絶望の末に死亡。でもチョロい女神(天使)を騙せたので、最高の転生スローライフを送る…送らせてください!
灯火(とうか)@チーム海さん
序章
第1話
ああ、爽やかな風を感じる。新緑の、あの深い春の風だ。
道を散歩した時に気づいた、青々とした木の匂い。
冬は終わり、夏に近づく。
力みなぎる植物たちの、その爽やかなエネルギーがぱっと輝くような。
都会も悪くない。そう、確かあれは社会人2年目のこと。
仕事に行き詰まったとき、先輩が連れてきてくれた景色だ。
あの時は良かったな。そう、切実に思う。
そうだ。会社が変わったのは、変わってしまったのは、先輩が辞めてから。
仕方なかったとも言える。
でも、あんなのは因果応報だ。俺たちが間違えたのは、いや社長がミスをしたのは、きっとあの時。
違法な金融機関に、頼った時だろう。あれで、全ては崩壊した。
払いようのない金利、膨れ上がる負債、業績悪化、極めつけの脱税。
その精算で、会社に謎の男たちが入ってきた。
強制労働をさせに来たらしい。いや、ナイフを持ってくるな。
多分、社長が何かやらかしたんだろう。例の金融機関は、そういうところだ。
俺は、後輩を守るために立ち向かい、刃物で刺された。
うるさかったな。見せしめで何回も刺された。
気色悪い声で刺しやがって。ふざけるなよ、謎の男ども。もっと礼儀正しく刺せよ。
ほら、どうせみんな死ぬんだから、後輩も早めに諦めるんだ。救急車は無駄だぞ。
うん。悔いのない人生だった。こうして終われてハッピーだ。さ、潔く転生し…
うん?
まて、なんで思考ができるんだ。ここはどこだ。何が起きてる。おい、誰かいないのか!
そういえば、滅多刺しにされた腹は!?
…無事だ。傷一つない。血の跡も、臭いもない。
夢じゃないな。うん、会社は間違いなく襲われた。だって違和感ないもの。
『あれ? 転生してない魂がいる?』
突然、声が聞こえてきた。誰の声だ?
『ん、私はサキ。苗字はないわよ。あなたたちが俗に言う、天使に当たると思うわ。』
すぅーーー。落ち着け。
これはきっと夢だ。厨二病でも拗らせのか、変な女がいるがきっと夢だ。
よし、最初に戻ろう。
ああ、爽やかな風を感じる。新緑の、あの深い春の風だ。
道を散歩した時に気づいた、青々とした木のにお…
『戻ってんじゃないわよー! 落ち着きなさい! そして厨二病発言を撤回なさい。』
ふむ。一旦、落ち着くか。
ズズズズズ… お茶うまいな。
「やっと落ち着い… ちょっと、そのお茶どこから出したのよ! まって、私の力が吸われて…」
「女神様、ありがとう。お茶はうまかった。」
『めっ女神...うむ。許そう。では小久平汰。早く輪廻の輪に戻れ。』
「"輪廻の輪"ってなんでしょうか、天使様。」
『その名の通りよ。輪廻の輪を通して、この世の魂は他の生物に転生するの。生物の魂をリサイクルする仕組みよ。』
「なるほど。ちなみに記憶は…?」
『なくなるわよ。前世持ちとか、いなかったでしょう? 一応、あんたにも前世はあるわよ。』
「わ、わかりました。では女神様。』
『女神…… もう一回。』
「女神様!」
『もう一回!』
「女神様! 女神様! 女神様!」
『ああ…いいわ… 女神って響き……』
「それでは女神様。ついでに、魔法とかがあるファンタジー世界に記憶付きで転生とかできますかね?」
『そんなのお安い御用よ! えい!』
すると、目の前に魔法陣が出てきた。
『ふん。どうよ!』
「ありがとうございます、女神様。」
まじかよ。本当に転生できるとは… この天使ちょろいな。
『はぁ? あんた、騙したわね!?』
その言葉を最後に、俺は気を失った。
前世は微妙な人生だったが、来世は頑張るぞ!
せめて、せめて殺害されないように!
目覚めると、なぜか無性に叫びたい欲に駆られた。あぁ…叫びたい叫びたい叫びたい叫びたい……
「おぎゃーーー!!」
……むっちゃ気持ちいいぃぃ〜‼︎ 最高!
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