解呪師アトラ

ダイコン太郎

第0話 拝啓 親愛なるアリッサへ

 拝啓



 木々の葉は枯れ落ち、凍て付く風の刺すような痛みにより、頬が紅くなる頃。

貴方様は、今日につきまして、どの様に日々をお過ごしですか。


 貴方様のことです。もう、私のことは、お忘れのことかと思います。

本来、貴方様に、このようなことをお聞きするのは、おかしなことと存じております。

ですが、このお手紙が届く頃には、きっと、貴方様の誕生日なのです。

その誕生日の、祝いの品として、私の軌跡の証、私の旅での日記、日々の輝きだったものを贈ります。


 ささやかな贈り物には、なりますが、どうかこのお手紙と一緒にお受け取りください。



                  敬具

 二月 一日


          貴方の唯一の姉妹より


 アリッサ様



 ......

 手紙を書いていた手は、書き終わると、握っていたペンを力無く放してしまった。

病に侵されている様な、細く痩せきった手からは、寂しさと哀しさを感じさせた。


 静かだった部屋からは、唯一の音さえも無くなり、ついには、完全な静寂が訪れた。

外の景色は、この部屋には到底似合わない。

目を開けることすら、億劫になるほどの、  快晴であった。

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