避し、距離を詰める。だが、通常のエアスコープとは異なり、この巨大な個体は一撃を与えた程度では怯まない。剣を振り下ろすと、硬質な外殻が剣を弾いたような音が響く。


厄介だ。再び間合いを取り直す。今度は風刃に合わせて横移動しながら足元を狙う形で剣を振る。ようやく薄いひび割れが現れた。


だが、敵も反撃の手を緩めない。部屋の中心に戻り、空中で回転を始めると、突風がさらに強まり始めた。危険を察知し、ポーションを取り出して素早く体力を回復させる。


再び接近戦を挑むと、敵の体表に再度剣を振り下ろす。今度はひび割れが広がり、淡い光が漏れ始める。それを見て攻撃を集中させるが、敵の渦巻く風の防御がこちらの動きを鈍らせる。


渾身の力を込めた一撃を加えた瞬間、エアスコープが一瞬動きを止めた。そして爆発するように霧散し、部屋全体が静けさを取り戻す。足元には「嵐の核」と呼ばれる光る球体、そして「風魔の結晶」が残されていた。これらの素材は、装備の強化や新たなアクセサリーの作成に役立つ貴重なものだ。


体力を回復させるために最後のポーションを飲み干し、アイテムを収集する。これで一度引き返し、装備を整える必要があるだろう。遺跡はまだまだ深い。この先に待ち構えるものを想像すると、胸の鼓動が少し速くなる。


◯収集アイテム

・嵐の核 ×1

・風魔の結晶 ×3

・風魔の欠片 ×5



[Tips]

嵐の核

巨大なエアスコープから得られる風属性の魔力が凝縮された結晶体。嵐を生み出す力を持ち、魔法のコアや風属性の装備品の強化素材として非常に貴重。高い魔力供給力を持ち、特殊な魔道具の作成にも使用される。


風魔の結晶

エアスコープが持つ風の魔力が固体化した結晶。風属性攻撃の威力を増幅する効果があり、装備品やアクセサリーの強化に最適。透き通った外観が美しく、装飾品にも利用される。


風魔の欠片

風魔の結晶が細分化した形状の素材。主に初級の装備や道具の強化に使用されるが、集めて結晶化させることで高位の素材へと変化させることも可能。手軽に扱えるため初心者にも人気がある。

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