第5話 それから100年後

コータこと野中航太が田舎の家と土地を買い、異世界冒険者になってエルフのお嫁さんを貰ってから100年後。普通の人間である野中航太はすでにこの世にいない。村も無くなっていた。

だがエルフの朱里あかりは以前と変わらない美貌と若さを保持し続けていた。

そして航太と朱里の子供と孫は元気に若さを保っている。

だがさすがに現代日本ではいろいろ問題が有るので、朱里は異世界側に住んでいる。子供のハーフエルフのコータ・ジュニアも長寿なので殆ど異世界に居てSランク冒険者として活躍している。因みにコータはショホタウン初のSSクラス冒険者だった。


ヨンクは朱里と息子に引き継がれている。

孫と曾孫は現代日本の方に住んでいる。

流石に現代人の血の方が濃くなっている曾孫は先々代ほどの長命ではなくなっている。でも普通の人間よりも年を取るのが遅いのだ。

若さを保ったまま寿命を迎えそうだ。

特に曾孫ひまご娘の智絵里は祖母、曾祖母の調薬に魅せられて大学の薬学部を卒業してから製薬会社に就職して異世界のポーションを現代日本の製薬に生かせないかと日夜研究に勤しんでいる。

いつまでも若々しい美人研究員として超人気だ。


 そんな時大事件が起こった。原因不明の奇妙な病気が大流行したのだ。

 ある日突然高熱を発して眠りにつくというもので、1番最初に発症した女性は10年経った今でも眠り続けているらしい。

原因不明のその病気は、女性ばかりがかかるので【眠り姫病】と呼ばれていて去年から世界中で爆発的に流行しだしたのだった。


 今のところ死者は出ていないが、年齢に関係なく発症するので予防法も治療法もいまだ見つかっていない。現代の薬品では効果が無かった。

智恵理は母親に相談した。

 「そうねえ、曾祖母ひいおばあ様なら相談に乗って下さると思うわ。チョット電話してみるわね」

分界嶺の不思議の1つ、魔女の塔の山が見える範囲内であればスマホで電話通話出来るのだ。


「ヨンクに乗ってくるそうよ」

「良かった。朱里様相変わらずお綺麗なのでしょうね。でも朱里様って今何歳なのでしょうね?」

「智恵理、間違っても曾祖母様ひいおばあさまに訊いてはいけないよ。女性に年齢としを訊くなんて!と恐ろしいことになるわよ」

「うん、判ってるって」


 「なるほどね、そのやまいは1500年前に発生したあの病によく似ているわね、だとしたらあの薬が効きそうね」

朱里は智恵理の話を聞いてそう言った。

「何が原因なのかご存知 なのでしょうか?」

「原因はわからないわ、でも治療薬は作れると思うわよ。あなたも私と一緒に作りましょう」

「はい!お願いします」




続く 


次回最終回

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