第8話 『頂上漫才・エベレストVS富士山』


 調子のいい出囃子とともに、「世界一! 8848m」ののぼりをたてたエベレストがあらわれる。突然「チョモランマ!」と叫ぶ! やや間をおいて「…は異名です。 ちょっとも知らまんま!」と叫ぶ。 観客爆笑。

 エベレストをどつきつつ、「日本一❕ 3776m」ののぼりを背負った富士山が登場。 「異名は”日本のへそ”、の富士山です。へーそー!(笑い) オレも昔は女人禁制やったが…今では京都先斗町きょうとぽんとちょう並みに老若男女問わず登山客ひっきりなしです。 ♬溶けて流れりゃ~みなウンコ!」と、叫ぶ。 観客笑う。


E「まあ、オレはヒマラヤ山脈にあって、世界の最高峰。 初めて征服したのがかのヒラリー卿。 それまでは当然処女峰。 ヒラリーさんたら、コ―フンしすぎてずいぶんランボーだったわ、なーんてね(笑い)」

F「オレの初登頂はな、聖徳太子とか、役小角、高山たつ、諸説ある。 聖徳太子は眉唾やけど、女性の高山たつなら意外性あって面白いね。女人禁制の霊峰の処女を破ったのが実はオンナ(笑い) 高山ヌレル、ならもっとおもろかったな(笑い)」

E「”そこに山があるから登る”ていう名言を残したのがマロリーていう登山家で、エヴェレストの頂上付近で行方不明になったんやで。 もともと、この言葉の「山」はエベレストのことだったらしい。 哲学的に解釈したのは誤訳。 こういうのは他にもあってさ、ゲーテの最後の言葉が”もっと光を”ってのも、”暗いからカーテンを開けてくれ”の意訳らしいな。 飾り窓のゲーテもの女郎なら”カーテン閉めて~ん”やろけどな?(笑い)」

F「”富士には月見草がよく似合う”ていうたのが太宰治。 「富嶽百景」ていう小説やね。 ヤク中で底打って「人間失格」になって、立ち直ってきたころに甲府に新家庭を構えて、心機一転して、気宇壮大になっていたんやな~ 富士に対峙して「やっていやあがる」なんて対等に渡り合ってる(笑い)

 もともと「富嶽百景」、「富嶽三十六景」は葛飾北斎ていう絵師の代表作。構図の大胆さが斬新やったんや。 印象派のジャポニスムの絵画には大きな影響を与えているよな。 さりげなくオマージュみたいな富士山のスケッチがコラージュされてたりもしてる。 フジヤマはホクサイ。 ゲイシャが「雪国」のヤスナリ・カワバタ。 アキハバラがAKB。(笑い) 日本の三大名物やな~。 

 山下清も富士山が好きやったらしいなあ。 どういう経緯かな? 単に日本の象徴とか?(笑い) まあ深い意味はありえんやろけど(笑い) わかりやすいだけか(笑い) 子供が「大将は裸や」とか平気で言うんと一緒やな。 「王様の鼻はブタの鼻」て平気でいうんも子供か赤ちゃんくらい(笑い)」

E「”エベレスト”、はインド測量局の初代長官のジョージ・エベレストからきてる。 チョモランマは中国名で、「世界の母神」ていう意味。 ネパールでは”サガルマンタ”。 サスカッチの猿股、ていう意味やで(笑い)」

F「そんなわけあるか(笑い) 発音似てるけどな(笑い) ヒマラヤにちなみすぎやないか(笑い)」

E「ほんま、ヒマヤナ(笑い)」

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