第18話 Holiday 1
今日は若干睡眠不足だ。楽しみな気持ちと緊張で案の定俺は眠れないままの当日となった。朝家を出るまで、いつもは大して気にもしない、私服の組み合わせが物凄く気になってしまい、まごまごしてたら、母親にどうしたと問いつめられ、マイと遊びに行くことを話してしまった。
「やるじゃない!頑張れ。」
と、元気づけられ、少しお小遣いも貰い、快く送り出されてしまった。
家を出て最寄駅から電車に乗る。見慣れた景色が何故か違って見えた。マイとの待ち合わせ。不安もあった。考えてみれば、俺は私服の彼女をみたことがなかった。改札を出て、周囲を見渡す。待ち合わせの時間まで、まだ少し時間はあったし、流石にまだ来ていないだろうと思っていた。が、道行く多くの人々とはやや違う、目を引く服装の女性の姿が目に入った。派手でケバケバしい感じではないが、おとなしくはない感じの「ギャル」っぽい格好だった。やはりこの辺ではやや珍しい身なりで時々振り返る人もいた。
「え、まさか?」
早く来てるとは、正直思わなかったが、でも、考えてみれば学校で待ち合わせする時は、いつも向こうが待っていたし、もしかして、と思い、俺はスマホでsnsのメッセージを送ってみた。
【駅に着いたよ。】
と言う文面で、すると目の前の女性がスマホのがめんを確認し始めた。間違いなさそうだ。その後彼女はキョロキョロと周りを見回す。そして、彼女の顔が見えた瞬間だった。向こうも同時に俺に気がついたらしい。
「はーくんだ。待った?」
マイは俺に駆け寄ってきた。いい笑顔だった。ただ、学校より化粧が濃い感じだ。て、いうか、これは学校じゃ無理だろうが。
「全然。いま来たとこ。」
気遣いとかなく真実を述べた。
「はーくんの私服初めて見た。ちゃんとしてるね。でも、学生って感じ。」
「やっぱ何か大人しいかなあ?」
「そうだね。でも、変に背伸びしてなくて良いと思うよ。はーくんらしくて、アタシは嫌いじゃないよ。」
何か褒めて貰えた。取りあえずそこは一安心。
で、彼女の格好。で、俺が見た感想は、
「格好いいとか、可愛いという言葉では表せない、でも、隠しきらないきラキラした感じがするね。」
「はーくんの感想、何か、頑張ってまとめた感じだね?はーくんと一緒だから、あまり派手過ぎないようにしてみた。」
こんなところにも気遣い。彼女、絶対ただのギャルてはないと実感した。
一通りお互いの服について話した後、俺たち二人は取りあえず出発することにした。ホームで二人で電車を待つ間、俺たちは周りからどんなふうに見えているかが、少し気になってしまう。
「恥ずかしいとか思ってる?」
マイが聞いてきた。
「それはないけど、俺はそもそも女の子と一緒に行動するのにあまり慣れてないから。」
「緊張してる?」
彼女の問いに俺は静かに頷いた。
「一緒だね。」
そう言ってニッコリ笑った後、
「アタシこう見えて、男の子でデートするの初めてだからさ。」
そうか、デートなんだよな。だったら似合ってるかはともかく、カップルに見えるはずだ、と俺は思った。
やがて、電車が到着した。いつもは乗らない急行だった。車内の客はさほど多くはなく、座席にも空きがあった。二人で並んで座った。マイはすぐ隣にいる。すごく近いと思った。でも、あまり意識しすぎないようにもしたくて、距離はあけなかった。でも、彼女は少し体を寄せてきた。
「他の人来るから、詰めよっ。」
俺は物凄く緊張度が増した。そして、初めて出会った時の匂いが鼻に入ってきた。
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