第5話 計画的デート(?)
「すまん、待たせたか?」
スーパーから出てきた
そりゃ待たせてるよ、だって僕は最初から買う物なんて無かったんだから ー 怪しまれない為に何か適当に買ったが。
そんな考えとは裏腹に、僕は横に首を振る。
「僕もさっき終わったところ。全然待ってないよ」
「そうか。よかった」
それを聞くと、彼は安心する。
そして僕たちはコーヒーショップに向かう。スーパーの前の長い道、それをそのまま進んで角で曲がると目的地がある。ここら辺でそこそこ人気のある店だ。
おそらく、メインヒロインとの出会いである。ちなみにこのメインヒロイン、
「あ、ついたよ!」
目の前には小さ目な、だがなんとなく落ち着いた印象を受けるコーヒーショップがある。ゲームでは何回も見てきたが、実際に見るのは初めてだ。
中に入ると見た目通りの温かい、ほのぼのとした空間だった。僕たちは窓側の席をとり、適当にコーヒーを注文した。
「それにしても久しぶりだな―、ここに来るの」
「過去に行ったことあるのか?ってそりゃあるか」
会話を切り出す。
「うん、時々女子から誘われるから・・・」
ゲーム内での設定だ。正直言って、
「まあ、
「えっ!?」
絶対にこういう返答が帰ってくるとは思っていたが、恥ずかしがっている演技をした。
「い、
それが余計可愛く見えるだろ? ー 計画性は大事。
それを見た
「すまん、そう見られるのは嫌だったか」
と謝る。
「うーん・・・女の子として見られるのはちょっと嫌かもだけど、別に可愛いって褒められることは嫌じゃないよ」
ゲーム後半での
「そうか・・・なら良かった」
「お待たせしましたー」
とそこに注文したコーヒーがきた。見えづらいが、湯気があがっている。
それと、コーヒーを持ってきた店員が僕と
確かに、そう見える。
◇◇◇◇
「ねえ、
俺はコーヒーを少し飲み、答える。
「暇な時、か。勉強とゲームだな」
俺は基本的に勉強とゲームしかしない。割合的には、勉強の方が多い。だが一日一時間くらいは銃撃戦ゲームなどをやっている。
ちなみに、命中率には自信がある。
「
「おう、よく銃撃戦とかやってるぞ」
おい待て。「
「銃撃戦ゲーム?もしかして”銃撃戦オンライン”だったり・・・」
「それだ!」
まずい、つい興奮してしまって大声がでた。
だが
「そうなんだー!僕も時々やってるよ。今度、一緒にプレイしようよ!」
「そうだな。安心しろ、俺は強いからキャリーしてやるよ」
こう見えても俺は、”銃撃戦オンライン”のなかで命中率世界28位の座を獲得している。よくネットで「謎のエイム強者」として俺のユーザーネームが挙げられているのだ。
「うん!ありがとう!僕あんまりゲーム得意じゃないから・・・」
それって温かいを通り越して熱いのでは?
◇◇◇◇
一時間ほど話した後、僕らはコーヒーショップを出て別れた。今は帰り道を歩いている。学校から家までは、途中まで
それにしても、これでゲームには存在しないイベントを出来るようになった。「
元の世界での僕は銃撃戦ゲームをそこそこプレイしていた。そして立ち回りと判断力だけ謎に高いのである。
”銃撃戦オンライン”の操作は分からないが、今度練習すれば問題は無い。
この世界でプロゲーマーでも目指してみるか、
いや待て、それは僕が楽しむためだけじゃないか。僕の目標は
まあとりあえず、メインヒロインとのラブコメ的な出会いは阻止した。明日、日曜日はゆっくりして、月曜日に学校に行ったとき、もう一人のヒロインを止める。しかしこのもう一人のヒロインとの出会いををどうやって回避するか・・・また今回みたいに素気ないものにしてやるか?
迷うところだ。
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