第七話 巨大獣オゲゲオ 猛将バルガルの追撃!

第七話 巨大獣オゲゲオ 猛将バルガルの追撃! 1

 地球から戻ってきたシャールケン提督は、上機嫌だった。

 あれだけガッダイン5にやられたにも関わらずだ。


「余はどうやら誤解していたようだな。お前達が負けたのは、無能だったからではなくあの地球のロボットが強かったためか。アレは余も納得の強さだ」


 その後シャールケンの目つきが厳しくなった。


「だからこそ征服しがいがあるというものだ! あのガッダイン5の破壊無くして地球征服の悲願は達成できぬ。皆の者、なおいっそうの努力するように! 以上だ!」

「はっ、シャールケン様」


 まあこのシャールケン提督、冷徹な上司というよりは温情のある上司だと言える。

 何度失敗してもブキミーダを最後まで処刑しなかったわけだから。

 まあダバール星人の人材不足も伺えるところではあるが、それはロボアニメのお約束という事で流しておこう。


 また、バルガルの提案を素直に受け入れた為、地上から攫ってきた地球人は捕虜として適切に扱われているので今のところ反感や反乱は無さそうだ。


 とりあえずしばらくは平穏な日々が過ごせる……そう思っていたのだが、トラブルの種は船でデラヤ・ヴァイデスにやって来た。


「お兄様、お久しぶりです」

「その声……エリーザか! どうしてここに?」


 彼女の名前はエリーザ。

 ガッダイン5大百科によると、シャールケンの妹とある。


 そのエリーザの登場した第七話だが、ガッダイン5大百科によると……。


 ――彼女は興味本位で地球に降り立ち、宇宙船の不時着時にショックを受け、機体の外に放り出される。

その後偶然ガッダイン5のパイロットである紅井龍也に助けられ、エリーザは一時的に記憶を失っていた。

 そんな彼女を探してバルガル将軍が地上に降りる。

 そして見つけた彼女をバルガル将軍が連れ帰ろうとするが、バルガルの失脚を狙ったブキミーダにより地上のテロに巻き込まれ、瀕死になる。


 怒った龍也はブキミーダの用意した巨大獣オゲゲオをガッダイン5で倒し、彼女の搬送された病院に行くが、彼女はもう既に息を引き取っていた。

 地上に彼女の墓を建てたガッダインチームが立ち去ると、そこに現れたのはシャールケンとバルガルだった。


 妹を殺されたシャールケンは地球人に対し、憎悪を燃やして復讐の鬼になる。

 ……といった話だ。


 これもまあ浜野監督らしい、ゲストに厳しい話で、彼女の死が地球とダバール星の決定的な修復不可能な決裂の原因になる。


 つまりはこの話でブキミーダが要らない事をしなければ、ダバール星人のシャールケンが地球人を皆殺しにするとまで言わなかったのだ。

 これは困った事になる。

 何故ならもし原作通りにエリーザが殺されてしまうと、ここにいる地球人の人質全員が下手すれば見せしめに殺される可能性がある。


 冗談じゃない! 何が何でもエリーザを無事地球から呼び戻さないと。

 まあ今は俺がブキミーダなのでバルガル将軍を失脚させる必要性も無いのだが。


 なお、この敵の司令官に妹がいるという展開は、妹のキャラを使いこなせなかった為、今作では失敗だったと浜野監督がインタビューで答えており、次回作の獣将ダイノスでは長富監督お得意のロマン路線でロミオとジュリエット展開にした事で成功した。


 さあ、この後じゃじゃ馬娘が無断で小型宇宙船を使い、勝手に飛び出してしまう。

 それをシャールケンがバルガル将軍に彼女を連れ戻せと命令するまでが原作の流れだ。


「エリーザ様、危険で御座います。どうかお考え直しを!」

「バルガル、私は地球がどんな場所か知りたいのです。今後私達が移り住むはずの星、それを先に見に行って何が悪いのですか?」

「そう言われましても……」


 バルガル将軍の制止を振り切り、エリーザは地球に向かって小型宇宙船で発進してしまった。


 シャールケンが激怒してバルガル将軍に彼女を連れ戻せと言ったのはその直後である。

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