日本BLACK紀行
なかつか山
第1話 闇に消された少女
深夜三時。なんとなく眠れなかったので
日本で大人気を誇る某オレンジ色のサイトを観ていたときの話だ。
広告のスキップボタンの出現を待っていたら
わりあい、可愛い女の子がオ○○ーしている動画が流れた。
こういうのって、あんまりピンとこないのが出てくることが多いけど
どう見ても素人に見えたし、声の発音から日本人であることも間違いない。
歳も高校生か大学生くらいで、性格も純粋そうな感じ。
地下アイドルくらいにならセンターできそうなくらいにはきれいな子だった。
ここではあまり詳しく書くことはできないみたいなので、
具体的なことは言えないが
この時は、色々な意味で大丈夫か?と思っただけだった。
のんきなもんだよな。
タイムトラベルができるなら、このときの自分をぶん殴ってやりたい。
性的なものより、可哀想に思う気持ちの方が100倍は強かった。
明らかにやらされているのが伝わってくるのだ。
違法物であることは間違いない。
でも、その百分の一の方の気持ちもどうしても強く
10秒経っても、どうしてもこの広告動画を見ることをやめられなかった。
女の子が一瞬、カメラ目線になったせいで目が合ったような気持ちになった。
恐怖に怯えた、顔をくしゃくしゃにして泣き出しそうに救いを求める瞳。
次の瞬間、突然背後に立っていた大男が何か棒状のものを持ち上げ
(ここではじめて背後に男が立っていたことに気がついた)
それを振り下ろすと、女の子の首はずばんっと斬り落とされた。
ろくに血飛沫すら上げずに
少量の赤い液体がぱっと舞っただけだった。
俺はトイレに、走り胃の中が空っぽになるまで吐き続けた。
どうしてだ? あんな可愛い子が一体何をしたっていうんだ!?
それとも、質の悪いウイルスか何かのフェイク動画なのだろうか?
怒りと不快感で、
心臓を吐き出すくらいの気持ちでげえげえとえずいていたが
なぜかはすぐに分かった。
俺みたいなユーザーからインプレッションを稼ぐ為だ。
俺は、奇しくも殺人鬼の思惑通りの行動を取ってしまったのだ。
最悪の気分で布団に入り、ずっとその子のことを考えていた。
「ちくしょう!」
俺は、布団をアタマまで被り無理矢理目を閉じた。
だが、もちろん眠ることができなかった。
あれは悪夢だと思いたかったが、むしろ悪夢なのは
夜が明けてから。
ものごとが、徐々に正体をあらわしてからだっただったのである。
日本BLACK紀行 なかつか山 @memaruda
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