第6話 ダンジョンの成果
フレデリカは解放条件をケディに説明する。
「他のクラスでこのダンジョンに参加した人は条件を達成してるはずだしネクロマンサー限定の解放条件のスキルか。それでどんなスキルなの?」
ケディに言われてフレデリカはスキルを確認する。
【スリップドレイン:継続ダメージの発生する追加効果を持つ魔法を発動する時、その魔法に継続ダメージを与える度にHPを1回復する効果を付与する】
「これめちゃくちゃ強いよ。」
フレデリカは興奮しながらスキル説明が書かれたスクリーンをケディに見せる。
「何これ、ネクロマンサーの必須スキルじゃん。」
フレデリカが回復魔法が欲しいと言った理由がHPを管理しながら魔法を放たないといけないからであってネクロマンサーの継戦能力が低い理由でもあった。それがこのスキルがあればペインスピアを実質ノーコストで放てる。
「このスキルがある前提で考えればネクロマンサーの魔法が弱いのも納得できるよね。」
言ってしまえば回復までの時間はかかるものの外さない限り無限に魔法を放ち続けられると考えればネクロマンサーの継戦能力の評価はこれまでとはひっくり返る。
「パーティでこのダンジョンをクリアした人はいたはずだから他のプレイヤーの力を借りないでトレントを倒した人が今までいなかったみたいだね。」
ケディいわく序盤の難易度でトレントが出てくる場所はここしか無いらしい。始まりの街グラゼからも近いことを考えても運営はネクロマンサーが序盤にこのスキルを獲得することを設計して考えていたに違いない。それをリリースから3か月経ってようやくフレデリカが発見したわけだが。
「それで他は何をゲットしたの?」
ケディに言われてフレデリカは獲得したものを確認する。
◆少し魔力の感じられる原木:素材アイテム
「まずはこれかな。」
この◆はレア度を表してるらしい。今までの何もついてないやつは表示する価値もないくらいのものらしい。
「おお、魔法職の杖とかのアイテムを作るのに使われる素材アイテムだね。これを鍛冶屋に持ってけば序盤にしてはいい杖が作れるはずだよ。」
腕のいい鍛冶師にお願いすればだけどね、とケディは言う。ただ、当然のように腕のいい鍛冶師は人気なので時間がかかるとのこと。
「次はこれ。」
僅かに魔力の感じられる指輪
MND+6
「装飾品のアイテムは初じゃない?魔法ダメージ上がるしとりあえずつけときなよ。」
ケディに言われてフレデリカは左手に指輪を装備する。
「それでボーナス報酬は以上かな?あとは宝箱だね。」
ケディが言うとフレデリカとケディは宝箱に一緒に近づく。
「せーのっ!」
フレデリカの掛け声と共に宝箱を開けるといくつかのアイテムが入っていた。
◆少し魔力の感じられるワンド
◆少し魔力の感じられる葉っぱ
僅かに魔力の感じられる葉っぱ
銀貨10枚
僅かに魔力を感じる葉っぱはトレントからもドロップするアイテムでMPを回復するマジックポーションの材料になるらしい。そこから考えるに少し魔力の感じられる葉っぱはそのエルダートレントバージョンといったところだろう。銀貨はこの世界の単位ユロで100ユロ分の価値があるらしいので合計で1000ユロ分ということになる。そして、最後に性能が期待されるワンド。
◆少し魔力の感じられるワンド
AGI-5
ATK+8
MND+14
マジカルヒーリング+1
「ねえ、さっきのスキル。魔法に回復効果を付与するって書いてあったよね?」
ワンドの効果を見たケディが確認する。
「書いてあったよ。それがどうしたの?」
いきなり確認されたのでフレデリカは驚いて聞き返す。
「このワンドについてるマジカルヒーリングでスキル、魔法での回復効果を上げる効果持ってるんだよ。」
そう言われてフレデリカは慌ててワンドのスキルの詳細を見る。
【マジカルヒーリング+1:回復効果のある魔法を使ったとき、回復する度に回復量+1】
「これさっきのスキルと組み合わさると呪いダメージ与える度にHPが2回復するってこと?」
ようやくケディの言っている意味が分かったフレデリカはケディと顔を見合わせる。
「たぶん、そうだと思うんだよね。外出て試してみようか。」
ダンジョンボスを倒してしまったためこのダンジョンにもう魔物はいない。フレデリカは装備をショートソードからワンドに切り替えてダンジョンを出た。
「おい、ダンジョンから出てきたぞ。」
フレデリカたちがダンジョンから出ると声が聞こえ、男たち5人がフレデリカたちを囲うように広がった。
「本当にくだらないなあ。」
ケディが冷めた口調でつぶやく。
「出てきてから5秒は無敵時間だ。それが過ぎたら一斉に行くぞ。」
ダンジョンから報酬を持って出てきたプレイヤーを狙うPvP。この男たちはダンジョンから人が出てくるのを待ち構えていたのだろう。
「フレちゃん、こいつらはボコってもいい?もちろんフレちゃんの実験が終わった後で。」
ケディがそう言いながら剣を抜く。
「いいよ。終わったらね」
ダンジョンを出て5秒の無敵時間、つまり先制攻撃の権利はフレデリカたちにある。
「ペインスピア」
近くの男にまずは一発命中させる。
「おお、増えてる。ケディ増えてるよ。」
フレデリカは興奮したようにケディに報告する。
「あいつネクロマンサーだぞ。カモだ。やれ。」
フレデリカの使った魔法を見て男たちがフレデリカに狙いを絞る。無敵時間が途切れたタイミングで男たちが突っ込んでくるがフレデリカは構わず魔法を放つ。男たちはフレデリカのスピードについていけずフレデリカは簡単に包囲網を突破する。逃げるフレデリカを男たちが追い回す。
「あいつガンガン魔法を放ってるぞ。もうHPはそんな残ってないはずだ。とにかく一発当てろ。」
スリップドレインの存在を知らない男たちはフレデリカのHPが少ないものだと思って必死に追い続ける。
「あいつもう30発は魔法放ってるぞ。なんでまだ放ち続けられるんだ?」
ようやく男たちが違和感を感じ始めてきた。
「あ~あ、これじゃフレちゃんが勝つのは時間の問題かな。」
男たちがフレデリカの方にみんな行ってしまったため相手がいなくなったケディは様子を見ながらつぶやく。フレデリカがヤバくなりそうだったら助けに行くつもりだったのだが男たちはフレデリカのスピードに全くついていけてないためフレデリカの勝勢ペースである。追っている男たちがポーションを飲んで延命してるような状態だ。
「ケディ、やっていいよ。」
暇を持て余していたケディにフレデリカがゴーサインを出す。
「フレちゃんありがとう。それじゃパパっと終わらせますか。」
ケディが一番近くにいた男に背後から急接近し一閃。男は悲鳴をあげることもできず地面に崩れ落ちた。そして、そのままケディは2人目に向かい2人目も一撃で倒す。
「おい、もう一人に2人やられてるぞ。」
2人欠けて初めて他の男たちが仲間が減っていることに気が付く。ケディは構わず3人目に切りかかる。切りかかられた男も懸命に対処しようとするが男の攻撃を軽くかわしたケディはあっさり3人目も仕留める。
「おい、ここはレベルの低い初心者しか来ないダンジョンじゃなかったのか。」
一気に人数が減りパニックになった男がもう一人に問いかける。
「そのはずだったんだがな。今日は運が悪かったみたいだぜ。」
残った男二人もケディの相手にはならずケディが参戦してから一瞬で勝負がついた。
「まあこっちはLv63だしLv30ちょいの連中じゃ相手にならないよね。」
フレデリカの初PvPはケディがあっという間に蹴散らして終了になった。
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